49話 ヒスイ街
「ワオーン!」
私とクロードさんが話してたら魔獣を仕留めに行ったヴァイスが戻ってきた。仕留めた魔獣をお土産にと私たちに持ってきた。
「わ、近くで見ると結構大きい」
「毛皮は、流石にこれじゃあ無理だな。ボロボロ過ぎる」
「確かに土で汚れてるし綺麗にするのも手間がかかっちゃいますね」
「クゥーン…」
「大丈夫だよ!毛皮は取れないけどお肉は食べられるから」
体も大きいから取れるお肉は多いだろうし食料には困らなさそう。クロードさんが仕舞ってくれればお肉は腐らないから便利だ。
「ここで解体したい気持ちはあるがいつまた魔獣が襲ってくるのか分からないから解体せずにそのまま仕舞っておこう」
「そうですね」
クロードさんは羊の魔獣をそのまま空間に仕舞った。それから私たちは再びヒスイ街に向かって歩き始めた。度々魔獣に襲われてはクロードさんたちが撃退、偶に私の魔力制御の練習をした。何回かやってる間に少し感覚を覚えてきた。最初に比べて魔力を込めるのが速くなった。気がする…。
クロードさんの教え方は中々難しかった。いや、クロードさんは感覚派で擬音が多くて分かりにくいって言った方が正しいかも。魔力の込め方はなんとなくわかったけど魔法だけはダメだった。クロードさんに初級魔法の呪文を教えてもらったけど呪文を唱えても魔法は出なかった。クロードさんも魔力については教えられるけど魔法ばっかりは無理らしい。
そうしてカシワ村から出発して約1週間。
「クロードさん見てください!あれ街じゃないですか?」
「本当だな。やっと着いたな。当初の予定より大分時間がかかったな」
「ワフン!」
「ヴァイスもここまで沢山戦ってくれてありがとうね」
「ハッハッ」
ヴァイスの撫で心地のいい頭を撫でる。そうだヴァイスとはここでお別れなんだ。クロードさんとの約束で街に着くまでヴァイスを連れて行くってことだったから。ヴァイスはここまで沢山戦ってくれたし私が危ない時には助けてくれた。ここでお別れなのは寂しいな…。
「ヴァイス〜お別れなんて寂しいよぉ…」
「クゥーン……」
「この先は警備をしてる衛兵がいるかもしれない。ヴァイスはここまでだな」
「うー…ヴァイス〜。ここまで本当にありがとうね」
「クゥーン…ワフン…」
「正直お前がいて助かった。礼を言う」
「ワン!」
「ヴァイスまたね!」
「またな」
「ワオーン!」
私たちはヴァイスにお別れをして街の方へ向かう。ヴァイスとはまた会えるといいな。でもまたすぐに会えるそんな感じがする。そうだといいな。
「やはり衛兵がいるな」
「そのまま通らせてもらえますかね?」
「どうだろうな…上手く誤魔化すか」
「どうやって?」
「魔獣を研究してる研究者で研究から帰ってきたていでいこう」
「カシワ村でエルカさんを騙したやつですね」
「その言い方どうにかならなかったのか…」
「でも本当じゃないですか」
「そうだが…まあいい。ほら行くぞ。話、上手く合わせろよ」
「了解です!」
街に入るために研究者というていで衛兵さんに話を通すことにした。エルカさんの様に上手く騙せるといいんだけど…。衛兵さんが駐在している街の入り口の門に歩いて行く。衛兵さんは3人。上手くいきます様に…。
「おい、そこの2人止まれ」
「すまないが通してもらえないか」
「お前たちは何者だ」
「わ、私たち魔獣を研究してる者でして。研究が終わったので街に戻ってきたんです!」
ヒィ〜!少し声裏がえちゃった。だ、大丈夫かな?
「そういうことだ通してくれ」
「身分証明書は?」
「なに?」
「研究者なら身分証明書を発行されている筈だが」
「……どうやら研究所に忘れたみたいだ」
ま、まさかそんなものがあったなんて。流石にクロードさんの言い訳は厳しい…。このままだと街に入れない。いや最悪捕まっちゃうかもしれない。クロードさんが話してる衛兵さんの他に2人の衛兵さんが私たちをジリジリと囲い始めてる。
「お前ら本当に研究者か?それにこの感じ……」
「!…お前少しの間息を止めてろ」
「え?」
クロードさんに耳打ちされていきなり変なことを言われる。なんで息を止める必要が?でもクロードさんのことだし何かあるのかも。クロードさんの言う通りにしておこう。
「この魔力!まさかお前…」
「チッ…」
クロードさんがいきなり何かを地面に叩きつける。するとあたりに煙が立ち込める。だからクロードさんは息を止めろって言ったの?でもこの煙は?
「まぞく、か…?」
バタッ……バタバタッ…
「これでよし。あとは目立たないところに置いておこう」
周りの衛兵さんたちが倒れちゃた。いびき、かいてる。もしかして寝ちゃった?あの煙のせい?クロードさんは寝ちゃった衛兵さんたちを草むらの影に移動させてる。
「クロードさん、さっきのはなんですか?」
「睡眠ガスだ。昔の知り合いに作って貰った。今のでストックが尽きたから今の様な強引な手段はできないからな」
「睡眠ガス…。そんなものを作れる知り合いって一体誰なんだろう…」
「衛兵が起きない内にさっさと行くぞ」
「分かりました。いつ他の衛兵さんが来るかも分からないですからね」
衛兵さんがいなくなった門を通り抜ける。通り抜けた先は沢山の建物に煌びやかな装飾がされてる街がそこにあった。絵本でしか見たことのない綺麗な街。思わず目を奪われる。
「綺麗…」
「中々なところだな。まずは弟の店に行くか。さっきの衛兵も力技で通り抜けたからなるべく早く身を隠したい」
「ハッ!そうですね。確かクロードさんエルカさんに地図もらってましたよね」
「あぁ、これだな。あっちの方か。早く行こう」
「はい!」




