83話 お兄ちゃん
「お父さん!」
「ゲホッ…はぁ…はぁ……ゴホッ!」
お父さんが急に倒れてから次の日。お父さんは急に体調が悪くなって今はずっとベットに寝たきりだ。私たちが集めてきた薬草も全然効果がなくてもうどうすればいいかわかんない…。
「リリィ、お父さんの様子は?」
「お兄ちゃん!ううん…全然良くならないの」
お兄ちゃんが外から戻ってきた。両手にはかごいっぱいの薬草がのってる。今日もお父さんのために沢山薬草を取りに行ってくれた。本当は私も手伝いたいんだけど外は危険な動物がいるからって手伝わせてくれない。
「そうか…やっぱり薬がなきゃ……」
「それは、絶対にゲホッ…ダメだ…!ゲホッゴホッ!」
「お父さん、大きな声出しちゃダメ。身体にさわるよ」
「どうしてだよ!どうしてそんなに僕たちを森の外から出そうとしないんだよ!」
「それは……」
「お兄ちゃん…」
「ごめんなさい…ついむきになっちゃった……。食料でもとってくるよ」
そう言ってお兄ちゃんは壁に立て掛けられていた弓矢をとってまた外に出て行っちゃった。お兄ちゃんが言ってることはわからなくもない。森の外に出て街へ行けばお父さんの病気に効く薬があるはずなのに。でもお父さんはどうしても私たちに森の外には行ってほしくないみたい。私はそれがなんでかはわからないけどお父さんが言うならそれなりの理由があるはず。
「リリィ…ごめんな……」
「いいの。謝らないで、お父さん。私たち早くお父さんに元気になって欲しいから好きでやってるの」
「………本当はお前たちには好きに暮らして欲しいのに…ゲホッ!ごめんなぁ俺のせいで……」
「なんでお父さんのせいなの。私はこの生活結構気にってるから」
「ごめんな……」
「……なんかあったかいもの用意するね。身体あっためたほうが身体にもいいよ」
なんだか暗い雰囲気になっちゃったから空気を変えるために何か飲み物でも用意しよう。あったかいものでも飲めば気持ちも落ち着くよね。
「リリィ…」
「なぁに?」
「俺が死んだらダリアとちゃんと生きていくんだぞ…ゴホッ…!」
「縁起でもないこと言わないでよ」
****
「ふぅ…」
台所でやかんでお湯を沸かす。椅子に座りながらパチパチと音を立てて燃えてるのをゆっくり眺める。火が燃えてるのを見るとなんだか落ち着く…。
「ゲホッ…」
やだ、自分も咳が。風邪かなぁ…。今日はあったかくして寝ないと。
「ゴホッ…ゲホッ!ゴホッゴホッ!!」
あれ?咳が、止まらない…。身体にも力が入らない。座ってることもできなくて椅子から落ちて床に身体が放り出される。全身が熱い。全身の血が沸いてるような熱で身体が燃えそう……。
「ただいま〜。リリィ?」
お兄ちゃんだ…。私、ここにいるよ。気づいて…。
「リリィ?リリィ!?」
「おにいちゃ……ゲホッ!」
「酷い熱だ…それにこの症状お父さんと同じ…!」
「はぁ…はぁ……ゲホッ!ゴホッ!」
「リリィ、今ベッドに連れていくからな!」
身体が浮く感覚がする。お兄ちゃんが運んでくれてるんだ。なんだか頭がボーッとして意識が遠のく感覚がする…。
****
「もう限界だ!僕は森の外に行く。そして街に行って2人の病気を治す薬を探す!!」
「ダメ、だ…ゲホッゴホッ!!」
「だってこの森に生えてる薬草は全部試した!だけどなんも効果がなかったじゃないか!!」
「それは……ゲホッ!」
「それにこのまま何もしなかったら2人が死んじゃう…。僕はこのまま黙って見てられない!」
「ダリア……」
「ごめんなさい、お父さん」
お兄ちゃんとお父さんの声が聞こえる。なんだか言い争ってるみたい…。会話の内容はよくわからないけどそんな感じがする…。
「リリィ、僕行ってくるよ。絶対に2人を治す薬を見つけてくるから」
お兄ちゃん、どこに行くの…?ねぇ行かないで……私を置いていかないで。お兄ちゃん…お兄ちゃん……!




