41話 白銀の狼
クロードさんがいたところから少し離れたところまで歩いてきた。ここら辺は枝木とか火にくべるものがたくさん落ちてるから丁度いいかも。
「ふんふふ〜ん。どれくらいあればいいかな?少し多めに持ってきても大丈夫だよね」
腕に抱えられるだけの枝木を取る。これだけあればひとまず大丈夫かな。それじゃクロードさんのところに戻ろう。
ガササッ!
「!?」
後ろの方から何か音がする。もしかして魔獣?どうしよう急いでクロードさんのところに戻る?それとも大声を出してクロードさんを呼んだほうがいい?いやクロードさんが来る前に私が襲われちゃう。このまま物音立てないように静かにクロードさんのところに戻れば…。
パキッ
「しまった!」
ガササササッ……
草むらの向こうから何かが迫ってくる音がする。こうなったら一か八かクロードさんのところまで一気に走るしか…
「ウガァァァアアア!!」
「ヒッ!?」
く、クマ!?魔獣とかじゃない、普通のクマだ。しかも大きい。2メートル以上はあるんじゃ…。逃げ、逃げなきゃ。はやく、しないと。クロードさんのところに行かなきゃ…。
「ガァアア!!!」
鳴き声があたりに響き渡る。前足を私目掛けて大きく振り上げてくる。大きな前足についてる爪がギラリと鈍く光る。あ、もうだめだ………。
「バウバァウ!!!」
「ガ、ウガ、アァァ……」
ドサッ……
「な、なに……?」
いきなりクマが倒れてしまった。いきなりのことで何が起こったのかが分からない。でも1つだけ分かることがある。クマを倒してしまったのはあの銀色の狼だ。口元を血で染めて私の方をじっと見てる。今度は私なの…?
「ワン!!」
「え、なになになに!!?」
鳴き声を1つして私の方に向かってくる。そのまま勢いを落とさないまま私の方へ走ってくる。と思ったその瞬間に体が後ろに倒れてもふもふを感じる。
「へ?」
「ハッハッ。ワフン!!」
「ん、ちょっと。顔舐めないで、あーー!?」
凄い勢いで顔を舐め始める。生暖かい息を顔全体に感じる。うぅ顔気持ち悪い。そもそもこの子は一体…?
「おい大丈夫か。獣の鳴き声が聞こえてきた、が…。なにやってんだお前」
「ク、クロードさん。た、助けて…」
クマの鳴き声を聞いてクロードさんが来てくれたみたい。とにかく私の上に乗ってる子をどかしてほしい。息苦しい…。
「ほら大丈夫か」
「プハーっ!!苦しかったぁ」
クロードさんが私の上に乗っていた子を抱えてくれた。地味に重かったし、息苦しかったけどあのもふもふは凄く気持ちよかったなぁ。
「…こいつフェンリルじゃないか?」
「フェンリル?なんですかそれ?」
「狼の魔物で珍しい種族なんだが、なんでこんなところにいるんだ」
「ワン!」
「かわいい…」
クロードさんに返事をしているのかのように声をあげる。満面の笑顔で凄いかわいい…。
「フェンリルにしては人懐っこいな」
「ワンワン!!」
「おい暴れるな。体でかいんだから大人しくしろ」
「ウルルル……」
クロードさんがワンちゃんと戯れてると草むらの向こうからもう一匹同じような狼がやってきた。この子もフェンリルかな。だとすると今クロードさんが抱えてる子の親かな?
「この子の親ですかね。近くにいてよかったです」
「……お前ウォルフか?」
「ウォン」
「そうか…。久しぶりだな」
「クロードさん知ってたんですか?」
「……まあな」
クロードさんが飼ってた。て、訳ではなさそうだなぁ。う〜ん友達とか知り合いの人が飼ってたとかかな?
「ほらお前はウォルフのところに戻れ」
クロードさんがワンちゃんを話すとウォルフの方へ走って行った。
「ウォン。ウアン!」
「ワン!アオン!!」
何か話してる。大事な話をしてる様な気がする。なんだろう。私、犬語は分からないからなぁ。
「ん?何?」
「ワオン!」
ウォルフの方に帰って行ったと思ったらまた私たちの方へ戻ってきた。なんだろう何かを訴えかけてる気がする。
「……お前一緒に来たいのか」
「ワン!」
「え!クロードさん何を言ってるのか分かるんですか!犬語、理解できるんですか!」
「犬語?お前が何を言ってるのか分からないが、なんとなく言ってることが理解できてるだけだ」
「へ〜凄いですね!」
「だがお前を連れて行くことはできない」
「ワオン!?」
「なんでですか!」
「言っただろ。フェンリルは珍しい種族だからそう簡単に連れて行ける訳ないだろ。それにお前は魔物だ。俺たちはこれから人間の街に行くんだ。お前は門前払いだ」
「クゥーン……」
うぅ凄く悲しそう。でも私じゃなんともできないからなぁ。クロードさんを説得しようにも言ってること自体は正しいし。う〜ん。どうしよう。こんなに悲しい顔されるとなんとか連れっててあげたいしな。実際この子強かったしなぁ。




