表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【長編版】病弱で幼い第三王子殿下のお世話係になったら、毎日がすごく楽しくなったお話  作者: 下菊みこと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/95

第三王子殿下の婚約者は

けれどそう。


私がもうすぐお世話係もお役御免になるなら、これだけは決めてもらって見届けてから退職したい。


…サミュエル様の、婚約者。


「ずっとずっと気になってたことなんですけど、退職が近いなら余計に気になることがひとつあるんです」


「なに?」


変わらない笑顔で聞き返される。


「サミュエル様の婚約者です!なんでまだ決まらないのでしょうか。色々事情があるのは存じておりますが、早く決めて第三王子妃として教育も受けていただきたいのです!私はサミュエル様が心配です」


「ああ。そのことなんだけど、水面下で話が決まってたりするよ?」


「え!?なんで教えて下さらなかったのですか!」


「アンナを驚かせたくて」


悪戯っぽく笑うサミュエル様。可愛い。


「で、どんな方なのです?」


「公爵家のお嬢さん。九歳差なんだけど」


「え、幼すぎませんか?」


「逆。相手が上なの」


「え!?」


ビッくらポンだ。


「サミュエル様がいいならいいんですけど、いいんですか?」


「いいも悪いも、僕の方から懇願した婚約だし」


「ああ、それならいいんです。サミュエル様の幸せが第一ですから」


どんな相手でも、サミュエル様を幸せにしてくれる人ならば構わない。


でも心に決めた相手がいるなら一番に相談して欲しかったな、なんてお世話係としては思ってしまう。


そう思ってたら、想定外の爆弾が落っことされた。


「そう、アンナにそう言って貰えてよかった。というわけで、第三王子妃教育頑張ってね」


「え?」


サミュエル様は今なんて?


「アンナが僕のお嫁さんになるんだよ。驚いた?」


「…えー!?」


「あはは。だってアンナは公爵家のお嬢さんだし、教養も正直充分だよ?だからすぐ結婚できるだろうし、問題ないじゃん」


「そういうことじゃなくて!」


「好きだよ」


短いその言葉に、私は思わず固まる。


「愛してる。アンナだけが僕の心の支えだ。これからも、そばにいてよ」


「で、でも」


私は九歳も年上で、その上お世話係としてずっとそばに居たわけで。


サミュエル様と婚約なんて、許されるのだろうか。


「アンナ、僕は誰になにを言われようがアンナがいい。アンナは、僕のそばに居たいと思ってくれないの?」


そこまで言われると、言葉に詰まる。


私だって、サミュエル様のそばに居たい。


恋愛対象として見たことは正直なかったし、恋愛感情があるかと聞かれれば答えられないけど。


それでもサミュエル様の一番近くにずっと居たい。


私は結局、気付けば頷いていた。


「わ、私でよければ…」


私はサミュエル様に強く抱きしめられる。


「わっ」


「愛してる、本当に、心から!」


こうして私は、気付けば思わぬ幸せを手にしていたのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ