87話 酔っ払い
「くろーどさんは〜もぉすこしわたしのことをしんよーしてほしいんです〜!」
「あっはは!!たしかに〜!」
あたまがポヤポヤしておもってたこと口からどんどんでてきちゃう…。ローザさんも笑いながらお酒を飲んでわたしのはなしを聞いてくれる。それがたのしくて、うれしくてどんどんはなしちゃう。ローザさんは空になったグラスにどんどんワインを注いでいってわたしもどんどん飲んでいく。それに比例するようにからだがあつくなってろれつがまわらなくなってきた……。
「わらしらってくろーろひゃんのやくにたちたい…。れもわらしがよわいせいで……。うぅ…」
「リリィちゃんはよくやってるわよ!最近まで魔力を知らなかったリリィちゃんがクロードについて行ってるだけでたいしたものよ。ほら飲んで飲んで!」
「うぅ……ありがとぉございましゅ」
ローザさんに注いでもらったワインをいっきに飲み干す。ますますあたまがぼーっとしてきた…。
「クロードはきっとリリィちゃんを巻き込みたくないのね」
「んぇ…?」
「クロードは人間が魔族と違って脆いことも弱いことも知ってるわ。だから人間のリリィちゃんを私たち魔族の問題に巻き込みたくなかったのよ。私だってそう。そういえばリリィちゃんはなんでクロードと一緒にいるの?ちゃんとは聞いてなかったわよね」
「わらしはゆくえふめーになったおにーちゃんをさがすためにくろーろさんといっしょにいるんれす。でもいまらにおにーちゃんのてがかりはなくて……」
「お兄ちゃん、ね。それは確かに心配ね。いつから行方不明なの?」
「じゅーねんくらいまえれす。さいごにあったときはあまりおぼえてないれすけど……」
「なるほどねぇ…。リリィちゃんもなかなか大変な人生を送ってるのね」
「んぅ……そぉれすか、ね…?」
なんかきゅうにねむくなってきた……。めのまえがかすんできて、ねむけにさからえない…。
「あら、リリィちゃんもう眠いの?眠いなら寝ちゃいなさい。私が部屋まで運んであげるから」
「ん……そぉします………」
なんとなく肯定して私はそのまま眠気に逆らわず深い眠りに落ちた。
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「すぅー………」
「ふふっリリィちゃん寝ちゃった」
リリィちゃんにお酒をすすめたら一杯飲んだだけですぐベロンベロンに酔っちゃった。私まだ全然飲んでないのに。まぁ空腹だったから仕方ないのかしら?さて、寝ちゃったリリィちゃんを部屋まで送らないとね。
「よいしょっと」
リリィちゃんを姫抱きにして起こさない様にゆっくりと運んでいく。まだ子供なのに大変な人生を送っているみたいね。リリィちゃんはメイと同じくらいの歳かしら。メイが10年前17歳だったからきっとリリィちゃんも同じくらいね。人間は歳がわかりやすいから大体の歳がすぐに分かるからいいわね。
それにしてもお兄ちゃん、兄が行方不明とはなかなかに大変ね。それに10年くらい前だともしかしたら大戦のゴタゴタに巻き込まれてるかもしれないしリリィちゃんは気が気じゃないわよね。でもクロードがそれだけの理由で人間のリリィちゃんを連れていくとは思えないわね。クロードにもクロードの理由でもあるのかしら。今度聞いてみようかしらね。
「はーいとうちゃーく」
リリィちゃんを部屋まで運んでゆっくりとベットに寝かせる。リリィちゃんは起きる気配がないから本当にぐっすり眠ってるみたいね。
「…ワフ……?」
「あら?起こしちゃったかしら」
気配で起きたのかベットの側で眠っていたフェンリルことヴァイスが目を覚まして眠そうな目で私のことを見つめている。さすがフェンリルなだけあって気配には敏感なのかしら。
「キューン……」
「ヴァイス、だったかしら。フェンリルの貴方が人間に懐くなんて珍しいわね。相当人懐っこいのかしら」
「ワフ……?」
「ふふっ。ごめんなさい眠いのにいろいろ話しちゃって。貴方もゆっくり寝なさい」
頭をそっと撫でてあげればすぐに目を閉じて身体を丸めて再び眠り始めた。こう見ると普通の犬みたいね。銀色の髪のリリィちゃんに白銀の狼のフェンリル。2人は何かしらの運命で巡りあったのかしら。フェンリルなんて何百年振りに見たし、そのフェンリルを人間が連れてるなんて思いもしなかったわ。リリィちゃんは何かしらの運命のもとで生きているのかしら。
「さーて私は飲み直そうかしらね。正直あれだけじゃ全然足りないし」
ベットで静かに寝息を立てて寝ているリリィちゃんの髪に結ばれている紫のリボンを解いて近くのテーブルに置く。銀色の髪に今は見えない紫色の瞳。本当にアイリス様と似てる。性格とか雰囲気とかそれに魔力の感じも懐かしさすら覚える。もしかしてクロードはアイリス様とリリィちゃんが似ているから連れているのかしら?
「いや、それはないわね。…おやすみリリィちゃん」
音を立てない様に静かに部屋を後にしてまた私の部屋に戻る。まだボトルに残ってるワインを飲む為にグラスへ注いで飲み直す。長い夜を美味しいお酒といっしょに過ごす。これ程の楽しみはなかなかないわね。またみんなでお酒を飲めるかしら。きっと来るわよね。




