第三王子殿下と清々しい朝
今日も早起きをして、朝の支度を済ませ第三王子殿下の部屋へと急ぐ。
カーテンを開けると、心地よい日の光。空を見上げれば、先程まで雨でも降っていたのか虹が出ていた。我が国では虹は幸運の象徴だ。縁起がいいな。
「おはようございます、第三王子殿下」
「おはよう、アンナ！」
私の言葉に、目を開ける第三王子殿下。
「見てください、虹ですよ」
「わあ、本当だ！」
「縁起が良いですね」
「うん！」
すっきりと目覚められたようでご機嫌な第三王子殿下。しばらく二人で虹を眺めた後、お話をしながら歯磨きや洗顔、着替えをお手伝いして、髪を整えた。
「第三王子殿下は青や藍色が本当に良く似合いますね！でもたまには赤とかもいいなぁ…明日は赤がメインの服をご用意してもよろしいでしょうか？」
「もちろん良いよ！」
「では、そろそろ朝御飯にしましょうか」
「今日の朝食は？」
「ふわふわのパンと、オムレツとウィンナー。サラダとコーンスープとオレンジです」
ちょっとだけ困った顔をする第三王子殿下。
「…サラダも、頑張って食べたらもっと元気になるかな」
「…！！！はい、もちろんです！」
「んー…あーん、してくれる？」
「もちろんです！さすがは第三王子殿下、とってもご立派です！」
そして朝食が部屋に届く。
「いただきます」
「では、僭越ながら…あーん」
「あーん」
第三王子殿下にあーんしてサラダを食べさせる。
「どうでしょうか」
「…出来れば、ドレッシングもっとドバドバかけて味をごまかしてくれてもいいんだけど。でも、食べれるよ」
苦手なものもちゃんと食べられて、うちの第三王子殿下は偉い！
「シェフに伝えておきますね」
「うん、お願い。僕が食べ終わったら、今度はアンナにあーんしてあげるからね！」
「はい、お願いしますね」
「任せて！」
そして第三王子殿下にあーんして、しっかり完食してもらった。その後私もあーんしてもらう。ちょっとだけ気恥ずかしいけれど、癒される時間だった。
「ご馳走さまでした！とっても美味しかったです！ありがとうございます、第三王子殿下」
「ふふ、どういたしまして」
片付けはメイドたちがしてくれる。
と、その時だった。
「その、第三王子殿下。そのお召し物、とても良く似合っていらっしゃいます」
いつぞやのメイドが、遠慮がちにそう言った。
第三王子殿下はきょとんとしたが、目をぱちくりとさせた後すごく可愛らしい笑顔をメイドに向けた。
「うん、ありがとう！」
メイドは少しだけはにかんで、すぐに側を離れた。
彼女もようやく第三王子殿下の魅力を理解したらしい。いい傾向だと思った。
