53話 醤油と第六騎士団
クロードさんの提案で街の外側に向かう。クロードさんの言うとおり外側に向かうにつれ、食べ物を売ってるお店が増えてきて、歩いてる人の服も私たちのような服を着てる人が多くなってきた。
「本当に住民街ですね」
「こういう街だと中央の人間は金持ちでそれ以外の人間は街の外側に住むって相場だからな。昔っからそうだ」
「ここに来たことあるんですか?あ、でもクロードさんは人間の街には詳しくないって言ってましたよね」
「……俺は子供の頃に人間の街に居た。最近の街は詳しくはないが、こういう街の成り方は昔っから変わってないみたいだな」
クロードさん子供の頃は人間の国にいたんだ。でもなんでだろう。言い出す時に少し言葉が詰まってたから色々事情があるのかな。詳しくは聞かない方がいいかも。
「食料だがお前に任せていいか?俺はあまり食に関心がなくてな」
「勿論です!戦いは役に立てないのでご飯のことに関しては任せてください!」
「あぁ頼む」
クロードさんといろんなところを歩いてお店をまわる。八百屋で野菜を色々買う。クロードさんは野草ぐらいしか葉物を食べていなかったらしい。栄養偏ってないのかな。魔族はそこら辺人間とは違ったりする?
買ったものはクロードさんが空間にしまってくれるので重い荷物を持たなくて済む。
「そういえばクロードさんは調味料持ってますか?」
「調味料か?塩ぐらいしか持ってないが」
「塩だけ!?塩以外も買いに行きましょう!」
「俺は塩だけでいいが…」
「よくないです!塩だけじゃ味に飽きちゃいますよ。今までよく大丈夫でしたね」
「腹に入れば全部一緒だ」
「う〜ん…そういう問題じゃなくて。食事は楽しくなきゃダメなんですよ!楽しくない食事は拷問みたいなものですから。…………いや、拷問は言い過ぎましたね」
「…そうだな。あっちが調味料専門店みたいだ。行ってみるか」
「行きましょ、行きましょ!」
調味料専門店は私もよく知らない調味料が沢山あった。香辛料とかは何に使えばいいか分からないから、これは買わなくていいかな。あ、胡椒だ!ウチにもあったし使い勝手がいいから買っておこうかな。えーっと値段は……
「き、金貨一枚!?」
「胡椒か。ウォルトカリアより高いな」
「た、高過ぎませんか?」
「胡椒は昔からこんなもんだぞ」
「う、ウチにあったからこんなに高いものだったとは知りませんでした……」
「逆にどうやって胡椒を調達してたんだ」
「確かに…。なんででしょうね」
「俺が知る訳ないだろ」
「えへへ。そうですよね。あ、このしょーゆってなんですか?」
ビンに入ってる茶色の液体。商品名に醤油って書いてある。流石専門店。知らない調味料まで置いてあるなんて。
「懐かしいな。醤油を作ってるのはジュナイダー王国っていう獣人の国だ。人間との交流は浅いはずなのによく手の入ったな」
「獣人!動物の耳や尻尾がある人のことですよね!やっぱり獣人もいるんだぁ」
「まあ獣人は基本ジュナイダー王国から出ることはないから会うことはないだろうな」
「うぅ…それは残念です…」
「お兄さんお目が高いね。その醤油は第六副団長のルイも気に入ってる品なんだ」
私たちが話してると店主の人が話しかけてきた。副団長…副団長!?この人副団長のこと知ってるんだ!クロードさんが知りたいのは団長のことだけど副団長なら団長と繋がってるはず!
「副団長!知ってるのか!?」
「勿論!ウチの常連ですから」
「この街に団長が視察に来るって噂を聞いたんですけど、いつ来るか知ってますか?」
「あぁそれなら知ってるよ。ルイが教えてくれてね。三日後に来るらしい」
「三日後!意外と近いですね」
「なんだ第六騎士団のファンなのか」
「えーあーそ、そうなんですよ!第六団長に会うためにヒスイ街に来たんですよ」
クロードさんが嘘も方便って言ってたし嘘も使いようってことだよね。うぅ心は痛むけど。
「おぉそうだったか!俺も好きなんだよセリオス団長。真面目で街の警護にも積極的でよ。おかげでこの街は他の街に比べて治安がいいんだよ」
「へぇそうなんですね!」
団長の名前ってセリオスって言うんだ。初めて知った。
「副団長はどんな奴なんだ」
「ルイかぁ…こいつはセリオス団長と違ってサボり魔なんだよ。よくサボってはセリオス団長に叱られててなぁ。ま、でもウチの常連だからありがたい限りだけどな」
「ルイ?どこかで聞いた名前だな」
「副団長のこと知ってたんですか?」
「いや、そう言うことじゃないんだが。昔に聞いた気が……」
「??」
クロードさんが副団長のことを知ってる?でもクロードさんの言い方的に副団長のことじゃなさそう。でもクロードさんのいう昔ってどれくらい前なんだろう。最悪100年前ってことも……。だとしたらただの同じ名前の人か。
「で、どうだい。醤油買うかい?」
「うーん。あ!結構いいお値段するんですね…」
金貨2枚…。胡椒よりも高い…。気になってたけどこれは買えないなぁ。
「そりゃそうだよ。入手が難しいジュナイダー王国から輸入してんだ。そりゃこれくらいするさ」
「ごめんなさい。お話沢山聞かせてくれたのに…」
「ま、高いからな。そもそも醤油を買うなんてルイぐらいしか買わないしな。そのためにわざわざ輸入してんだ」
「そ、そうなんですか」
「話を聞かせてもらった礼だ。醤油は買わないが胡椒を買っていく」
「お、気前がいいな」
「あと、これも買います」
あらかじめ籠に入れてた瓶入りのコンソメにバジルに生姜、ニンニク。流石専門店なだけあって品揃えが豊富だ。
「はいよ。えーっと全部で金貨1枚に銀貨2枚だな」
「ちょうどだな」
「ありがとうな!また来てくれよ!」
「あ、そうだ!店主さん。私のお兄ちゃん、ダリアって金髪の男の人知りませんか?」
「ダリア?うーん知らないなぁ。お前の兄さんなのか。すまないな力になれなくて済まないな。あぁそうだ!行方不明ってならもしかするとセリオス団長なら知ってるじゃないか?」
「確かに…。もし会えたら聞いてみます!」
「検討を祈ってるよ。兄さんに会えるといいな」
店主さんに言葉を交わしてお店を出る。結構長い時間買い出しをしてたみたいで空はもうオレンジ色に染まってる。
「そろそろ魔石の鑑定も終わってる頃だろう。行ってみるか」
「確かに。行ってみましょう!」
「レオンさーん来ましたよ。鑑定、終わってますか?」
「グゴォーー……」
お店に入るとレオンさんが寝てた。机に突っ伏して熟睡してる。体痛めないかな。
「寝てるな」
「寝てますね」
「おーい!レオンさーん起きてくださーーい!!」
「うぅ……なんだお前らか。ふわぁ…魔石の鑑定のことだろ。もう終わってるよ」
「そうか」
「さてこれが買取金だ。金貨7枚に銀貨9枚だ。確認してくれ」
机の上に麻袋をレオンさんが置く。見た目から沢山入ってる様に見える。
「うん。大丈夫だ」
「凄い大金ですね!」
「最近魔石が取れねぇんだよ。それで魔石の需要も高くてな。それに魔石を使う魔道具の開発も進んでて魔石が品薄なんだよ」
「なるほどな」
「ま、魔石の質も良かったしな。魔石が手に入ったら俺にだけに売ってくれなねぇか?」
「それはできかねない」
「ハッハッハッ!!冗談に決まってんだろ」
「あはは……」
「さて俺たちはそろそろ宿に戻る。三日後までに体調を万全の状態にしておきたいからな」
「ん?まあ、何があるか知らないが体調は気ぃつけろよ」
「あ、そうだレオンさん。ダリアって男の人知ってますか?」
「ダリア?金髪のお前ぐらいのガキか?」
「し、知ってるんですか!!?」




