表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【長編版】病弱で幼い第三王子殿下のお世話係になったら、毎日がすごく楽しくなったお話  作者: 下菊みこと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/95

第三王子殿下とちょっとだけリハビリ

「さて、第三王子殿下」


「なあに?アンナ」


「ちょっとだけ、付き合っていただけますか?」


「いいよ、なあに?」


「軽いマッサージを試していいでしょうか?」


ご飯を食べ終わって少しのんびりした後、そんなことを言い出した私に第三王子殿下はきょとんとした。


「マッサージ?」


「はい。身体を少しでも動かした方が良いと思いまして」


「じゃあ、お願いしようかな」


にっこり笑って受け入れてくれた第三王子殿下。よかった。


「では、早速失礼しますね」


ベッドの上で横になっている第三王子殿下に、リハビリ用のマッサージを施す。


養老院に慰問に行った時、色々と教えてもらったので問題はない…と思う。


「おおー、マッサージってこんな感じなんだね」


「はい、痛くないですか?」


「んー…痛いけど、なんか効く感じがする。嫌な感じじゃないからもっと続けて欲しいな」


「わかりました」


よしよし、良い感じかも。


そのまま一時間くらい頑張ってリハビリ用のマッサージを続けた。


「…はい、終わりですよ。どうでしたか?」


「んんー!なんかスッキリした感じかな。痛かったけどとっても気持ちよかった!」


「それは良かった」


「ねえねえ、また明日もやってくれる?」


「はい、しばらくは毎日やりましょうね」


私がそう言えば、第三王子殿下は目を輝かせる。


「いいの!?ありがとう!マッサージとっても好き!」


「それならよかったです」


「アンナはすごいね、僕、今日は人生で一番楽しい日だったよ」


心底嬉しそうにそんなことを言ってくれる第三王子殿下。


「第三王子殿下、ありがとうございます。私も第三王子殿下とこうして過ごせてとても楽しい一日でした。第三王子殿下、これからたくさん毎日を楽しみましょうね」


「うん!」


頑張ってリハビリを終えた第三王子殿下とそんな約束をして、また第三王子殿下をベッドの上で横にする。


「そろそろお風呂の準備をしますね。少し休んでいてくださいね」


「うん」


お風呂の準備をしに部屋を出る。そこで、メイドの一人に声をかけられた。


「あの…」


「はい。どうしました?」


「その、あの。どうしてそこまで第三王子殿下に尽くすのですか?」


「…?」


質問の意図がわからない。


「…第三王子殿下は、正直冷遇されていらっしゃいます。優しくしても、なんの旨みもないですよね?」


「…はぁ」


まあそれはそうだけど。


「可愛いじゃないですか」


「え」


「可愛いから、愛おしいから大切にするんです。おかしなことはなにもありませんよ」


ぎょっとした顔を見て思わず吹き出す。今度は怪訝そうな顔をされた。


「あはは、ごめんなさい。ただのお世話係がこんなこと言ったらそれはそんな顔されますよね。でも、本当に第三王子殿下は可愛いんです。見た目だけじゃなくて、性格もすごく。…きっと、貴女方もいつかわかると思いますよ」


そう言って私は背中を向けたから、彼女の表情は分からなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ