33話 おやすみ
クロードさんと別れてから私は広場の方に向かった。他の人たちにもお兄ちゃんのことを聞きたかったから。もしかしたら1人ぐらいお兄ちゃんのこと知ってる人いるかも。広場の方につくとまだ沢山の人が集まってた。取り敢えず近くの人に声をかけてみる。
「その、すみません。ちょっといいですか?」
「うん?おぉ!リリィ様じゃねぇか。どうしたんだ?」
「えっとちょっと聞きたいことがあって…」
「ハァ…やっぱりダメか……」
沢山の人に聞いてみたけど誰もお兄ちゃんのことを知らなかった。でも、何もかも知らないって訳ではなかったみたい。村長さんの言うとおり10年くらい前にお兄ちゃんらしき人はこの村に来てたみたい。でも10年前のことだから流石に詳しいことは覚えてないみたい。結局村長さんに聞いたこと以上のことは分からなかった。
「どうしたの?ため息なんかついちゃって」
「レナさん!?どうしてここに?」
「片付けとかをしなきゃいけないからね。それでたまたまリリィちゃんを見かけてね」
「そうだったんですか…」
「それでどうしたの?何か悩んでるみたいだったけど」
「えっと、お兄ちゃんのことで」
「あら、そうだったの。その様子だと……」
「はい…。収穫はあんまりなくて」
「お兄さんの名前ダリアだったわよね」
「そうです。でも誰も知らなくて。でもお兄ちゃんらしき人が10年前くらいにこの村に来てたみたいで」
「10年前、ダリア……。あの人の名前…確かお花の名前だった気が…。もしかしてあの人がリリィちゃんのお兄さん?」
レナさんが小さく呟いてるのが聞こえてきた。もしかしてお兄ちゃんのこと知ってる!?
「レナさんもしかして!?」
「確定ではないわよ!もしかしてってことよ。私ちょっと記憶力には自信があってね。リリィちゃんから最初名前を聞いた時ちょっと引っかかっててね。10年前って聞いてもしかしたらって思って」
「そうなんだ。やっぱりお兄ちゃんこの村に来てたんだ…。」
「村にいたときは私も遊んでもらったの。でも確かあの人金髪だった気がするけど、リリィちゃんとは髪色とは違うわよね。ご両親のどちらかが銀髪だったの?」
「いえ、2人とも銀髪ではなかったですよ。私も昔は金髪だったんですけどね。急に銀髪になっちゃって」
私の家族はお父さんが金髪、お母さんが水色だったらしい。私とお兄ちゃんの髪色はどちらもお父さんに似たみたい。でも私の顔はお母さんにそっくりみたい。それはもう瓜ふたつだそう。お母さんは私を産んだ後に体調を崩して亡くなっちゃったらしい。だから私はお母さんの顔も覚えてない。
そういえば、いつから髪色変わったんだっけ?小さい頃は確かに金色だったはずだけど。うーん…まあ今は関係ないか。
「あら、そうだったの。でも綺麗よね、リリィちゃんの髪。月の光に反射してキラキラ光ってるみたいだわ」
「そうですか?自分じゃあんまりわかんないですね」
「でも銀髪なんて珍しいわね。私一度も見たことないわ。金髪の人はこの村にもいるけど」
「確かに銀髪の人は見たことないなあ。やっぱり珍しいんですね」
「うーん…ちょっと心配だわ」
「え?」
「最近人攫いが多くなってるみたいで」
「人攫い!!??」
「シーー!声が大きいわ」
「あ、ごめんなさい…」
人攫いという衝撃的な言葉に思わず声が大きくなってしまった。レナさんに注意されて両手を口に持っていって口を閉じる。
「ノアからの手紙で教えて貰ってね。最近、綺麗な女の人とか、人以外の種族を攫ってる人が多いみたいで」
「人以外?魔人とかですか?」
「大体はそうね。10年前の大戦から逃げてきた魔人とかが街に隠れ住んでるみたいで。その人たちを狙って攫ってるみたい。もちろん他にも被害にあってる種族はいるみたいだけど…」
「その、攫われた人たちって一体どうなるんですか?」
「……大きな声では言えないけど。その、奴隷、とか」
「嘘……」
そんな話大昔のことだと思った。世間知らずの私だってそれぐらいは知ってる。でもそんなのが今でもあるのが驚きだった。
「だから心配なの。リリィちゃんの髪色珍しいから狙われないかなって」
「私は大丈夫です!クロードさんがついてるので!」
と言ってもクロードさんはどちらかというと私にはあまり興味ないみたいだし守ってくれるのかな〜。でもなんやかんや私のことを守ってくれてる気がする。初めて会ったときだって私を助けてくれたし。
「確かにクロードさんがいるなら安心できるわね。でも気をつけてね。本当に危険だから」
そう言ってぎゅっと優しく私の両手を握ってくれた。レナさんのあたたかい手がとても安心する。今日会ったばかりなのにレナさんにもエルカさんにも優しくして貰った。
「レナさん……」
「さ!辛気臭い話しはこれくらいにしましょう。リリィちゃん明日出発でしょう?そろそろ休んだら?」
「そうですね。結構暗くなってきたのでそろそろ休もうと思います。色々ありがとうございましたレナさん」
「ううん、いいのよ。おやすみなさいリリィちゃん」
「おやすみないレナさん」
レナさんに挨拶をしてエルカさんの家に向かう。周りに明かりもないから足元に気をつけないと。他の村人さんはまだお酒を飲んでたり、談笑してる。みんな本当に嬉しそう。みんなの笑顔を見てるとこの村を救えて本当によかったて思う。実際は全部クロードさんがゴブリンたちを全部やっつけちゃったけど。
クロードさんは本当に凄い。私なんかが一緒にいて迷惑じゃないかな。私はクロードさんと違って魔法も使えないし、戦えない。これじゃあ足手纏いだ。いや、弱気になるのは良くないよね。人間の私にしかできないことがあるはず!そのためにクロードさんは私を連れてきてくれたんだ。頑張ってクロードさんの役に立たないと。
色々考えてながら歩いてたらいつのまにかエルカさんの家に着いてた。そういえばクロードさんは先にエルカさんの家に行ってたけどもう寝てるのかな?それならそっとドアを開けないと。
「……今戻りました〜……」
ドアを開けると部屋の中は蝋燭が1つだけ着いてて薄暗かった。周りに気をつけながら部屋の中を歩くとソファに人影が見えた。目を凝らすとクロードさんがソファで寝ていた。
「寝てる……」
初めて会った時以来見てなかった2つの角がでてる。なんだか新鮮な感じ。こう見るとクロードさんまつげ長いなぁ。そういえばエルカさんがクロードさんのことイケメンって言ってたな。ずっと家族と一緒にいたから私はそういうのよくわからないなぁ。
「ん……」
クロードさんが寝返る。もしかして起こしちゃったと思ったけどぐっすり眠ってるみたい。それにしてもクロードさんソファで寝ちゃったんだ。体痛めないかな?クロードさんの方が疲れてるからベットで寝た方がいいのに。気を使わせちゃったかも。
「ふわぁ……」
自然とあくびが出てきた。クロードさんには申し訳ないけど私はベットで寝させてもらおう。さて寝室に行って早く寝よう。
寝室に行ってずっと背負ってたリュックをおろす。ずっと背負ってたから肩が凝ったなぁ。取り敢えず着替えて軽くタオルで拭こう。本当はお湯を沸かしたいけどクロードさんを起こしちゃうかもしれないからやめておこう。服を脱いで乾いたタオルで体を軽く拭く。脱いだ服を畳んでリュックの近くに置いておく。リュックの中から取り出した寝巻きを着る。昔から着てたからちょっと古いけど結構お気に入り。
「ふあぁぁ〜…さて寝ますか」
ベットに横になる。あっ結構フカフカだ。毛布を肩までかける。あたたかい毛布で眠く、なって、きた…。




