本宮に移動
「わあ!!!」
キラキラした本宮に瞳を輝かせる第三王子殿下。第三王子殿下の受け入れ準備も整い、いよいよ本宮に住居を移すことになりました!
「見て!アンナ!離宮より広いよ!」
「そうですね、第三王子殿下!」
「豪華だね!」
「豪華ですね」
そして用意された私室に向かう。
「ここが僕の部屋?わーい!!!」
広くて煌びやか。第三王子殿下のためのお部屋は、きちんと整えられていた。
「アンナ、ラジエルお兄様とラファエルお兄様は!?」
「今来たよ、サミュエル」
「ラジエルお兄様!」
「俺もいるぜ」
「ラファエルお兄様!」
第三王子殿下は、第一王子殿下と第二王子殿下に抱きつく。
「これからは一緒に過ごせるね!」
「そうだね、サミュエル」
「お兄様も嬉しいぜ!」
やっぱり家族が揃うと落ち着くものなのだろう。三人とも嬉しそう。
「でも、これからはサミュエルにも家庭教師がつくから忙しくなると思う。それでも一緒に居られる時間は増えるはずだけど」
「そっか。僕頑張るね!」
「おう!サミュエルならきっとすぐに色々なことを覚えると思うぜ!」
「わーい!」
楽しそうな第三王子殿下。よかった。
「…ああ、ごめんねサミュエル。私はそろそろ勉強があるから」
「あ、俺もそろそろ鍛錬に励む時間だ」
「じゃあ、いってらっしゃい!ラジエルお兄様もラファエルお兄様も頑張ってね!」
「おう!」
「また後でね」
第一王子殿下と第二王子殿下の背中を見送った第三王子殿下は、その後すぐに家庭教師の先生と挨拶をしてお勉強を始めた。
離宮を離れて本宮での生活は大変かなと思っていたが、そんなことはなかった。離宮と違って広すぎるのはちょっとまだ慣れないけれど、住み心地は良い。
メイドたちも、思っていたような反応ではなかった。第三王子殿下が嫌がらせを受けないかヒヤヒヤしていたが、第一王子殿下と第二王子殿下と同様に第三王子殿下を扱ってくれる。
そのお世話係である私も、嫌がらせを受けるどころか親切にしてもらっている。
「第三王子殿下、本宮での生活はいかがですか?」
「メイドも家庭教師の先生も親切で楽しい!」
「よかったです」
「アンナは?」
「私も親切にしてもらえて楽しいですよ」
私がそう答えれば、にぱっと笑う第三王子殿下。
「良かった!」
優しくて可愛い第三王子殿下。教養を身につける機会も貰えたし、これからどんどん成長なさるだろう。それはとても良いこと。でも、わがままな私にはちょっとだけ寂しく感じてしまう。
「第三王子殿下、急いで成長する必要ないですからね。たくさん私に甘えてくださいね」
そんな私のわがままにも、第三王子殿下は笑って頷いてくれる。
「うん、アンナもたくさん僕に甘えてね!」
このまま綺麗な心のままで育って欲しいと切に願う。




