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【長編版】病弱で幼い第三王子殿下のお世話係になったら、毎日がすごく楽しくなったお話  作者: 下菊みこと


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元婚約者の幸せそうな様子

「…うーん」


どうしよう、ストレスでお腹に穴が空きそう。


元婚約者とその幼馴染から届いた手紙を、どうしようかなぁと眺める。


「はぁ…」


まあ、手紙が届いたのは百歩譲っていいとする。


あちらの有責で破談になった婚約なのに、あちらから謝罪ですらない手紙を送ってくる時点であり得ないんだけどまあいいとする。


「これはないよぉ…」


情け無い声が漏れた。


いや。だって。これは誰だって勘弁してくれと思うだろう。


まずは元婚約者からの手紙。


『君のお陰でリナと結婚できる。僕のために本当にありがとう』


『君が破談にしてくれて、リナにプロポーズできた。プロポーズはもちろん成功して、両親も認めてくれた』


『これでやっとリナを幸せに出来る』


『君には本当に感謝しかない』


『どうか身の丈に合う相手と幸せになって欲しい』


…何様だよ!!!


いや、本当に突っ込みが追いつかない。あり得ない、自分が有責での婚約破棄って本当にわかってます?


こっわ…恋愛脳ってやばいね…。


次は元婚約者の幼馴染からの手紙。


『クレマン様から距離を置いてくださってありがとうございます。アンナ様がご理解のある方で、本当に良かった』


『第三王子殿下のお世話係になったと聞いて、心配しておりました。お元気そうでなによりです』


『今では第三王子殿下も元気にお過ごしとのことで、色々安心致しました』


ここまで読んだ時点でいやバカにしてるだろうと腹が立ったけれど、まだ続く。


『王命で婚約の破棄を命じられたとのことで、アンナ様の心中をお察しします』


『ただ、何故クレマン様の有責なのでしょうか?クレマン様は何も悪いことをしていないのに、可哀想です』


可哀想なのは貴女の頭です。


『クレマン様は、私にプロポーズをしてくださいました。私は、アンナ様には本当に申し訳ないと思っているのですが自分の気持ちに嘘はつけませんでした』


『クレマン様のプロポーズをお受けして、私は今幸せです』


『アンナ様、本当にごめんなさい。アンナ様にも素敵な出会いがあることを祈っています』


…だから!貴女たちは!何様だよ!!!


ムカつく、腹の底から怒りが湧いてくる。


なんだろう、この…言語化できないウザさ…。


「…まあ、とりあえず落ち着こう」


そうそう。冷静に、冷静に。


「…冷静になんてなれるかぁ!!!」


もー!


とりあえず手元にあると破り捨ててしまいそうだから、部屋にある机の引き出しの奥底にしまう。


「返信…しなくてもいいかなぁ…」


律儀に相手をしていたら、血管切れそう。


…いや、とはいえ無視はできない。無難に婚約おめでとうとかなんとか返しておこう。


心を無にして、嫌味のないよう当たり障りのないお祝いの返信を書いて送る。


もう手紙を二度と送ってくるなと祈りながら。

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