54話 一服
「あぁこう見えて俺は覚えがいい方なんだよ。で、そいつがどうしたんだよ」
あんまり期待してなかったけど、まさかレオンさんがお兄ちゃんのことを知ってたなんて!
「その人私のお兄ちゃんなんです!!10年くらい前から行方不明になっててどこに行ったか探してたんです!」
「おぉ!まさかお前の兄ちゃんだったとは。だったら多分あいつはもうこの街ににゃいねぇと思うぞ」
「え!!なんでですか!?」
「俺と会った時はアイツ何処か急いでてよ。確か薬を探してるって言ってたな。それから俺はアイツのことを見かけてねぇし別の街にでも行ったんじゃねぇか?」
「そうですか…」
「カシワ村の村長も言ってたが、お前昔に病気にでもかかってたのか」
「はい…。昔、お兄ちゃんが行方不明になる前、私とお父さんが病気になったんです。それも今までなったことのない病気で治す方法が分からなかったんです」
「不治の病ってやつか」
「はぁーそりゃ大変だったな」
「唯一病気にならなかったお兄ちゃんが森の外に出てったきり帰って来なかったんです」
「……そうか」
「なんかすまねぇな……」
………暗い雰囲気になっちゃった。…お父さんのことは言わないほうがいいよね。これ以上2人を困らせるのは良くないし。でもクロードさんはお父さんがもういないのは知ってるから察してるかも。
「なんだかすみません。こんな雰囲気にしちゃって!」
「まあ、あれだな。兄ちゃん見つかるといいな」
「あ、そういえばなんでレオンさんはお兄ちゃんのこと知ってたんですか?」
「あ?あー……アイツが街で迷ってる時にたまたま会って道教えてたんだよ。それぐらいのことだけだし、たいしたことじゃねぇよ」
「そうだったんですか。お兄ちゃんがお世話になりました」
「はいはい。お世話様です。じゃ俺は他の仕事がまだ残ってるから作業に戻るわ」
「世話になったな」
「お世話になりました」
レオンさんのお店を出て私たちはそのまま宿の部屋に戻る。久しぶりのベット少し硬いけど外で寝てた時よりずっといい。
それにしてもレオンさんからお兄ちゃんのことを聞けて良かった。お兄ちゃんは他の街に行ったかもしれないんだよね。それじゃあ次の街に行けばお兄ちゃんの情報を聞けるかも。あと、3日後に来るセリオス団長って人にもお兄ちゃんのこと聞いてみるといいって言われたけど上手く聞けるかな。クロードさんとのこともあるから少し難しいけど…。でもできるだけのことはしないと。
「ふわぁ〜……今日は沢山歩いて疲れちゃった。早く寝よ」
「あ〜やっと依頼された魔石の鑑定終わった……一服でもするか」
ノアのやつが紹介したクロードって奴の大量の魔石の鑑定を先にしたから他の依頼が後回しになっちまった。まあお得意のノアの頼みだから断れなかったんだよなぁ。普段は街の人間以外の依頼は受けねぇんだけどな。
ぽっけからタバコを取り出して着火の魔道具で火をつける。煙を肺に満たして吐き出す。
「ふぅー……それにしてもクロードってやっぱどこかで聞いたことあんだよなぁ」
あーどこだったか……そういや10年ぐらい前だった気が。丁度10年前の大戦の後に聞いた気が………
「あ!アイツだ!!アッツ!!!クソ、タバコ落としちまった!」
クソ、ズボン少し焦げちまった…。そうだ、アイツだ。アイツだった!『混沌のクロード』10年前の大戦で暴れた魔族軍の四芒星の1人じゃねぇか。よく噂を聞いてたのになんで今の今までに思い出さなかったんだ。いやあの時に思い出さなくて良かったのか?ていうか、ノアの奴なんて奴を紹介してきたんだ…。
「あー……どうすっかなぁ。通報するか…いや特にアイツが何かした訳でもねぇし別にいいか。通報したら俺も面倒に巻き込まれるだろうしほっとくか」
てか、ノアの奴はクロードの正体に気づいてんのか?それに一緒にいたリリィって女も知ってて一緒にいるのか?複雑な事情でもあるのか…。まあいなくなった兄ちゃんを探してるんだからな。人攫いにあってないといいがな。人攫いにあえば最後は最悪な末路を辿るしかねぇし。
「ノアにクロードのこと教えっか?………一応教えとくか。今日はもうねみぃし明日にでも行くか」
ハァー……さっさと寝ちまおう。仕事を大量にして疲れちまった。そういやクロード3日後とか言ってたな。何にもねぇといいが……。




