77話 2人目の再会
「ゲホッ…ヒュー…ヒュー……」
また口から血が溢れ出す。呼吸も荒くなって寒気もしてきた。身体が雨にさらされてるせいで余計に寒い。
「ゴホッ…はぁ…はぁ………」
「随分とこっ酷くやられたみたいねクロード」
「はぁ…ゲホッ…だれ、だ…?」
「酷いわね。長年一緒にいた顔を忘れるなんて。そっか毒のせいでよく見えないのね」
「ど、どうしますか?クロード様、結構限界みたいですよ?」
「そうね。アルバ、隠れ家に運んでおいて」
うっすらと聞こえる声からして女と男、か?それにしてもこの声どこかで…。
「ゲホッ…お前、ローザか…?」
「ふふっ久しぶりねクロード♡」
****
「ここら辺だった筈なんだけど…」
さっきまであの化身がいたと思う場所に来たけどクロードさんの姿がない。途中で化身が消えたから確信はないけどここだったはず…。
「ウー…ワン!ワン!!」
「ヴァイス何か見つけたのって、これってもしかして…血?」
もしかしてクロードさんに何かあったんじゃ?でもここにクロードさんはいない。私たちのところにも戻ってこないってことはやっぱりなにかあったんだ。
「クロードさんを探さないと…。そうだ!ノアさんから預かった魔石があるんだ。これでクロードさんを探せるはず…」
「グルルルル…ガァウ!ガァウ!!」
「だ、誰!?」
「あら、そこまで警戒しなくていいのよ。リリィちゃんにヴァイスちゃん」
「どうして私たちの名前を!?」
突然私たちの目の前に現れた女の人。よく見るとす、凄い格好だ…。モッズコートを羽織って羽織って、黒いシャツを着て胸元の最低限のボタンしか留めてないし、短いタイトスカートをギリギリの高さで履いて、ピンヒールで足がスラリと長い。ガスマスクをしててフードも被ってるから顔がよく見えないけど綺麗そうな人だ。こういう人だからこの格好が似合うんだろうな…。い、いけない!こんなこと考えてる場合じゃないんだ!
「ふふっ。クロードを探してるんでしょう?ついて来て」
「クロードさんのことまで…貴女何者なんですか!?」
「私のことを知りたいならついて来なさい。それともクロードのことはいいの?」
「よくないです!い、行きます!」
「いいお返事。じゃあこっちよ」
「ウルルルル……」
「ヴァイス…。今はこの人に着いて行くしかないよ」
ヴァイスを宥めて女の人に大人しく着いていくこっそりと魔石の魔法を発動させたけど今のところは女の人が向かってる先と同じ方向を示してるみたい。逸れはじめたら逃げないと…。
「こっちよ離れないでね」
「は、はい」
出口の方へ辿り着いてさっきまで見たトレイダ街へ戻ってくる。昨日に比べて薄暗くて街の雰囲気もなんだか変わって見える。
「ここよ。少し待ってて」
女の人に連れられてある廃墟の前までやってきた。人がいる様な気配はないけど魔石はここだって強く光ってる。でもこんなところにクロードさんが?
コンコン
「シュテレン・シュランゲ・イーリス」
ギイィ…
「こっちよ着いてきて」
「扉が…!」
女の人がドアをノックして呪文の様な言葉を発するとボロボロの扉がひとりでに開いた。扉の先は真っ暗だけど女の人は気にせず進んでいく。
「行こうヴァイス。きっとこの先にクロードさんがいるはず」
「ワン!」
ヴァイスと一緒に満を持して暗闇の先へ進む。光がない真っ暗闇だけど近くにいるヴァイスの姿ははっきりと見える不思議な空間だ。少しの間歩いていると目の前が光に包まれる。
「まぶしっ…!」
「ワフッ!」
「ようこそ私の隠れ家へ。歓迎するわリリィちゃんにヴァイスちゃん」
「なに、ここ……」
外のボロボロの廃墟に見合わない綺麗な部屋。天井にはシャンデリアが吊らされていてふかふかで綺麗なカーペットが敷かれている。アンティーク調で素敵な部屋だ。
女の人もさっきまで被ってたフードとガスマスクを外して顔がよく見える様になった。綺麗な青色の長い髪で、少し釣り上がった目と漂う雰囲気が色気があって大人の女性って感じだ。
「さて、貴女がここに来た理由忘れてないかしら?」
「そうだ!クロードさん!クロードさんは平気なんですか!?」
「ふふっ落ち着いて。元気なこは好きだけどまずはお話ししましょう。まず、クロードはひとまずは大丈夫よ」
「よ、よかった…」
「ワフ!」
「私はクロードに頼まれて貴女をここへ連れてきたの」
「そうだったんですか…。あ、あとずっと気になってたんですけど」
「なに?」
「クロードさんとどういう関係なんですか?」
「そうね〜恋人?」
「え!!??」
「ワフッ!?」
「冗談よ。改めまして初めまして、私はローザ。クロードとは昔からの仲間、同僚のようなものね。そうだクロードに会って来なさい」
「いいんですか?」
「えぇ。今の貴女にクロードの今の状況を見せた方がいいと思ってね」
ローザさんの言い方が少し気になったけど、ローザさんに言われたようにクロードさんがいるという奥の部屋へ入る。
「あ、ローザ様…。も、戻っていたんですね」
「どう?クロードの容体は」
「さ、最初よりは呼吸も安定してきていますが、みゃ、脈は以前弱いままです…」
「そう……やっぱり駄目ね」
「クロードさん………?」
部屋に入ると中央に置かれているベットにクロードさんが寝ている。クロードさんの顔は真っ青で汗を凄いかいてる。クロードさんになにがあったの…?
「クゥン……」
「クロードは今、正体不明の毒に侵されているの。私でも手こずるほどのね」
「クロードさんは、クロードさんは助かるんですよね!?」
「今のところどっちとも言えないわ。さっき延命処置として毒の巡りを遅らせたけど完全には解毒はできてない。解毒剤が完成するまでにクロードが耐えられるかどうか…」
「そんな……!?」
「全力は尽くすわ。リリィちゃんお話は後でゆっくりしましょう。私は今からクロードの診察をするから部屋の外で待っててね。アルバ、リリィちゃんをおもてなししてあげて」
「わ、分かりました。リ、リリィさん。こちらへどうぞ」
「は、はい」
「キューン……」
ローザさんにアルバと言われた少しおどおどしている背の高い男の人に部屋の外へ案内される。毒…クロードさん大丈夫、だよね。絶対、絶対に助かるよね…。
「ク、クロード様でしたらきっと大丈夫ですよ。ローザ様は毒のスペシャリスト、ローザ様に扱えない毒はありませんから」
「えっと、貴方は…」
「あ、申し遅れました。ぼ、僕はアルバ・フォリックといいます。お見知りおきを…」
「私はリリィです。はじめまして…。こっちはフェンリルのヴァイスです」
「ワン!」
「ロ、ローザ様から聞いています。クロード様と一緒にいる人間の人だって…」
「気になってたんですがなんで私のこと知ってるんですか?」
「そ、それはローザ様に聞いた方が早いと思います…。そ、そうだ僕お茶、お茶淹れてきますね」
「ありがとうございます…」
アルバさんが別の部屋へ向かって行ってしまった。…思い出しちゃう。クロードさんのあの姿。1人で行かせちゃ駄目だったんだ。クロードさんがいくら強いからって不死身ってわけじゃない。私が弱いからクロードさんに危険な役目を負わせてしまった…。
「キューン……」
「ヴァイス…ありがとうね」
ヴァイスが私の脚に擦り寄ってまるで元気出してって励ましてくれてるみたい。
「あ、あの…だ、大丈夫ですか…?」
「ごめんなさい少し考え事をしてて…」
「し、心配ですよね。クロード様」
アルバさんがティーポットとカップをカートに載せて運んできた。ティーカップにお茶を高い位置から淹れて凄い光景だ。高い位置から淹れてるのにお茶を一滴も溢してない。
「ど、どうぞ。きっと落ち着きますよ」
「ありがとうございます…。あの、気になってたんですけどアルバさんもやっぱりクロードさんと知り合いなんですか?」
「ぼ、僕はローザ様の直属の部下だったので、クロード様と直接的に会うことは少なかったですがい、一応会ったことはあります、ね……」
「それじゃあアルバさんも魔族なんですね」
「ぼ、僕はヴァンパイア、吸血鬼と言われる種族です。耳、とんがってますよね」
「あ、本当だ。でも吸血鬼って本当にいたんですね!」
「あはは……落ちこぼれですけどね。……なんだかリリィさんと話してると安心します」
「そうですか?言われたことないです」
「は、はい。懐かしい感じ、です」
初めて言われたそんなこと。クロードさんもそう思ってたのかな。今は聞けないけど…元気になったらきいてみようかな。




