29話 魔獣の肉
「まあ、その魔獣の寝床の問題は大丈夫だ。魔力さえ回復すれば魔獣はなんとかなる」
今日は移動魔法や上級魔法と中級魔法を何回か使ったから結構、魔力消費したが今日一日休めば魔力は完全に回復するだろう。
「確かにクロードさんは魔法が使えますから魔獣に寝床を通り抜けるのは大丈夫だと思いますが、リリィちゃんは大丈夫かしら。リリィちゃんは魔法使えないし、魔獣に襲われないか心配だわ」
「そこは俺が守るから大丈夫だ」
「まあクロードさんがそういうなら大丈夫かな。まあヒスイ街まで懸念点は魔獣の寝床くらいだし、街にさえついちゃえば大丈夫でしょ」
「そしたら今日はゆっくりしてくださいね。まだ広場の方には料理とかもあるので、沢山食べてゆっくり眠ってください」
そういえば今日寝るところ考えてなかったな。この村に着く前は情報さえ聞けばすぐに出ていくつもりで野宿する予定だったが、まさか長居することになるとは思わなかったらな。この村、随分と辺鄙な場所だが宿屋はあるんだろうか。
「おい、この村って…」
「おっ!クロード様じゃねぇか〜!こんな端っこにいねぇで俺らと一緒に飲もうぜ〜!!」
「わっ!?びっくりした〜」
「そっちは、リリィ様じゃねぇか〜。ヒック!近くで見れば中々可愛い顔してんな〜」
「あはは…」
コイツ酒臭いな。いきなり現れてなんだと思ったがただの酔っ払いか。酒を飲むのはいいが絡み酒はやめてくれ。泥酔したローザを思い出す。あいつ酒をよく飲むくせにすぐに酔って絡んでくるから扱いにめんどくさいんだよな。
「ちょっとお酒飲み過ぎじゃない?宴だからって羽目外しすぎないでよ」
「なんだあ〜エルカじゃねぇか、ヒック!そうカリカリすんなよ〜。自分が構ってもらえないからってよ。もう少し愛想良くしたら新しい男なんてすぐにできるぜ。ヒック!」
「!?………」
「ちょっと!言っていいことと悪いことがあるんじゃないですか」
「レナ…」
「チッ。へぇへぇ俺が悪かったよ」
そう言って酔っ払った男はどこかに行ってしまった。どうやら何やら訳ありっぽいが俺には関係ないな。
「ごめん、レナ」
「いいの!いくら酔っ払ってるからって人のデリケートなところに踏み込んでくるなんて失礼だわ」
どうやら訳ありのようだが俺には関係ないな。他人の事情に踏み込むのはのちにめんどくさくなるからな。
「ごめんなさいねリリィちゃん。あの人酔っ払ってたみたいで」
「いえ全然大丈夫です!その、エルカさん大丈夫ですか?」
「ん?ああ、全然大丈夫。ありがとリリィちゃん」
全然大丈夫って顔じゃないがな。まあ深掘りする必要もない。本人が言いたがらないならそのまま放っておくのがいいだろう。
「話を遮って申し訳ないがこの村に宿はあるか?」
「あ、それもそうですね。ですがこの村には宿はなくて」
「そうか。なら俺たちは野宿でも…」
「いえ!この村を救っていただいた方に野宿なんてさせる訳にはいきません!」
「そしたら私の家に泊まる?」
「エルカさんいいんですか?私達2人も大丈夫ですか?」
「そしたらエルカちゃんは私の家に泊まっていったら?ノアの部屋も余ってるから」
「お、それじゃそうさせてもらおうかな。久しぶりにレナとゆっくり話したいし。それじゃクロードさん達は広場の方で腹ごしらえでもしててください。私は少し家の片付けしてくるんで」
「私も手伝います。それじゃあクロードさん達また後で」
レナとエルカは行ってしまった。俺としては魔人だと知らない人間と同じ屋根の下で一晩過ごすのはリスクがあるしありがたい。それに野宿もしなくて済むのも良かった。これからはいつまともな寝床で寝れるか分からないしな。休める時に休んでおきたい。俺も今まで野宿だったから地味に体が痛い。こればっかりは魔法では治せないしちゃんと休むしかないな。
「クロードさん。せっかくですし広場でお肉食べましょうよ。私お腹空いちゃいました」
「ああ、そうだな。俺も腹が減った」
俺たちは広場の方に向かった。男達は未だに酒盛りをしていて酔っ払った挙げ句寝落ちしたやつもそこら辺に転がっている。また絡まれると面倒だ。バレないよう肉だけ取ってこよう。
「お前はここで待ってろ。さっきみたいに絡まれるのは嫌だろ」
「あ、ありがとうございます」
既に取り分けられた肉をいくつか取って早めに元に戻る。男達は酒で騒いでいて俺には気づいていないみたいだ。絡まれなくて良かった。酔っ払いほどめんどくさいほど者はいないしな。
「ほら取ってきたぞ」
「随分はやかったですね」
「あいつらに絡まれたくないからな」
顎で酔っ払い達を指す。さっきより酔い潰れてるやつが増えてる気がするな。
「ああ、それもそうですね」
苦笑いで確かにといったような感じだ。さっき絡まれた時に酔っ払いの面倒くささを思い知ったようだ。
「ほら早く食べないと冷めるぞ」
「それもそうですね。それじゃあ頂きます!」
そう言って肉を口に入れる。森の中で魔獣の肉に抵抗があったみたいだが普通に食べてるな。
「ん!すごい美味しい!!今まで食べたお肉の中で1番美味しいです!」
「それもそうだろ。魔獣の肉は普通の肉よりも高いし、うまいからな」
「ゲホッッ!!」
「おい大丈夫か。ほらこれ飲め」
咽せてるコイツに飲み物を渡す。がっつき過ぎたか?
「ゲホッ…すみません…。これ魔獣の肉だってすっかり忘れてた…」
「ああ、そういうことか。通りで普通に食べてると思った」
コイツどこか抜けてるな…。まあ気にせず俺も食べるか。
「ん、美味いな」
「クロードさんはなんの抵抗もないんですね」
「俺は昔食べてたからな」
「最近は食べてなかったんですか?」
「魔獣が統制されてから食べる機会がなくなったからな」
「じゃあ久しぶりなんですね。魔獣食べるの」
「10年間旅をしてたからな。その時に適当に狩っては食べてた。魔獣は昔に比べて増えたからな。そこら辺を歩いてれば勝手に襲ってくる。だから食料には基本的に困らなかったな」
「少し疑問に思ってたんですけど、クロードさんて10年間どこにいたんですか?やっぱり魔族の国にいたんですか?」
確かにコイツにはそのこと話してなかったな。周りの人間は酔い潰れたり、好き勝手に騒いでるから誰も俺たちの会話は聞いていないだろう。これくらいのことは教えてやっても構わないだろう。いくら素性を知られたくないからと言って何もかも隠したら信頼関係が築けないからな。




