71話 いつか見た夢
「お前なに泣いてんだ」
「え?あ、ほんとだ…」
クロードさんの話を聞いてたら無意識のうちに涙を流していた。涙を袖で拭う。だって…あんな話を聞かされたら泣くなって言われる方が無理だよ。
「えっと、じゃあヴァイスのお父さんのウォルフは昔クロードさんと一緒に暮らしてたんですか」
「短い間だったがな」
そういえばウォルフと別れる時にクロードさんがウォルフが誰か探してるって言ってたけど、もしかして妹さんのことを探してたのかな。
「言っておいてあれだが、やっぱり気持ちのいい話じゃないだろ。聞かせて悪かったな」
「そんな!そんなことないですよ。クロードさんが妹さんのことを大事に思ってて大好きだったんだって伝わってきましたよ。それに私、クロードさんのこと全然知らなかったので少しでも知れて嬉しいです」
「そうか……。俺は本当に妹のことが、モネのことが大事だった。両親から託された命、最後に残った唯一の家族だったからな。俺が弱かったせいでモネのことを守れなかったんだ」
「そんなのクロードさんのせいじゃないですよ!悪いのは妹さんを攫った人攫いなんですから」
「いや、俺の所為なんだ。俺がモネとの約束を守って人間を襲い始めなかったらモネがあんな目に遭うこともなかった。それにモネがいなくなってからずっとモネが夢に出てずっと俺のことを責めるんだ。俺のせいだ。自分があんな目に遭ったのは俺のせいだって。本当なんだ…。全部…俺のせいで……」
「クロードさん……」
「お前は俺みたいにはなるな。必ず兄を見つけろよ」
クロードさんが手で顔を覆って俯いてしまった。クロードさんが人間を嫌いなのは知ってたけどまさかそんな理由があったなんて…。私だってクロードさんの立場だったら人間を恨んで憎んでてもおかしくないと思う。それをずっと抱えて生きてたなんて。私はなんて声をかけたらいいんだろう。
「気を使わせたな。今日はもう寝よう。明日は早く出発しよう」
「クロードさん……その、今回はきっと助けられますよ!まだノアさんはまだ手の届く範囲にいるんです!だから絶対に助けましょう!」
「ふっ…そうだな。絶対に助けよう。そのためにも今日は早く寝ろ」
「分かりました!」
***
「ねぇ、ここ最近人間の行商人が襲われてるんだけどそれって君の仕業?」
「誰だお前」
横たわってる馬車に3人の人間の死体。それと私と同じ魔人の男の子。状況を見るにこの男の子がこの現場の犯人だよね。
「ダメだよ。人を殺しちゃ」
「いきなり現れてなに言ってんだよ。それとお前も魔人なら分かるだろ人間の薄汚さを」
「うーん……私はよくわかんないなぁ」
「……もう放っておいてくれ。邪魔をするな」
あんまり仲良くは出来なさそうだな〜。でも私としては仲良くしたいんだけど難しいのかなぁ。
「う、うぅ…痛い……」
「みんな、大丈夫…?」
「ありゃ?人間の女の子だ。なんで馬車の中から…?」
ぞろぞろと馬車の中からぞろぞろと人間の女の子が出てきた。みんな首輪と手錠をしてる。もしかしてあの馬車って奴隷商人の馬車だったんだ。なるほどね〜。
「ちょっといい?」
「ひっ…!魔族!!」
「じっとしててね。ふんっ!」
バキンッ!!
「あ、首輪と手錠が…!」
「みんな並んでねー首輪と手錠外してあげるよ」
女の子の首輪と手錠を片っ端から素手で壊していく。これくらいなら魔力で強化すれば簡単に壊せる。バキンバキンと次々壊していくのが気持ちよくなってきたところで全員分の首輪と手錠を壊し終わった。
「今度は捕まらないでねー!」
「本当にありがとうございました!」
「このご恩は一生忘れません!!」
女の子たちから感謝の言葉を聞きながら去っていく女の子たちに手を振ってお別れをする。いいことしたなー。
「さて、君のこと教えてくれない?」
「……忘れてなかったか」
「当たり前だよ!」
「はぁ……俺のことを知ってどうする」
「勿論仲間になって欲しいんだよ。君見た感じ凄く強そうだしさ!ね!」
「無理だ。帰れ」
「えー!いいじゃんケチんぼ!!」
「いいから帰れ」
「帰るって…私帰るところないし」
「ないって…お前家族は…」
「いないよ。ずっと昔に死んじゃった」
ずっと昔から1人で生きててウォルトカリアの外で生きててやっと見つけた仲間になってくれそうな人。ウォルトカリアの外だと魔族の自分と仲間になってくれそうな人がいないからよくやく見つけた魔人の男の子。この子きっと悪い人じゃないはず。
「はぁ……もういい。俺はもう行く。お前もなんとかして生きろよ。まあお前、銀髪だし大丈夫だろ」
「ん〜………もしかしてさあの馬車が奴隷商人のだったから襲ったの?」
「……………偶々だ」
「嘘でしょ。絶対にそうだ!でも、人間を殺しちゃダメだよ」
「なんでお前はそこまで人間を庇うんだ」
「私人間が大好きだから!」
「…俺は人間に家族を殺されたんだ」
「………そっか。私はお母さんを魔族にお父さんを人間に殺されたんだ。でも私は人間も魔族も嫌いじゃないし憎んでもないよ。私は2人を殺した人だけが嫌いだから」
「俺も…そんな風に考えられたら楽だっただろうな」
「別に今からでも遅くはないよ。ねえ私と一緒に来てよ。君となら私の野望を叶えられるはず!」
「野望って、なんだ」
「今の魔王を倒して新しいウォルトカリアを作る」
「な…!できると思ってるのかそんなこと!!」
「勿論」
「は、はははは…!お前馬鹿なのか?」
「馬鹿じゃないよ!本当にできると思ってるよ」
「お前面白いな。名前はなんて言うんだ。俺はクロードだ」
「私、アイリス。これからよろしくねクロード」
***
「………夢?」
なんか懐かしいような、初めて見るような夢を見てた、気がする。うーん…あんまり思いだせないや。
「起きたのか。早く出発する準備をしろよ。少しでも早く着いて街を調査したいからな」
「は、はい!今準備します!」
「ワフン!」




