こっそり相談された長兄と次兄の話
兄上とカードゲームで遊ぶ。たまに構ってもらえるこの時間が俺は好きだ。
「ラジエル兄上、ラファエル兄上」
そこに可愛い弟が来た。三人でカードゲームも楽しそうだ。
「やあ、サミュエル。サミュエルも参加するかい?」
「んー…いい」
「…どうかしたのかな?」
少し悩んだ表情の弟に、兄上が優しく聞いてやる。
そういえば、アンナを連れていない。またアンナ絡みだろうか。
「僕ね」
「うん」
「アンナのことが好き」
今更当たり前のことを悩ましげに言われてきょとんとしてしまう。
「そう…だね?」
「女の子として、好き」
俺と同じくきょとんとしていた兄上だったが、それを聞いてびっくりした顔になった。多分俺もそう。
「…そっかぁ」
「んー、でも、アンナは九つも年上だけど?」
俺がそう言えば、弟は頷いた。
「それでも好き」
「…サミュエル。サミュエルは王子様だから、好きな人と必ず結婚できるかわからないよ」
「うん…」
「諦められる?」
「ううん…」
兄上は俺を見てくる。なので言った。
「うーん。まあ、サミュエルは色々特殊な状況だし婚約とかまだしばらくないかもな。父上も相手をそう簡単に選べないだろ。その間は諦めなくてもいいんじゃねーの」
「うん…」
「通常ならありえないけど…サミュエルの場合色んな都合で結婚適齢期まで相手が決まらないかもな?場合によっては教会に突っ込むことも視野に入れてるかもしれないし」
「…うん?」
「その時まで諦められなかったら、その状況なら協力してやるよ」
俺がそう言えばサミュエルはパッと笑顔になる。
「…ラファエル」
「もしもの話です。その時は兄上だって協力してくださるでしょう?」
「…それは、まあ。でもね、サミュエル。そう上手くいくとは限らないし、アンナの方がお婿さんを見つけて先に離れていくかもしれないよ」
「…うん」
「それでも待つの?奇跡を信じるの?他の女の子ではダメかい?」
兄上が問えば、弟は力強く頷いた。
「待ってていいなら、いくらでも待つよ!他の女の子じゃダメなの!奇跡ならもうアンナが僕にくれたもん!だからまたあるかも!」
「…困ったな」
兄上は真剣にサミュエルを案じている。だからこそ現実を見せるべきだと思っているのかもしれない。けれど、一時の夢くらい見させてやるべきだ。…もしかしたら、また奇跡の一つや二つ起こるかもしれないのだし。
「じゃあ、お約束。もしそうなれば協力してあげる。だから、そうならなかったら絶対に諦めること。アンナがお婿さんを見つけたら祝福して、サミュエルにお相手が決まったらその子を愛するんだ。ね?」
「うん…!」
こんなに幸せそうに笑えるのなら、いつか覚める夢でも決して悪くはない。…出来れば、夢でなく現実になってほしいけれど。




