さらに数年が経ち第三王子殿下が十八歳の結婚適齢期になった
元婚約者やその幼馴染との因縁もどうにか解消され、その後は特に何にも問題が起こらず平和な日々が過ぎていった。
サミュエル様もあれ以降危ない目に遭うこともなく、すくすくと成長していき…。
「サミュエル様も、すっかりと大きくなりましたね」
「全部アンナのおかげだよ」
気付けば、衝撃的だったサミュエル様の暗殺未遂から九年も経ってしまった。
今ではしっかりと身体を鍛え上げ、文武両道の完璧イケメンとなったサミュエル様。
引く手数多のモテモテ男子になったというのに、複雑な事情からか未だに婚約者は決まっていない。
「もったいないなぁ…」
「なにが?」
「いえ何も」
首をかしげるサミュエル様も可愛い。
そんなサミュエル様は、私がさりげなく気になる女の子を聞いてみても笑顔で躱される。
でも反抗期になったわけではなく、相変わらず私を気に入ってくれています。
「サミュエル様は反抗期がないので少し心配です」
「さすがにアンナに反抗期の矛先を向けるのは違くない?」
「そうでしょうか?」
ちなみにあれからもサミュエル様は、王太子となられた第一王子殿下と騎士団に所属している第二王子殿下ともずっと仲良し。
さらに王妃殿下とも穏やかな関係を育んできた。
国王陛下もなんだかちょっと不器用だけどサミュエル様を可愛がってくださるようになったし、サミュエル様も少しは国王陛下に心を許している。
「でも、早いものですね」
「そうだね。ようやく十八歳になれた」
「ずっとお側にいた私としては、もう十八歳になってしまわれたって感じです」
「なにそれ」
「嬉しいことなのですが、ちょっとだけ寂しいのです」
九歳差の私とサミュエル様。
サミュエル様が十八歳の結婚適齢期になった今、私は二十七歳になった。
結局あれから結婚をすることはなく、仕事一筋の人生を送ってきた。
でも、結婚しない人生というのも案外良い。仕事は天職だし、お金は貯まっているので将来の心配もない。充実した日々だった。
それに、ここまでサミュエル様のことを見守って来れた。それだけで十分過ぎるほどに幸せだ。
「でも、そろそろお世話係もお役御免ですね」
「え?」
「もう、サミュエル様にお世話係は必要ないでしょう」
そろそろ婚約者も見つけて、自立する頃。いつまでもお世話係としてそばに居られるわけじゃない。
貯金はあるから将来は心配ないけど、とはいえ新しい仕事はどうしよう。このままサミュエル様の侍女になれないかな。
「…そう。そうだね。たしかにお世話係はお役御免かも」
そんなにはっきり言われると寂しいです、サミュエル様。




