75話 必ず戻る
「皆さん大丈夫ですか!?助けに来ました!」
「助けか…?」
「おい!みんな!!助けが来たぞ!」
ノアさんに教えてもらった場所で人が沢山集まっている場所に辿り着いた。沢山の人が手錠をされて鍵で手錠を開けていく。
「ありがとう、ありがとう!!」
「このまま一生奴隷として生きていくかと思った……」
「今は裏口に警備員がいないので早く逃げてください!」
「あ、あの……助けていただいてあれなんですが……私の友達が他の部屋で捕まってるんです……その、助けてもらえませんか…?」
「ここ以外にも…分かりました!ヴァイス、この人たちを出口まで案内してあげて。私は大丈夫だから」
「ワン!」
ヴァイスに今助けた人たちを出口まで送り届けてもらう。私は他のところにいるいる人たちを助けに行かないと。それに少し前から会場の方で大きな魔力が現れた気がする。クロードさんの魔力とも違う感じ…。早くみんな助けてクロードさんと一緒にここから脱出しないと。
「あっちだよね。早く助けないと」
***
「はぁ…はぁ…コイツの魔力無尽蔵なのか…?」
「ふぅー…お前も諦めが悪いな」
「諦めが悪いのが俺の取り柄なもんでな。それに諦める訳にはいかない」
「立派なもんだな。まぁ俺も仕事だし、それにセリオスがやられたってことなら俺もお前をそんな簡単に帰す訳にはいかない」
コイツと戦い始めてから数分。コイツはその間何発も上級魔法を使ってきたが一向に魔力が尽きる様子がない。コイツは銀髪じゃない。なら元の魔力自体は莫大ではないはず。きっとこの魔力量はアイリスの力によるもの。だがそれがどこの身体によるものか分からない。それさえ分かれば対処のしようがあるかもしれない。
「風の第六呪文:ガストブレイク!」
「くっ…!」
「どうしたんだ!避けてばっかじゃ勝負にならないぞ」
「分かってる!氷の第六呪文:アイスバーグ!」
地面から氷がアイツめがけてどんどん生えていく。しかし、簡単に飛び避けてしまった。コイツ魔法だけじゃなくて身軽なのか、本当に厄介だ。
「お前10年前の魔王軍の幹部だったんだろ。そんなものなのか」
「こっちにも色々事情があるんだよ」
「10年前お前は殺した人間の数を覚えてるか」
「はぁ…はぁ……残念ながら覚えてないな。あの時は人間が沢山いたからな態々覚えていっれない」
「ふぅー……そうか。まぁいいお前を捕縛した後で思い出させればいか」
「お前が何をしたいか知ったことじゃないがお前を倒す。俺にはそれしかないんだ」
会話をして時間稼ぎしたおかげで1つ分かったことがある。コイツの左脚、普段は魔力を感じないが一瞬だけ魔力を発する時がある。前の団長と同じだ。あの左脚がきっとアイリスの身体だ。あの左脚をどうにかして切り離せば勝機はある。だが1つ気がかりなことがある。コイツギフトらしき魔法を一切使ってこない。なんらかの条件があるのか分からないが不気味だ。
「風の第七呪文:エアリアルソード!」
「ランドウォール!」
「防がれたか…雷の第五呪文:エレクトロランス!」
「ブラスト」
ドガァン!
「爆発で!力づくか…」
左脚を狙おうにも悉く防がれる。戦況は一向に良くなる兆しがない。それを表すようにもともと曇っていた空がついに雨を降らせ始めた。身体は濡れはじめ体が重くなる。左脚の傷も水で染みる。
「降り始めたか…これじゃタバコが吸えないな」
「はぁ…はぁ……」
「苦しそうだな。お前無傷って訳じゃなさそうだな。セリオスがお前に一発重いのを喰らわせたか?」
「はぁ…これくらいじゃ俺は止まらない止まるわけにはいかない。俺は死ぬまで戦い続ける」
「立派なもんだな」
アオォォォォーーン……
「遠吠え?うぉ!なんだあれ!!」
「!!」
空に向かって燃える青い炎、それにあの遠吠え。ヴァイスの合図だ。うまくいったのか!これで時間稼ぎは不要。俺もこっちを終わらせて早く脱出しないとな。
「お前と戦う理由も無くなった。決着をつけようか」
「急だな。あの炎がお前にとってなんなのか知らないが俺もお前にやられるわけにはいかない。アシュレイのこともあるからな」
「!!」
アイツの魔力が急激に増え始めた。やはり左脚が魔力を発している。一体何をするつもりだ。
「全て燃やし尽くせ。この世界の理不尽も邪悪も全て灰とかせ」
「!!」
「炎の第十呪文:イフリート・サンドール!!!」
「最上級魔法…!!」
炎の化身が現れ雨の水分さえ瞬時に蒸発してしまう圧倒的な熱量。ここにいるだけでも熱を感じる。圧倒的な魔力量、昔の俺と同じくらいの魔力。団長と呼ばれるだけはある。
限られたものしか習得できない最上級魔法の第十の呪文。今の俺に扱えるだけの魔力が残っているか分からない。だがやるしかない。生きてアイツらの元へ戻らないといけないんだ。絶対に。




