お絵かきと折り紙
「お待たせしました、第三王子殿下。スケッチブックとクレヨン、折り紙です!お好きなように創作しちゃってください!」
「うん!」
私からスケッチブックとクレヨンを受け取った第三王子殿下は、さっそくクレヨンでスケッチブックに絵を描き始めた。
「ふんふんふーん」
楽しそうに鼻歌歌っている姿も可愛らしくて、目に焼き付けるように見守る。
私は、いつまでもお世話係でいられるわけじゃないだろう。
だからこそ、この幸せな光景を心に焼き付けておきたい。
でも、そうは言いつつもいつか辞めるとしてその時までには第三王子殿下の健康を取り戻さないと!
それまでは辞めないくらいの覚悟で頑張るぞ!
「見て!アンナ!」
「はい、第三王子殿下…あら、可愛い!」
「アンナを描いたんだよ!上手い!?」
「とてもお上手です!さすがは第三王子殿下!」
「えへへ」
第三王子殿下の絵はとてもお上手で、可愛らしく素晴らしい!
…まあ、ただ、当然年相応の絵ではある。
でも上手い!上手いです!髪の毛や目の色を茶色で描けてるところとかすごく上手い!
「次はアンナの番だよ」
「え」
「はい!」
満面の笑みでスケッチブックとクレヨンを渡される。
あらまあ…逃げ場がない…。
「わ、わかりました…」
下手なんだけどなぁ。
「何を書きましょうか?」
「アンナが一番好きなもの!」
「お任せください」
下手だけど、そういうことならばちゃんと伝わるように描こう。
一生懸命絵を描く。チラチラと第三王子殿下を見ながら。第三王子殿下はキラキラした目でそれを見つめる。
「完成しました!」
「見せてー!」
そこに描いたのはもちろん第三王子殿下。
「ねえねえ、もしかしてこれ僕?」
「はい、第三王子殿下ですよ!一番好きなものとのことでしたので!」
その言葉にぱっと明るく笑う第三王子殿下。本当に可愛い。大好き。ずっとそのまま素直でいて。
「じゃあ次は折り紙やろうかな。あ、その前にアンナ、この絵を額縁に入れて飾って!」
「第三王子殿下?わ、私の絵を額縁にですか?」
「うん!それで、僕の書いたアンナの絵も額縁に入れてアンナの部屋に飾って!」
んんんんんん可愛い!!!本当に可愛い!!!
「わ、わかりました…」
メイドにお願いして、少し恥ずかしいけれど私の絵を額縁に入れて第三王子殿下の部屋に飾った。
あと、これは役得だけど第三王子殿下の絵も本当に私の部屋に飾らせてもらった。
わーい!!!
「みてみてアンナ!折り紙でペンギン作った!」
「まあ!お上手です!」
「あとこれ、鶴!」
「おおー、手先が器用ですね…負けていられません!」
いつのまにか私にも折り紙を渡されて折り紙対決になっていたが、すごく楽しかったのは言うまでもない。




