28話 道のり
2週間…流石に長いな。俺1人くらいなら歩きで別に構わないが、今はアイツがいる。魔法も使えない、戦えないアイツを魔物が多くいるところを歩かせるのは危険すぎる。だが2週間の足止めはキツイ。山でジャッカスと戦いで少なからず山の環境を破壊した。それにいつ国の奴らが気づいてここにくるのかも分からない。さて、どうするか…。
「どうしますかクロードさん?」
「俺は歩きでも構わないが、お前は流石にキツイだろ。魔物が沢山いるところを戦えないお前が歩くのは危険だろ」
「うーんそれもそうですけど…私としてはクロードさんが歩きでも大丈夫なら私も大丈夫です。自分の身は出来る限り守るので!」
「ハァ…俺としてもできるだけここを出発したいが、お前は本当に大丈夫なのか?」
「はい!私は全然構いません」
「それじゃあ、ヒスイ街までの道を詳しく教えておきますね」
「ああ。頼む」
「まずヒスイ街なんですが、ヒスイ街は魔石の加工や装飾品の売買などが盛んで、主に富裕層の方が多くいらっしゃいますね」
「あそこはお金持ちが沢山のお金を落としていくから中々きらびやかなんだよね〜」
「きらびやか…何だか素敵そうな場所!」
「あ、そうだ!弟くんのお店紹介しておこうか?弟くんにあらかじめレナちゃん達のこと紹介しておけば力になってくれるんじゃない?」
「あ、それもそうですね!あれ?でもエルカちゃんってノアのお店知ってたっけ?」
「あーそれがね。なぜか私にも弟くんから手紙が来て、いつか遊びに来てくださいってお店がある場所を書いた地図をくれたんだよね。まあ行く暇なんて今までなかったから引き出しの中でずっと眠ってたんだけどね」
「あら!あら!ノアったら隅に置けないわね〜」
「?どゆこと??」
ハァ……。なるほどな。レナの弟、ノアってやつも中々の苦労人みたいだな。何だかキリアとメイの関係を思い出すな。それにしても本当にキリアとメイは10年前からどこに姿を消したんだ?ジャッカスは知らないと言ってたが、もしかしたらローザなら知ってるか?
真っ先にキリアを探すよりもまずはローザを探した方がいいかもしれない。ローザには大事なものも預けてる。その様子も見ておきたい。だがローザの居場所にも心あたりがない。ローザも見た目だけは人間に見えるからもしかしたら、街や村に紛れ込んでいるかもしれない。そのためにも人間に話を聞いてみるしかないな。
「えっと、レナさん。続きお願いしてもいいですか?」
「あ、ごめんなさい!つい盛り上がってしまいまして。そしたらエルカさんノアにクロードさんのことを伝えておいてもらえますか?」
「了解。そろそろ手紙の返事返さないといけないと思ってたところだし。5日後くらいにクロードさんとリリィちゃん達がお店を訪ねてくるって伝えておくね」
「すみませんエルカさん。いろいろお世話になってしまって」
「いいのいいの!クロードさんとリリィちゃんは村を救ってくれた恩があるし、リリィちゃんもいい子だからね。いい子だから、つい世話をやきたくなっちゃうだけだし」
「エルカさん…!」
こいつらいつの間に仲良くなったんだ。こいつには人を惹きつける才能でもあるのかもしれないな。俺もこいつのその才能に惹きつけられた1人かもしれないな。
「そしたら次はヒスイ街に行くまでの道のりですね。さっきも言った通り、ヒスイ街までの道は魔獣が多く生息しています。ここ数年で魔獣の数が急激に増えてしまいまして。昔は魔獣なんて見かける方が珍しいほどだったんですが」
アイリスの影響だろう。アイリスが封印された後、魔獣の頭として存在していたアイリスがいなくなり魔獣の統制をするものがいなくなった。そうしてアイリスの管理下にいた魔獣達が野生化して昔よりも凶暴化したんだろう。アイツが住んでた家も魔獣が多く住んでた。あの魔獣の数は流石に異常だった。いくらあの森が魔族の国、ウォルトカリアに近い方とはいえ、だ。だがアイツのあの時の反応、魔獣を見るのは初めてだったみたいだが、あの森で一度も魔獣を見たことないのは流石におかしいな。……そういえばアイツの家に近づく程魔獣が少なくなっていった。やはりあの家何かあるな。
そういえば、このカシワ村はゴブリンの被害には遭っていたが魔獣の被害には遭ってはいないみたいだな。魔獣が破壊したような魔獣特有の爪痕や噛み跡がない。そういえばあのゴブリンを統制していたのはジャッカスだったが、もしかするとアイツがゴブリンに命令して魔獣を狩らせていたのか?…まあアイツが人間のために何かをするやつとは思えないし多分偶然なんだろうな。ゴブリン達にとっても魔獣は食糧になるし食糧を確保するために魔獣狩りをしていたんだろう。まあ結局ゴブリン達がカシワ村を襲ったんだからあまり関係ない話か。
「…10年前の大戦で魔獣達も本来生息していた場所を追われてこっちの方に移り住んだんだろう。魔獣も生き物だからな生きるのに必死なんだろう」
「あークロードさん研究者なんですもんね。そういう研究結果でたんですか?確かにこの村あの大戦で無傷じゃなかったし、その混乱に乗じてこっちに来たのかも?ウォルトカリアとこの村は近い方だしね」
「…ウォルトカリアってなんですか?」
「魔族の国だ。まあ10年前の大戦で殆ど滅んで国に残ってる魔族も少ないがな。大体は大戦で死んだか、人間に連れ去られたかのどっちかだ」
「でもその大戦で生き残った魔族達がこの国に逃げ込んでるって噂もあって…少し、怖いわね」
「まあ今はあんまり関係ないし、とりあえずこの話は置いといて。問題はカシワ村からヒスイ街までの間、今だと魔獣の寝床って言われてるんだけど、そこをどう安全に行くかって話でしょ」
「魔獣の寝床と言われ始めてからカシワ村とヒスイ街との交流も少なくなってしまって。今だと一ヶ月に一度商人さんが来て村でとれた作物とかを売買するんです」
「それで次にヒスイ街まで行くのに2週間かかるってことですか。でもその商人さんはカシワ村に来るまでに魔獣に襲われないんですか?」
「商人さんが乗ってくる馬車に特殊な魔法がかかってて魔獣が襲ってこないらしいです」
「ヒスイ街には魔法を扱う人も多いらしいからね。流石、都会は違うなー」
魔獣避けの魔法か…。そうなると光魔法か聖魔法か?光魔法は扱えるものが少ないし聖魔法かだろうか。ヒスイ街は魔石の加工技術が盛んらしいし、魔石に聖魔法を封じ込めたんだろう。そうすればわざわざ聖職者が同行しなくて済むしな。




