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魔王復活目録  作者: わか3
ヒスイ街編
56/128

56話 別行動


 団長が来るのは三日後、いやもう二日後か。この街に来るなら会えるかもしれない。だが簡単に近づけるとは思えない。もし近づけたとしても簡単に話せるとは思えないしな。面倒なことになるのは確実だ。


 さて、問題なのはアイツだ。アイツは魔力の操作ができるとはいえまだまだ荒削りだ。前線におけるわけがない。俺が団長のところに向かう時にアイツは置いて行くしかない。魔石工房…あそこなら安心だろう。上手く団長からアイリスの情報を聞き出せたら最悪アイツを置いて行く判断も……。


「いや、考えたって仕方ないな。あと二日。それまでに準備は完璧にする。10年前と同じことは繰り返さない。その為に街で情報を集める。今日、いや明日までアイツとは別行動だな」


 それにしてもまだ、人攫いがいまだにいるらしいが、ここは治安がいいらしいから路地裏や人通りの少ないところに行かなければ大丈夫だろう。






「え、今日は別行動ですか?」

「あぁ。できれば明日までだ。俺は俺でやることがある。その間お前は好きにしてろ。金は渡しておく。お前もやりたいことあるだろ」

「確かにお兄ちゃんのことをまだ聞きたいですけど、クロードさんは何を?」

「お前には関係ないことだ。あと、好きにするのはいいが裏路地や人通りの少ないところには行くな。人攫いがいるかもしれない。騒ぎは絶対に起こすなよ」

「分かりました……」


 アイツには悪いがこれは俺個人の問題だ。コイツは戦いに巻き込まれるべきじゃない。コイツは争いを知らない純粋なやつだ。そのままでいて欲しいのは俺のエゴだがな。


「じゃあ明日まで別行動だ。くれぐれも人攫いには気をつけろよ」

「はい。クロードさんも気をつけてくださいね」


 俺に気をつけろなんて言うのはコイツくらいだ。もしや俺の狙いに気づいて?まさかな。コイツ勘が悪そうだからな。それはないか。


「金は多少渡しておく。好きに使っていいが無駄使いはするなよ」

「私のこと子供だと思ってますか?」

「俺にとって人間は全員赤子みたいなもんだ」

「確かにそうですけど……」

「それじゃあくれぐれも人攫いには気をつけろよ」

「分かってますよ」


 アイツに多少の金を渡してから宿を出る。さて情報を集めるとしてどこに行くか。人が集まる場所といえば酒場だが朝から酒場にいる奴なんていないだろう。いたとしてもその人間はまともな奴じゃないだろう。そこら辺にいる輩に聞いてみるか?少しゆすれば何か情報を吐くか?いや二日後まではあまり目立たない行動をした方がいいな。


「金でも渡せば何か話すか?」


 金で動くのは大体裏側で生きてる人間だ。裏路地にでも行けば一人や二人はいるだろう。だがここら辺は治安が良すぎる。輩の一人もいない。もう少し街の外側に行くか。







「クロードさんどうしたんだろう?」


 やっぱり団長の情報を集めに行ったのかな?そしたら私を置いていく理由はないし…。うーんやっぱりクロードさんのことまだ分からないな。


「さて、私はどうしようかな。お兄ちゃんのことを聞くにしても何も手掛かりがない状態だとな。そうだ!レオンさんに聞いてみよう!お兄ちゃんが行った薬屋さんのことを聞いてみよ」







「で、俺のところに来たって訳か……」

「はい!」


 早速レオンさんのお店に行ったら案の定レオンさんがお店で寝てた。今はレオンさんを叩き起こしたところ。この人いつも寝てるのかな?


「ハァー……俺も暇じゃねぇんだけど」

「でもさっきまで寝てたじゃないですか」

「あー……それは、あれだよ。仮眠だ」

「仮眠って…。まあいいですけど。今日はちょっと聞きたいことがあって」

「聞きてぇこと?なんだよ」

「レオンさん。昨日お兄ちゃんに道案内したって言ってましたよね。お兄ちゃんが行ったところを教えて欲しくて」

「あーそんなことか。そんくらいのことなら別にいいが……そういやぁ今日は相棒はどうしたんだ?」

「相棒?もしかしてクロードさんのことですか?」

「あぁそいつだよ」

「何かすることがあるっぽくて今日は別行動です。それがどうしたんですか?」

「いや、ちょっと気になってな…。お前クロードがどんな奴か知ってんのか?」

「クロードさんのこと…」


 クロードさんのこと全然知らないな私。クロードさんが魔族ってことを知ってる人間は私ぐらいかもだけど、それ以外は私全然知らない。なんでクロードさんがそこまでしてアイリスさんを助けようとしてるのかも知らない。クロードさんが私のことをあんまり詮索しないから私もクロードさんのことをあんまり知ろうとしなかった。私、もう少しクロードさんのこと知るべきだったかな。


「正直に言うとあんまり………」

「そうか…。ま、頑張れよ。俺は関係ねぇしな。で、店の場所だよな。ほら地図描いたからこれでいいか。……お前、地図分かるか?」

「分かりますよ!子供じゃないんですから!」」

「ま、それなら平気か。俺は今から仕事すっから早く行って来い」

「ありがとうございます!」


 レオンさんに貰った地図を見ながらお店に向かう。レオンさん結構丁寧に地図を描いてくれたから意外と分かるかも。


「えーっとここを曲がる、と。あったあったここだ」


 無事にお店に着くことができたけど、ここは薬屋?お兄ちゃん私たちのためにここまで来てくれたんだ。


「すみませーん」

「あー……お客さん、かね?」


 す、すっごいおじいちゃんだ。顔の皺が目立ってるし少し弱々しい。お兄ちゃんのこと覚えてるかな?


「なにかお探しかね?」

「えっと、今日は薬を買いに来た訳じゃ…」

「咳止めかい?それとも解熱剤かい?」

「えっとそうじゃなくてですね」

「おや、それとも頭痛薬かい?」

「えーっと……」


 ダメだ。全然話聞いてもらえない…。これお兄ちゃんのこと聞けるかな?聞けたとしても覚えてるかどうか…。


「おい!爺さん!」

「んあ?おーどうしたんだジョージ」

「ジョージは親父の名前だろ。ハァ…俺は孫のジャックだよ。全くすっかりボケちまって。あぁすみませんお客さん。爺さんちょっとボケてしまって」

「い、いえ。大丈夫です」

「それで何かご用はなんですか?」

「えっと10年くらい前に来たと思うダリアって人のことを聞きたくて」

「10年前、か。その時は俺はこの店にはいなかったし…爺さんダリアって人覚えてるか?」

「ん?なんだって?」

「あー……これはダメだな。すみません。力になれなくて」

「いえ!10年前ですもんね仕方ないですよ」

「爺さんが迷惑かけてすみません。また来てくださいね」

「はい、ありがとうございました」

 

 やっぱりダメだったか。まあ10年前の人を覚えてる人なんて珍しいもんね。逆にレオンさんはよく覚えてたな。本当に記憶力はいいんだ。


「ハァー………また手掛かりなくなっちゃったな。お兄ちゃんもこの街にはいないかもだし、次の街に行かないとダメかも」


 次の街、か。クロードさんは二日後に来る団長にクロードさんは用があるみたいだし、それまではこの街に足止めかな。


「諦めたらダメだよね!とりあえず観光しながらお兄ちゃんのことを知ってる人がいたら聞いてみよう」


 まずはこの辺りのことを知りたいから本が置いてるお店でも探してみようかな。それに魔力の扱いももっと上手くなりたいから魔力とか魔法についての本も探してみよう。

 



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