許さない
王宮に乗り込む。
乗り込むといっても、門番に早々に止められた。だが、暴れ回る。
私が女だからだろうか、あまり乱暴に止めようとはしない門番たち。
「出てきなさいよ!地味女!」
あの卑怯者に向かって叫ぶ。
ここからじゃ聞こえないなんて、関係ない。
「あんたのせいで私の人生めちゃくちゃよ!」
「人をどん底に突き落としておいて自分一人で幸せになろうなんてふざけんな!」
「人の幼馴染を取っておいて、奪い返されたら逆ギレしやがって!」
「しかも今度は自分が結婚!?」
「自分は人の旦那誑し込んでおいて結婚なんてできるわけないでしょうが!!!」
怒りに任せて暴言を吐き散らして暴れ回る。
王宮の中で働いているのだろうたくさんの人が、なんだなんだと集まってきた?
「出せ!あの地味女を出せ!一発ぶん殴ってやる!」
髪を振り乱して暴れる。
「お、落ち着けよ奥さん。一体どうしたんだ、痴情の縺れか?」
「あの卑怯者が私たちをどん底へと突き落としたのよ!全部あの女が悪いのよ!」
「わかったわかった、奥さんの言い分はわかったから。落ち着いて」
「おまけに、人がやっと…やっと幸せになったのにそれを全部ぶち壊しにしたの!!!」
「おーおー、そりゃ災難で…」
門番たちが話半分に私の訴えを聞く。そして、宥めようとしてきた。
「今日、今日あのパレードさえなければ…クレマン様は変わらず私を愛してくれたのにっ…」
「…あ?パレード?」
「クレマン様って…あんたまさか…」
門番たちの顔が青くなる。
「そうよ!あの地味女、アンナが全部悪いのよ!出てこい地味女ぁ!!!」
「おいこの女の口を塞げ!!!」
「卑怯者ぉっ!!!…こぶっ!」
口を無理矢理手で塞がれる。息が苦しい。
「おっと、鼻は呼吸できるようにしないとな」
「おい誰か治安部隊呼んでこい!根も葉もないこと言ってたんだ、不敬罪でしょっ引け!」
「んー!!!んー…!!!」
私は悪くない。あの女が悪い。
クレマン様、どうして。
「…え、リナさんが暴れた?」
「王宮に乗り込もうとしてたらしいよ」
「そんな、どうして…」
サミュエル様に大事な話があると言われて、なんだろうと思えばそんな話。
リナさんとのことは、もう何年も前に解決したはずなのに。
「アンナが幸せになるのを知って、我慢できなかったんだって」
「え…」
今の今までずっと幸せだったんだけど。
「…今回は、徹底的にやるけどいいよね?」
「…は、はい」
有無を言わせないサミュエル様の雰囲気に、頷くしか出来ない。
クレマン様と結婚して、たしか子供もいたはずなのに。
リナさんはどうなってしまうんだろう。




