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魔王復活目録  作者: わか3
トレイダ街編
69/128

69話 2人ぼっち




「ゲホッ…お兄ちゃんお腹空いたね……」

「そうだな…。何か食べ物取ってくる。そこで大人しく待ってろよ」

「うん。気をつけてね」


 家が燃えてお父さんとお母さんがいなくなってから一ヶ月。俺たちはウォルトカリアに入れず人間の街の裏路地でひっそり暮らしていた。裏路地にいる他の奴らにモネが襲われかけたり食べ物を奪われたりと過酷な生活をしていた。モネを襲ってきたやつは俺の魔法で追い払って最近はここら辺のやつは俺たちに襲わなくなった。人間は本当に醜い。自分の方が強いと分かれば見下し、自分の方が下だと分かれば媚びへつらい顔色を窺ってくる。あぁ…父さんと母さんはこんな奴らに殺されたのか。


「おい金持ってんだろ!よこせや!!」

「うっせんだよ!さっさとくたばりやがれ!!」


 至る所から怒声が聞こえる。あたりが暗くなると人間の気性が荒くなる。金を寄越せと言っている人間に他の奴に暴力を振るっている人間。こんなところはモネの影響に悪い。さっさと離れたいがウォルトカリアが戦争している間は帰れない。早く終わってくれ。


「おい、魔族。なんでお前がこんなところにいんだよ」

「お前みない顔だな。最近ここに来たのか」

「人間様に生意気なことを言ってんじゃねぇよ。お前ら魔族はさっさと自分の国にでも帰んな」

「知った口を……」


 俺に突っかかってきた人間。他の奴らに比べると少し身なりが整っている。俺のことを知らないってことは最近ここに来たやつか。魔族に対して差別意識を持っている典型的な人間だな。


「あ?なんだとお前。人間様の恐ろしさ思い知らせてやるよ!」

「炎の第一魔法:フレイム」

「ぐあぁぁあああ!!!!あちぃ!あちぃよ!!」


 振り上げた拳を受け止めてそのまま魔法を発動させる。受け止めた手のひらから炎を出したから人間の拳が炎に包まれて燃えている。いい気味だ。


「早く消さないと火だるまになるぞ」

「うぅ…あああぁぁぁああ!!!」

 

 痛みで叫んでいる人間を置いて裏路地を出て商店街の方へ向かう。昔襲いかかってきた人間の身包みを剥いで売り払った金が少しある。俺の角は目立つが表の方へ出ないと食べ物が買えない。本当なら奪いとってもいいがモネが嫌がる。身包みを剥いだ人間は自己防衛の結果だ。俺は悪くない。


「すまないがこれを2つくれ」

「はいよ…って!?おめぇ魔族じゃねぇか!!金はいらねぇから早くどっか行ってくれ!!」


 果物を売っている露天の店主に果物を2つ投げられどこかに行ってくれと手を払っている。落ちた果物を拾って足速にここを去る。金を払わなかったのはよかったが俺の角を見た瞬間顔を青ざめやがった。俺は害を与えられなければ何もしないのにな。


「モネ買ってきたぞ」

「ありがとうお兄ちゃん。早速食べよ」


 持ってきた果物をモネと一緒に食べる。瑞々しくて美味しい。手持ちの金があんまりないからこうしてちゃんとしたものを食べるのは久しぶりだ。最近はモネの調子が良くないからできるだけいいものを食べさしてやりたい。


「お兄ちゃん、さっき凄い悲鳴が聞こえたんだけど何があったの?」

「さぁな。また喧嘩だろ」

「そう、なのかな?」

「あぁそうだよ。そんなこと気にしてないでモネは早く寝な。最近調子が良くないんだから」

「うん…。そうしよっかな。お兄ちゃんもあんまり無理しないでね」

「分かってるよ」


 モネは俺に肩を預けて目を閉じた。無理をしない訳にはいかない。こんなクソな環境で生きていくにはどんなことをしなければいけないんだ。モネだけはどんな手を使ってでも守り抜かないといけないんだ。


「俺も少し眠くなってきたな…。少しだけ寝るか……」


 寄りかかってるモネの体温が心地よくて眠気に襲われ、少しなら寝ても大丈夫だろうと目を閉じる。すぐに心地よい眠りがやってくる。




 ****



「ぐすっ…お父さん、お母さん……ぐすっ……」

「モネ…」


 森を抜け出した僕たちはなんとか人間のいない場所にまで逃げてきた。モネはまだ現実が受け止められなくて涙をポロポロとこぼしている。僕だって信じられない。あんな一瞬でお父さんもお母さんも僕たちが過ごしていた家も一瞬で燃えたんだ。でも僕は泣けない。僕が泣いたらモネに不安を与えてちゃう。


 でもこれからどうしよう…。お父さんもお母さんも人間に殺された。僕たち魔族が生きていくにはやっぱりウォルトカリアに行くしかないのかな。ここからウォルトカリアは遠くはないから行けなくはない。でもウォルトカリアはまだ戦争中だし…。


「すぅ…すぅ……」

「寝ちゃってる…。あんなに泣いたから疲れちゃったよね。取り敢えず明日はダメ元でもウォルトカリアに行ってみよう。もしかしたら戦争がもう終わるかもしれないし」


 僕も寝たいけど眠気が襲ってこない。不安と目の前でお父さんたちが死んだ光景が目を閉じるとフラッシュバックする。目を閉じるのが怖い。早く夜が明けてくれればいいのに…。




 ****



「夢…… 」


 嫌な夢だ…。今でもたまに見る酷い悪夢…少し眠るとすぐにこれだ。最近は眠れなくなってモネに隈が酷いと言われてしまった。完全には太陽がのぼってなく空がグラデーションになっていて綺麗だ。


「ん…お兄ちゃん?」

「モネ、起こしちゃったか。ごめんな」

「ううん…ちょうど起きちゃっただけ…。ふわぁ……」

「そうか…。まだ朝じゃないからもう少しだけ寝てな」

「そぉする……」


 モネはまた目を閉じて眠ってしまった。今はまだ過ごしやすい季節だからいいがもうすぐ冬がくる。なんとか冬を乗り切らないと行けない。なんとかして金とかを集めないといけないな。


「なぁ知ってるか」

「なんだよ」

「最近ここら辺で人攫いが多いらしいぜ」

「怖いなそれ…。俺ら奴隷にされちまうよ」

「はっ!こんな汚くて力もないやつを奴隷にするかね」

「それもそうだな」


 俺らの近くにいる人間が何か話している。人攫い…昔そんな話を聞いたことがある。人間を攫って金儲けをしている悪どい奴ららしい。そんな人間がいるなんて考えられないな。まぁ俺たちには関係のない話だろう。




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