43話 夜ご飯と加護
クロードさんに袋に詰められた食材と調理器具を渡された。クロードさんはクマの解体で時間が掛かるから先に戻ってろのことだ。ヴァイスもいるし私1人でも大丈夫だと思ったんだろうな。実際ヴァイスはあのクマを倒しちゃったし凄く強い子なんだよね。ハァー……ますます私の弱さが際立っちゃったなぁ。
「ヴァイス〜私どうしたらいいのかなぁ」
「ワフ?」
「ヴァイスに愚痴っても仕方ないか。さてまずは火をつけないとね」
最初にいたところに戻って来た。クロードさんが帰ってくる前にある程度まで完成させないと。でもまずは火おこしから始めないと。
「えーっとカバンの中に火打石があったはず……ん?どうしたの?」
カバンの中にある火打石を探していたらヴァイスが私に頭を擦りつけてきた。なんだろう?私に何か伝えたいことがあるのかな?
「ガァア!!」
「うわ!青い炎だ……」
ヴァイスが喉の奥から鳴き声を出したと思ったら口から青い炎を出した。クロードさんが出してくれた橙色の炎とは違うどこか引き込まれそうな綺麗な青い炎。
「もしかして火を起こしてくれるの?」
「ワン!」
「ありがと〜!助かるよぉ」
ヴァイスが持ってきてくれた薪を組んだ後に火をつけてもらう。薪がパチパチと音を立てて燃えてる。薪が燃える音がとても心地いい。
さてと料理を始めよう。まずはクロードさんから預かった袋から鍋を取り出す。えっと袋の中にはお肉と、不思議な色のキノコ、山菜あとこれは、塩かな。クロードさんのことだからキノコに毒はないと思うけど、何を作ろう…。お肉は見た感じ鶏肉と猪、かな?今日の朝も猪だったし。
「うーん…これだけじゃ大したものは作れないかな。でもスープくらいなら作れるかな」
せめてパンとかがあればよかったんだけどなぁ。さて早速始めよう。
「戻ったぞ」
「クロードさんお帰りなさい」
スープがほとんど完成したところでクロードさんが戻ってきた。スープの他にも何かあった方がいいと思って焼いておいたお肉もいい感じ。
「いい匂いだな。お前料理できたんだな」
「まぁお兄ちゃんがいなくなってからは私が料理してたので、多少は」
「なるほどな。それにしてもその青い炎はなんだ」
「あぁ!この火はヴァイスがつけてくれたんです。ね、ヴァイス」
「ワン!!」
「お前は炎の精霊の加護があるのか」
「加護?」
「説明すると長くなる。飯を食いながらしよう」
「それじゃあすぐに用意しちゃいますね」
スープの味を調整して味見をする。うんいい感じ!器にスープを注いで焼いたお肉を切り分ける。
「よし完璧!クロードさん食べましょう」
「あぁ飯の用意すまんな」
「いえこれくらいしないと」
クロードさんは戦ってくれるのに私は何もしないってのもアレだからこれくらいの雑用はしないと。それにクロードさんあまり食に対して少し無関心っぽいし…。
「ん、美味いな」
「本当ですか!よかったぁ。はいヴァイス。お肉なら食べられるよね」
「ハグハグ……ワオーン!!」
「んふふ美味しい?あ、そうだ。クロードさん、加護って結局なんですか?」
「そうだったな。加護は精霊が気に入った存在に力を与えることだ」
「精霊!絵本で見たことがあります!本当にいるんですか!?」
「俺が魔法を使えるのも魔力を渡して一時的に精霊から力を借りてるからだ。加護とはまた違うがな」
「じゃあヴァイスが魔法を使えるのはクロードさんとはまた違った原理なんですか?」
「そうだ。ヴァイスは炎の精霊に気に入られて力を与えられてるが俺は魔力を通じて精霊と繋がってる」
う〜んなかなか難しいなぁ…。つい最近まで外の世界のことを知らなかった私が、いきなり精霊とか魔法とか頭の中が混乱しそう。今まで御伽話の中の話だと思ってたのにまさか本当に存在してたなんて今まで思ってなかったからなぁ。
「まあいきなりこんな話されてもわからないだろう」
「正直に言うとそうですね…。でもなんでヴァイスは精霊に気に入られてるんですか?」
「フェンリルは神聖な生き物とされているからな。ウォルトも風の精霊の加護を受けてる」
「魔物なのに?」
「まあ昔のやつから見たら自分たちよりも強大な力を持った偉業の存在を魔物と分類するしかなかったんだろう」
「複雑なんですね」
「そこら辺の事情は俺にも知らん。それこそ女神様にでも聞いてみないとな」
嘲笑うように言うクロードさんはなんだか新鮮な感じだ。女神様か。それこそ絵本の中だけの存在だと思うけど、もしかしたら本当に存在したり?




