50話 魔石工房
クロードさんが地図を見ながら歩いて行くのを着いて行く。レナさんが教えてくれた様に宝石を売っているお店が多い。街を歩いてる人たちも綺麗な格好をしてる。私の服はお母さんのおさがりらしいからちょっと古くなってるところがあるけど深緑のワンピースがお気に入り。
「どうやらここみたいだな」
「もう着いたんですか?」
「そうだな」
「ここがレナさんの弟さん、ノアさんのお店ですか」
看板に「魔石工房」と書いてある。他のお店よりも小さいけどそれでも立派なお店だ。他のお店が大きくて立派だからここのお店は隠れ家みたいなお店だ。
「邪魔するぞ」
「ちょ、クロードさん!」
クロードさんが躊躇いなくお店の中に入っていったのを私も遅れてお店の中に入る。お店の中は木の温もりが感じられて落ち着く感じ。その中でも知らない機械が沢山ある。看板に「魔石工房」って書いてあったから魔石を加工するのに使う機械なのかな?
「あれ、お客さんだ。いらっしゃいませ〜」
2階から男の人がおりてきた。薄汚れたエプロンを着てゴーグルを頭につけている。もしかしてこの人がレナさんの弟さんかな。少し目元が似てるかも?
「あ、もしかしてクロード様たちですか!」
「あぁそうだが…」
「わー!!ようこそいらっしゃいました!エルカさんからの手紙で話は伺ってます。僕がレナの弟、ノアです。どうぞこちらに」
ノアさんにお店の中を案内されてソファに座る。ソファがフカフカで座り心地がいい。ノアさんも優しい雰囲気でいい人そう。お姉さんのレナさんに似てるなぁ。
「本当にここまで来てくださってありがとうございます。それに僕の故郷まで救ってくださったと聞きました。改めて僕からお礼を言わせてください」
「頭を上げてくれ。俺たちもこの店を紹介してくれたお前の姉たちに感謝してる」
「本当にレナさんたちや村の人たちには私たちお世話になったんです。この帽子もレナさんに譲って貰ったんです」
「確かに帽子のその刺繍姉さんのだ。姉さんは年下には優しいっていうか過保護みたいなところはあるからなぁ。あ、もちろんいい意味ですよ!」
「分かります。レナさん私によく優しくしてもらいました。もちろんエルカさんにも」
「そういえば2人からお前によろしくと伝えられたな」
「え!エルカさんがですか!?そ、そうだ。エルカさんは元気そうでしたか?手紙には元気って書いてたけど村のこともあったからどうにも不安で…。あ、もちろん姉さんのことも心配ですよ。実の姉ですからね。でもエルカさんはロイド君のこともあったからちょっと不安で。でもこの感じだとエルカさんも姉さんも元気そうですよかったです!」
「あ、あぁ。村は中々の状態だったが村の人間たちは大丈夫そうだったぞ」
「す、凄い勢い。早口で全然聞き取れなかった…」
「よかった〜。そうそう。エルカさんの手紙で大体のことは知ってますよ。魔物や魔獣のことについて研究してるんですよね」
「そうだ。あと魔王についても研究してるが何か知ってることがあったら教えてくれ」
「魔王、ですか…。う〜ん特に知ってることはないなぁ。あ!そうだ。今度国王直属の騎士団。通称竜の騎士団の団長が来るんですよ。団長なら何か知ってるかもですね」
「その団長はいつ来るんだ!?」
「え!?う、う〜ん…僕もお客さんに聞いただけで詳しくは知らないんですよね。でも一ヶ月に一回は見回りに来るんですよ。今月はまだなのでそろそろじゃないかって話なんですよ」
「団長…団長レベルならアイリスのことを知ってる可能性も……」
「クロードさん?」
クロードさんノアさんの話を聞いてから少し様子がおかしい…。明らかに動揺してる。確かに団長がここに来るには想定外だったけど運がいい!国の騎士ならアイリスさんのことを知ってる可能性が高い。だとしてもこの動揺の仕方もおかしい気がする。
「あの、クロードさん。大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…。少し驚いただけだ。まさかこんなに早く団長に会えるかもしれないとは。だがこれはいい機会だ。確実に魔王の情報を聞き出す」
「お役に立てたみたいでよかったです。それと少し気になったことがあって…」
「なんだ?」
「そのタイループ魔石ですよね!それに片耳のピアスも。少し見せてもらってもいいですか?」
「それくらいなら構わないが」
そう言ってクロードさんはタイループの外してノアさんに渡す。クロードさんのタイループって魔石だったんだ。魔石に魔法を込めるは素人じゃできないって言ってたけどノアさんならできるのかな?
「これは、引き寄せの魔法ですか?随分と古い魔術ですね」
「そうだ。よくわかったな」
「僕もここまで古い魔術を見るのは初めてですよ。存在は知ってましたけど」
「引き寄せの魔法ってなんですか?」
「古い時代に存在した魔法ですよ。昔はよく魔石に組み込まれてた魔法なんですけど、最近だとこの魔法が施されてる魔石は全然見ないんですよね」
クロードさんは長い間生きてるみたいだから引き寄せの魔法の魔石を持ってるのはおかしいことじゃないか。でもなんで最近だと見なくなっちゃったんだろう。
「最近だと需要があまりないからな」
「需要?」
「引き寄せの魔法は昔の争いが絶えない時期に流行った魔法なんですよ。離れ離れになっても再び会えるようにっていうまた会うためのおまじないみたいなものだったんです。恋人の間でよく流行ってたらしいですよ」
「こ、恋人!?ク、クロードさんまさか恋人が…!?」
「違う」
「別に恋人だけじゃなくて家族や親友との間でも流行ってたらしいですよ」
「そういうことだ」
「び、びっくりした〜」
クロードさんに恋人がいると思っちゃった。まあもし恋人がいたら私と2人で行動しないよね。それにクロードさんからそういう話聞いたことないし。
「でもこの魔石、魔力回路切れちゃってますね。これじゃあ引き寄せの魔法発動しないですよ」
「あぁ。昔に少しあってな。それからうまく魔法が発動しなくなった」
「(魔力回路ってなんだろう……)」
「よかったら直しましょうか?」
「できるのか!」
「はい。これくらいなら」
「そうか。なら修理を頼む。お代はいくらだ」
「お代なんていりませんよ!村を救ってくれたクロードさんたちにお代なんて貰ったら姉さんになって言われるか」
「だが…」
「いいんですよ。村のことにくらべたらお代なんて安いもんですから」
「クロードさんせっかくのご厚意ですから。お言葉に甘えたらどうですか?」
「なら、頼む」
「はい!承りました!ピアスの方は大丈夫ですか?一応点検もしますけど」
「こっちは大丈夫だ。だがこれの他にもう一つ見てほしいんだが」
「はいなんでしょう?」
「お前魔石持ってたよな」
「え、私ですか?確かに持ってましたね。森でクロードさんにもらったやつが」
カバンの中を探すとハンカチに包んだ魔石が出てきた。翡翠色で手のひらに収まるサイズ。光に照らされるとキラキラ光ってすごく綺麗。
「この魔石にも引き寄せの魔法を込められるか」
「う〜ん…古い魔法で僕自身も初めて扱うんですけど、はい!できると思います。 魔石の質も申し分ないですし」
「そうか。なら頼めるか」
「クロードさん別に私はいいですよ!それに魔法を込めるのって大変なんですよね。クロードさんの魔石の修理もあるのに私の分までなんて…」
「舐めてもらっては困りますね!僕は師匠の元で6年修行してこの店を持ってから1年。受けられなかった注文は一切ありません!!」
「は、はい!そ、それじゃあお願いしてもいいですか?」
「もちろんです!あ、もちろんこっちもお代はいただかないので安心してください」
「それじゃあ頼む。どれくらいでできそうだ?」
「う〜んクロードさんの方は3日、リリィさんの方は1週間くらいですかね。リリィさんの方は魔法が古いものなので少し時間を貰いますけど」
「構わない。あと魔石を買い取ってくれる店を知ってるか?」
「魔石の買取ですか。でしたら僕がいつも利用してるところを紹介しますね。今地図を書きますね」
ノアさんは手元にあった紙に地図を書いていく。それにしてもなんでクロードさんは私の魔石までノアさんにお願いしたんだろう。別にそこまでしてもらわなくてもいいんだけどな。まさか私、迷子になると思われてる!?
「できました。ここが僕の店ですね。あんまり遠くはないので迷わないと思いますよ。あと僕のオススメのご飯屋さんと宿屋も書いておきました。よかったら行ってみてください」
「いろいろすまんな」
「いえいえ!僕は早速作業に取り掛かりますね。終わったら手紙を送りたいので髪の毛を一本もらってもいいですか?」
「髪の毛ぐらい別にいいが、そんなものなにに必要なんだ」
「えっと、これです。最近作られた魔道具なんですけど髪の毛を取り込んだ人のところに手紙やものを正確に届けてくれる優れものなんですよ」
ノアさんは棚から鳩を模ったものを取り出した。遠目から見ると普通の鳩だけど、よく見ると精巧な機械仕掛けになってる。凄いなぁ。
「凄いな。今はこんなものがあるのか」
「クロードさんも知らなかったんですか?」
「まあ最近できたものですしね。ちなみにこれ作ったの僕の師匠なんですよ!」
「凄い!こんな精巧な物を作れるなんてノアさんの師匠は凄いんですね!」
「僕の自慢の師匠です。今は僕にこの店を譲って古い友人と遠いところでお店をやってるんですよ」
「じゃあこの店は師匠からの贈り物なんですね。確かにこのお店年季が入ってて素敵なお店ですよね」
「ありがとうございます!」
「それじゃあ俺たちはそろそろ行く。遅くなると宿屋の部屋も埋まるかもしれないからな」
「それもそうですね。この街は観光に来る人が多いので」
「ノアさん魔石のことありがとうございます。また来ますね!」
「はい!終わったら手紙を送るのでヒスイ街楽しんできてくださいね」




