予期せぬ王妃殿下との交流
サミュエル様と再会してからというもの怪我の回復が早くなった。精神的にもだいぶ楽になり、体力が落ちた分のリハビリも頑張れている。
サミュエル様も再会当初は心労からか窶れていたが、今では目に見えて元気になっている。
そんなある日、いつものように第二王子殿下に連れられてサミュエル様が部屋に戻った後のこと。
「…アンナ、ちょっといいかな」
「はい、第一王子殿下。どうぞ」
部屋のドアがノックされて、第一王子殿下から声をかけられた。返事を返せば、第一王子殿下と…なぜか王妃殿下まで部屋に入ってきた。
「…!」
「かまいません。楽になさい」
「は、はいっ…」
…ど、どうしよう。第一王子殿下は…部屋の中、離れたところから静観の構え。ドアは閉まっている。
「…なにか、望みはありますか」
「え?」
「…」
…えっと、サミュエル様を助けた褒美ということだろうか?サミュエル様の暗殺未遂事件は箝口令が敷かれ、表向きにはなかったことにされている。だからこそ望みを叶えてくれる、ということ…なのかな?
「では…その、いいのでしょうか…」
「なんでもいいなさい。私が叶えます」
「…サミュエル様と、仲良くしていただけますか?」
「…っ!?」
「その…サミュエル様も王妃殿下と仲良くなれたらきっと楽しいかと思って、その…」
自分で言っておいて、とんでもないお願いをしただろうかと不安になる。ちらっと第一王子殿下を見れば困った顔。地雷だった?
「………」
「…」
「………いいでしょう。善処します」
「え!ありがとうございます!」
「私を受け入れるかは、あの子次第ですが」
そう言った王妃殿下の表情は、ポーカーフェイスのせいか読めなかった。だから、正直に言う。
「王妃殿下は素敵な方ですから、大丈夫です!だからサミュエル様のことをお願いしたんです!」
「…そうですか。…怪我は?」
「良くなってますよ!リハビリも始めて、いい感じです!」
「よろしい。良く休みはやく治すように。私は戻ります」
「はい。王妃殿下、お気遣い本当にありがとうございます!」
にっこり笑ってお礼を言えば、王妃殿下は帰っていった。第一王子殿下も、私に手を振るとその後を追う。
王妃殿下、すごく優しくて素敵な方だったな。サミュエル様にとって、王妃殿下と交流できたらすごくいいことだと思うんだけど…どうかな。




