60話 喧嘩
「ご馳走様でした」
パフェを全部食べ終わって席を立つ。エンイツさんが本当にお会計を済ませてくれたみたいでそのままお店を出る。私はこのまま宿に戻ろう。そういえばクロードさん今何してるんだろう。エンイツさんから団長の話を聞けたからクロードさんにも教えてあげたいんだけどどこにいるんだろうなぁ。でも夜には宿に戻ってくると思うし夜まで宿で待ってればいいかな。
「キャンキャン!!」
「ん?子犬の鳴き声?どこにいるの?」
考え事をしながら道を歩いてると何処からか子犬の鳴き声が聞こえてきた。何処にいるんだろう?ここ人が多いから人混みに巻き込まれたら大変!
「どこ〜どこにいるの〜。出ておいで〜」
「キャン!!」
「あ、いた!ってあれ?きみって……」
「キャン!」
「ヴァイス!?え、え?な、なんでここに!?いや、その前になんでそんなに小さくなってるの!?」
鳴き声を辿って見つけた子犬は白銀の毛色であのヴァイスとそっくり。でも顔つきとか雰囲気がヴァイスそのもの。でも体の大きさが前見た時の半分以上になってる。でもでも魔力の感じがヴァイスと同じだ。え、本当にヴァイス!?
「なーにあの子?1人で騒いで」
「あ、えーと…取り敢えず一緒にきて!」
ヴァイスとおもわしき子を鞄の中に入れて走って宿に戻る。鞄の中は揺れてると思うけど我慢してね!
「はぁ…はぁ………。やっと、着いた…」
「ありゃどうしたんだい?そんなに息を切らして」
「おばさん…。いや、ちょっと色々ありまして。えへへ…」
「あ、そうだ。連れの男の人部屋に戻ってきてるよ。それと宿も2日分延長してくれたからゆっくりしてってね」
クロードさんもう戻ってきてたんだ。あ、クロードさんなら鞄の中の子のこと何か分かるかも。ヴァイスだったとしてもなんで小さくなってるのか分からないし…。
コンコン
「クロードさんちょっといいですか?」
クロードさんに聞くために部屋の前に来た。ドアをノックしてクロードさんに部屋に入っていいか声をかける。けど中から返事がない。クロードさん出かけてる?でもおばさんはそんなこと言ってなかったし。う〜ん…入っても大丈夫かな?でも勝手に入るのもなぁ…。
「………クロードさん失礼しますね。ってあれクロードさん寝てる…」
クロードさんはベットで横になって寝てる。お昼寝かな?クロードさん疲れてたのかな。クロードさんいつも考え事をしてるしたまにはこうやって休んでほしいな。
「キャン!キャン!」
「あ、ちょっと!クロードさん寝てるんだから静かに」
鞄から飛び出してきたヴァイスがクロードさんの方に駆け寄って行った。クロードさんの周りを飛び回ってクロードさんを起こさないように抱き抱える。うわぁすごい。毛がフワッフワッだ。
「いや、もう起きてる」
「うわぁ!?ク、クロードさん!起きてたんですか!?」
「お前が部屋に入ってきた時からだ」
「なら声をかけてくださいよぉ…」
「で、コイツはもしかしてヴァイスか?」
「クロードさんは驚かないんですか!?だってこんなに小さくなちゃってるんですよ!」
「コイツはフェンリルだ。フェンリルは体の大きさを変える特有の能力を持ってる。だから子犬ぐらいまでの大きさになってるんだろう」
「そうだったんですか!じゃあやっぱりこの子はヴァイスなんだ。ヴァイス〜また会えて嬉しいよ〜」
「キャァン!」
腕に抱えてたヴァイスに頬擦りをする。う〜ん犬特有の匂いがする。野生だったから普通より匂いが強い。
「それにしてもここまで小さくなれるとは。フェンリルはどちらかといえば本来の姿よりも大きくなるイメージが強いからな。それにしてもお前ここまで小さくなって何をしにきたんだ」
「確かに。ヴァイスここまで来てどうしたの?何かあった?」
「キャンキャン」
「犬語はちょっと分からないなぁ…」
「犬というより狼の方が近いだろう」
「キャン!」
「う〜ん……あ!もしかして私たちと一緒に来たかったの?」
「どういうことだ?」
「クロードさん、ヴァイスを連れて行く時にフェンリルは目立つから連れていけないって言ってたじゃないですか。だからこのサイズになれば目立たないからここまで小さくなったんじゃないかなって」
「ヴァイス本当なのか?」
「キャン!」
「これは肯定ってことでいいんですかね?」
「表情からして多分そうだな」
「ヴァイス〜!も〜本当にいい子なんだから!」
「キャン!」
そっかヴァイス私たちと一緒に来るためにここまで小さくなって着いてきたんだ。嬉しいなぁ。私もあそこでお別れは寂しかったしヴァイスもそう思ってくれて嬉しい!
「そしたらヴァイスはコイツに着いててくれ。この街には人攫いが少なからずいるからな。なにかあったら守ってやってくれ」
「キャン!」
「それで要件はそれだけか」
「あ!ついヴァイスのことで頭から抜けてた!クロードさん私団長の情報をゲットしてきましたよ!」
「本当か!?」
「はい!親切な男の人が色々教えてくれたんです」
「そうか…。で、どんな内容だった」
「えっと、二日後の見回りは街の中央区域のカラット区域に見回りに来るらしいです。それで私もお兄ちゃんのことを聞くために団長に会おうと……」
「それはダメだ」
「え?な、なんでですか!?」
「俺は団長とアイリスのことを無理矢理にでも聞き出す。俺は戦うつもりだ。そうなったらお前はその戦いに巻き込まれる可能性が高い。お前は来るな」
「で、でも……」
「兄を探すために命を落としたら本末転倒だ。だからお前は来るな」
「そんなのクロードさんだっていっしょじゃないですか!」
「俺は別にいいんだ」
別にいい?そんなの可笑しいよ!私だってクロードさんのことを心配してるのに!!
「そんな言い方しないでください!クロードさんはもっと自分のことを大事にしてください!クロードさんだってアイリスさんを復活させるのに命をかけてそれで本当に命を落としたらダメです!だからもっと……」
「お前になにが分かるんだ!!俺のことを何も知らない癖に!もういい………。いいか、お前は二日後絶対にカラット区域に来るな。もし来たら命の保障はしない。……早く自分の部屋に戻れ」
「クロードさん………」
「………………」
「行こっかヴァイス…」
クロードさんとの間の空気に耐えられなくなっていう通りにヴァイスを抱えて部屋を出て行く。すぐに私の部屋に入ってベットに座り込んでヴァイスを少し力強く抱きしめる。
「喧嘩、しちゃった。言い過ぎちゃったかな…。でも私だってクロードさんのこと心配なんだもん。それに私だってクロードさんのこともっと知りたいよ」
クロードさんのこと知りたい気持ちもあるけど、クロードさん昔のことをあんまり話たがらないのは多分昔に何かあったからだと思う。初めて会った時にクロードさんが昔話を話してくれた時にクロードさんの表情は懐かしみと同時に悲しみ、悔しさが混じってた気がした。クロードさんがアイリスさんのことを復活させたいのはきっと昔のことを悔やんでるからだと思う。クロードさんとアイリスさんがどんな関係なのかは分からないけどきっと親密な仲だったから私が簡単に踏み込んでいい感じじゃない気がする。
「クロードさんから教えてもらうのを待ってるしかないか…」
「キューン………」
「ヴァイス…ありがとうね。団長のことどうしよう。来たら命の保障はないって言われちゃったし。でもそれってクロードさんも危ないってことだよね。はぁ……私ができることってなんだろう。……………いや!考えてる暇はないよね!今私ができることをしなきゃ!!」
「キャン!」
今私に出来ること。まずは魔力のコントロールの練習!今のままじゃ何かあった時に咄嗟に魔力を使えないからとにかく練習!私は学ぶよりひたすら練習して慣れる方が向いてる。頑張らなくちゃ!!




