61話 特訓
「ふぅー………体の中にある核の中の魔力を身体中に流し込むイメージ……。どうヴァイス?上手くできてる?」
「キャン!」
クロードさんと喧嘩をしてしまった後からずっと魔力のコントロールの練習をしていた。段々と魔力を身体に流し込むのが早くなっていった。気がする…。正確にはどれくらい早くなってるかは分からないけど上手くいってる気がする。ヴァイスにも魔力の流れを見てもらって上手くできてるかを見てもらってる。魔力に関してはヴァイスの方が扱い慣れてるからありがたい。
「魔力を身体に回すのは上手く出来てきたけどやっぱりそれ以外は室内じゃ出来ないよね。魔法とか出来たらなぁ。ヴァイスは魔法使えるんだよね。いいなぁ私も魔法使いたいよぉ…」
「キャンキャン!」
「そうだよね出来ないことを言ってるより今できることをする!そう言ったもんね。あ!そういえばクロードさんが魔力で身体強化が出来るって言ってたよね。どうやるんだろう。うーん………そういえば身体に魔力を流してる時に魔力を流してるところがあったかくなってる気がする。魔力を放出した時も手のひらがあったかくなってたしあったかくなってることが大事?なのかな?」
「キャンキャン!」
「ん?どうしたのヴァイス」
「キャァン」
「ヴァイス?うわ!ど、どうしたの急に!?」
ヴァイスが急にジャンプして一回転をし始めた。ベットの上だったからよかったけど急にどうしたの?一瞬魔力を溜めてたし何かあるの?
「んー??あ!ヴァイスもしかして身体強化のやり方教えてくれたの?」
「キャン!」
「そっかぁ!いい子だねぇヴァイス!よーしよーし!」
「キャフン!」
ヴァイスを頭を撫で回して沢山褒める。さっきヴァイスがやったのは身体強化。見た感じ特別なことはしてなかった。でもあの瞬間を思い出してみればヴァイスの脚に集中して魔力が集まってた気がする。それに魔力が身体の表面だけじゃなくて身体の中まで魔力が集まってた。
「私が今までやってたのは身体の表面だけに魔力を集めてた方法。身体強化は身体の中に魔力を集めるイメージ。つまり筋肉に魔力を集める感じかな?うーん意識してやってみればできるかな?」
ヴァイスがやってたように脚の筋肉に魔力を集中させる。いつもとは違う魔力の流し方だから少し難しいけど上手く出来てる気がする。
「よし……いける気がする…。せーのっ!…いったあぁ!!??」
脚に魔力を集中させて軽くジャンプしたら思いっきり天井に頭をぶつけた。これたんこぶにならないよね!?血は出てないよね!?ぶつけたところがガンガンと痛みがはしって頭が割れそう!
「っ……!!はぁはぁ……でもこれって成功したってことだよね!やっったー!!でも、頭痛い………」
「キューン……」
「大丈夫だよヴァイス。ほらたんこぶはできてないから少ししたら痛みは引くよ」
でも今のでコツは掴んだ。でも身体強化は普通の魔力操作より時間がかかっちゃう。普通の魔力の扱いとは違うから全然慣れないなぁ。これも何回も練習するしかないなぁ。でもヴァイスはすぐに身体強化ができてたしやっぱり魔力操作に関してはヴァイスの方が上手いなぁ。
「ふぅ……あとは魔力の放出だけどこれは難しいなぁ。魔力を外に出すって感覚が難しいし、室内じゃできないしなぁ……。でも身体強化ができるようになればそれだけでも便利だしまずは身体強化の方を練習しよう!」
腕の身体強化は部屋にある机を持ち上げられるようになれば出来てることが分かるし室内でも出来る方だから頑張ろう。足元身体強化は、まぁ…ちょっと保留で………。
***
「はぁ……疲れたー!!」
疲れでベットに倒れ込む。ベットの横にある窓から沈みかけてる夕陽が見える。こんな時間まで練習してたんだ、私。
「キャン!」
「ヴァイスも練習に付き合ってくれてありがとうね」
倒れ込んだ私の横にヴァイスが寄ってきた。ヴァイスもこんな時間になるまで付き合ってくれてありがたい限りだ。この数時間で身体強化は少し慣れてきたけどやっぱり難しい。最初よりは出来るようにはなったけどそれでもまだまだだ。
「でもこれは上手く出来るようになったな〜」
手のひらに魔力で作った球体を作る。青白く光って綺麗だ。数時間で魔力の球体を簡単に出せるようになった。クロードさんが見せてくれたものよりは少し球体の側面がちょっと不安定だけど我ながら上手く出来てると思う。キラキラ光って綺麗だけど見た目に反して威力が凄いから早く戻そう。
魔力で作った球体、魔球の魔力を自分に戻す。魔球が塵になって手のひらに吸収される。これで安心だ。
グウゥ……
「お腹すいたなぁ。ヴァイスもお腹空いた?」
「キャンキャン!」
「そうだよねぇ。もうこんな時間だし。そういえば一階でご飯食べられるんだっけ。聞いてみよっかな」
昨日は色々あって疲れちゃったから晩御飯を食べる前に寝ちゃったんだよね。今日の朝に宿でご飯を提供してるって言ってたから宿のおばさんに聞いてみよう。
***
「あのすみませーん。晩御飯って頂けますか?」
「あぁ今丁度出来たから呼びに行こうって思ったんだよ。そういやお連れさんはどうしたんだい?」
「あー……その。ちょっといろいろありまして…」
「もしかして具合でも悪いのかい?」
「あ、いえ!ちょっと疲れてるみたいで部屋で休んでるみたいです。あはは……」
「そうかい。じゃあ後で持って行ってあげるか。お嬢さんの分はすぐに出来るから席に座って待ってな」
クロードさんと喧嘩してから気まずくなってから一度も顔を合わせてない。クロードさんはあれから部屋を出てないみたい。本当は謝りに行かなくちゃいけないんだけど、クロードさんがあんなに怒ってる姿を初めて見て少しクロードさんに会うのが怖くなってしまった。クロードさんに傷ついて欲しくない。死んで欲しくないっていう私の気持ちはエゴなの?会ってまだ短いけどクロードさんのことは全くの他人じゃない。もしクロードさんが大怪我なんかしたら私………。
「おまちどう様」
「あ、ありがとうございます…」
「なんだい?神妙そうな顔をしてたけど」
「い、いえ。ちょっと考えごとをしてて」
「そうかい。でもあんまり思い詰めないようにね」
「ありがとうございます」
おばさんが料理をトレーにのせて運んできてくれた。パンにスープ、それと鶏肉のソテー。質素ながらいい匂いがしてお腹がさらに空いてきた。そういえばヴァイスのご飯はどうしよう。魔獣の森で狩ってきたお肉はクロードさんが持ってるし。でも今、クロードさんと会うのはちょっと気まずい…。うーん……果物でも買ってこようかな。果物ならヴァイスでも食べられるし。
「ご飯食べたら買いにいこっと。いただきます」
パンを少しちぎってスープにつけて食べる。ちょっと硬いパンをスープにつけることでパンが柔らかくなって食べやすい。鶏肉のソテーも油がのってて美味しい。
***
「ご馳走様でした」
「あ、ちょっといいかい?」
「はい。なんですか?」
「ちょっと今から用事が入っちゃったからお連れさんに晩御飯を持って行ってあげられないかい?」
「そういうことだったら全然いいですよ。これを持っていけばいいんですか?」
「そうそう。おねがいねー」
おばさんが忙しそうだったからおばさんに変わってクロードさんの晩御飯を持って行くことになった。おばさん本当に忙しそうだし部屋を借りてる身だからこれくらいのお手伝いなら全然構わない。けど、今クロードさんと直接会うのは少し勇気がいるからドアの前に晩御飯を置いておこう。
「あの、クロードさん……。その、晩御飯部屋の前に置いておきますね」
「…………」
「ク、クロードさん…。私、少し言い過ぎちゃったのかもしれません。でも私だってクロードさんのこと心配してってこと忘れないでくださいね」
聞こえてるかはわからないけど私の言いたいことを言えた気がする。クロードさんは私のことを心配してくれてくれてる気がする。でもクロードさんは自分自身を大事にしてない気がする。だから私はクロードさん自身のことも大事にして欲しい。それが私がクロードさんに伝えたかったこと。
「それじゃあ私行きますね」
「……ちょっと待て」
「クロードさん!」
少しドアが開くと麻袋と木製のお皿がこっち側に投げ込まれた。麻袋からは少し生臭い匂いがする。
「魔獣の肉が入ってる。生肉だがフェンリルなら問題なく食べられる。ヴァイスに食わせたら俺の部屋の前に置いておけ。皿は返さなくていい。また必要になったら呼べ」
「あ、はい!」
そういうとドアは完全に閉まってしまった。廊下に残された麻袋を拾って私の部屋に戻る。
「キャンキャン!」
「ヴァイスお待たせ。クロードさんからお肉貰ってきたよ」
「キャァン♡」
麻袋からお肉を1つ出してお皿にのせる。お皿をヴァイスの前に置いた途端に勢いよくお肉を食べ始めた。生肉って大丈夫かなって思ったけど躊躇いなく食べてるから大丈夫そう。でもヴァイスはもともと野生だったから普段から食べてたのは生肉とかだから大丈夫だよね。人懐っこいからたまに野生ってこと忘れちゃう。
「ケフッ」
「あ、もう全部食べちゃったの?食べるの早いね」
「キャン!」
もう食べ終わったヴァイスの口周りはお肉の血や油で汚れてる。可愛い顔にそぐわない悍ましい光景だ…。ハンカチでヴァイスの口周りを拭いてあげる。
「そしたら私はクロードさんにお肉返してくるね」
「キャン!」
麻袋を持ってクロードさんの部屋の前に行く。すぐ隣だからすぐに着いちゃうんだけどね。
「クロードさんお肉ありがとうございました。明日の朝にも貰いにきますね」
「…………」
また返事がないや。もう寝ちゃったのかな。今日は私と別行動だったしクロードさんも色々あったのかな。今度ちゃんと謝らないと。
「クロードさんおやすみなさい」
クロードさんに挨拶をしてから私の部屋に戻る。
「ありゃ。もう寝ちゃった、か」
部屋に戻ったらベットの片隅で既に寝てるヴァイスがいた。
「んふふ。こんなに可愛いのにあんなに強いだよね。凄いなぁ」
ヴァイスの横に座って頭を優しく撫でる。寝てるにも限らず耳がぴょこぴょこ動いてる。こんなに小さい体なのに一瞬でお肉を食べちゃったんだよね。凄いなぁ。
「私ももう寝よう。今日は練習いっぱいして疲れたなぁ」
明日も魔力の練習かな。本当は実践もしたいけどヴァイスがいるとはいえ街の外に出るわけにも行かないしなぁ。
「団長が来るまでまだ時間がある。それまでに少しでも魔力を上手く扱えるようにしてクロードさんの反対を押し切ってでも団長と話をしないと」
書き方を少し変えてみました。多分こっちの方が読みやすくなったと思うので、これからこっちの書き方に変えます。




