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第三王子殿下にあーん

「第三王子殿下、どうしました?」


「今日も、お野菜がたくさん…」


なるほど、苦手なのか。そうだよね、まだ子供だし好き嫌いはあるよね。


「んー…でも、栄養を摂取するのは大切ですよ。頑張って食べましょう?」


「うう…」


第三王子殿下はスプーンを握りながらも、目が涙目だ。そんなに嫌か。可愛い。


「じゃあ、第三王子殿下。よかったら私があーんして差し上げましょうか?」


「え?いいの?」


「はい。そのかわり完食してくださいね。大丈夫ですか?」


「…うん!頑張る!いただきます!」


ということで、第三王子殿下からスプーンを受け取りあーんをして手ずから食事を与える。


第三王子殿下はあーんと口を開けて、苦手なはずの野菜のスープを一生懸命に食べてくれた。


雛鳥にご飯をあげるみたいな気持ちになってすごく癒される。


「どうですか?第三王子殿下」


「んー…意外と食べられそう」


「良かった!」


頑張って食べてもらえば、栄養もとれて元気になるだろう。


「はい、あーん」


「あーん」


なんだか楽しい。そうして私が食べさせるのを楽しんでいたら、いつのまにか第三王子殿下は完食してくれた。デザートのチョコレートプリンまで完食した。


「ご馳走さまでした」


「よく頑張りましたね、第三王子殿下」


「全部食べ切れたのは久しぶり!ありがとう、アンナ」


可愛い笑顔を向けられて、嬉しくなる。


「はい!」


「ところで、アンナは食べないの?」


「あ、忘れてた」


あとで食堂に行ってもらえるものをもらおう。


「アンナ、ご飯今から取っておいでよ」


「え」


「少しの間なら、僕は大丈夫!だから、ここに持ってきてここで食べて」


…いいんだろうか。


「ね、お願い」


「…わ、わかりました」


結局第三王子殿下に押されてご飯をお部屋に持ってくることにした。


すぐに取りに行き、すぐに戻る。


「お待たせしました、第三王子殿下」


「待ってたよ、おかえり!」


とびきりの笑顔で出迎えられてきゅんとする。可愛い。


「じゃあ、今度は僕がアンナにあーんしてあげるね」


「え」


「はい、アンナ。あーん」


「…いただきます」


慣れない様子であーんしようとしてくれる第三王子殿下を拒絶することも出来ず、あーんと口を開けて食べる。うん、美味しい。


「美味しい?」


「美味しいです、ありがとうございます」


「これから毎日こうして食べさせ合いっこしようね」


…ご褒美か。


「…アンナ?そんなに美味しいの?」


「え?」


「にやけてる」


思わず頬を押さえる。顔に出てしまうとは情け無い、気をつけよう!


「お、お気になさらず…」


「ふふ、アンナ可愛い」


にっこにこの第三王子殿下に、結局全部食べ終わるまで食べさせられた。

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