25話 心境
どうしよ、どうしよう!私あんまり嘘得意じゃ無いのに…
「俺は王都で魔物と魔獣の研究をしている。ここには魔獣の調査に来た」
「クロードさん!」
私が頭を抱えて悩んでたらクロードさんが後ろから話かけて来た。良かった。いい感じに誤魔化してくれて。それにしてもクロードさん嘘が上手だなぁ。これならエルカさんも納得するかも。
「へぇ〜そうだったんですか。確かにここら辺は意外と魔獣が多いですからね。じゃあリリィちゃんは助手ってこと?」
「そういうことだ。あと、薪組んで火つけといたぞ」
「あ、本当だ!ありがとうございますクロードさん!あとのことは大丈夫何であっちの方でゆっくりしててください」
そう言うとエルカさんは広場から少し離れた花壇の方を指さして走って行っちゃった。さっきまであんなに疲れてたのによく走れるなぁ。
「それにしてもクロードさん。よくあんな嘘咄嗟にに出ましたね」
「伊達に長く生きてないからな」
クロードさんって本当にいくつなんだろう。見た目は若くても魔族は若い見た目で何千年も生きることもあるってお父さんから聞いたことあるし。でも人に年齢を聞くのはあんまり良く無いよね。
「とりあえず移動しましょうか。ここ今から色々準備するみたいですし」
「そうだな」
そう言って私たちはエルカさんが指差した花壇の方に移動して、花壇の縁に座り込んだ。
「………」
「………」
気まずい。こう言う時って何話せばいいんだろう。どちらかと言えば私は話すのは得意な方だと思うけど、クロードさんに対してはどういしたらいいかわかんなくなっちゃう。なんて言うんだろ。プレッシャー?まだ私のことをかんぜんに信用しきってない様な感じが私たちとの間に壁を作ってるのかも。私が今まで接してきたのはみんな友好的でみんないい人たちだったから楽しく話せたけどクロードさんはまだそこまでじゃ無いって感じ。やっぱり私が人間だからかな。
ジャッカスさんがクロードさんは人間が嫌いだったって言ってた。多分それは本当。クロードさんが私を連れてくれるのだって私が利用できるからってだけ。クロードさんがそう言ってたじゃん。そしたらクロードさん人間が沢山いるこの村嫌じゃ無いかな?あんまり長居するのもクロードさんに悪いな。
「あの、クロードさん」
「なんだ」
「クロードさんって人間のこと嫌いですよね。ジャッカスさんがそう言ってたので」
「まぁ…そうだな。俺は人間が嫌いだ」
「そうですよね…」
何で自分で聞いた癖に勝手に傷ついてんだろ。私ってバカだな。
「…。まぁ大昔は人間という種族が嫌いで人間っていう生物は全員醜いものだって思ってた。それを変えたのがアイリスだったな。アイリスに出会ってからは人間全員が醜いってわけでも無いって気付かされた。それでも人間を全員好きになれはしなかったがな」
「じゃあ今は?この村にいて嫌じゃ無いですか?」
「アイリスを封印した勇者のことは今も憎んでるし、その仲間たちも地獄の様な目に合わせたいって思ってる」
「……。」
「昔みたいに楽観的には戻れないかもしれないが、この村の奴らはそこまで嫌いじゃ無い」
「!何でですか?」
「自分の命を張ってまで大事なもの、この村を守ろうとした人間たちのことを誰が嫌いになるか?」
「んふふふ!それもそうですね」
良かった。クロードさん人間が全員嫌いって訳でも無いみたいだし、この村にいるのが嫌じゃないみたいですね良かった。クロードさんが私のことどう思ってるかはわからないけどいつか今ある壁がなくなればいいな。
「そういえばこの村に魔獣のお肉あげたんですよね?」
「そうだが」
「これからの食糧とかあるんですか?」
「……さっきの森で少しは補充したが流石にあげすぎたな。後でまた魔獣狩りしないとこれから持たないかもな。余裕のあるうちに食糧は出来るだけ確保しておきたい」
「やっぱりそうですよね。どうりでお肉の量がすごくあると思いましたよ。あんなにあげちゃって良かったんですか?」
「俺はいつでも魔獣狩れば食糧を確保できるがあいつらは違うだろ」
「それは、確かに…」
この村は農作で食糧を確保してるっぽいけど、ゴブリンたちに畑を荒らされてまた一から作物を育てるしか無いからこの村はこれからも食糧に悩まされることになると思う。そういえばカシワ村を襲ったゴブリンたちを統率してたの結局ジャッカスさんだったんだよね。何で村を襲わせたんだろう?この村の人たちに何か恨みでもあったのかな。
「あいつはこの世は弱肉強食だと考えてるから弱い人間から奪い取るのは強者の特権だと思ってるんだろうな」
「もしかして口に出てました?」
「はっきりとな。それにジャッカスはあの数のゴブリン達を統率してたんだ。あの山にある食糧だけじゃ限界だったんだろう。仕方ないといえばそうなのかもしれないが、あいつの考えは俺はあんまり好きじゃないな」
「弱肉強食って考えですか?動物の世界じゃ当たり前って言いますけどあんまりいい感じはしないですよね」
「ああいう奴は弱者の立場に立ったこと無いからああいう考えができるんだろうな。まあ俺はジャッカスの全部を否定する訳でも無い。事実この世は弱肉強食だ。弱い者は強い者に奪われる、そんな理不尽な世界だ」
そういうとクロードさんは遠くの方を見つめる。多分アイリスさんのことを考えてるんだと思う。クロードさんのことはまだ沢山は知らない。きっとアイリスさんのことを自分が弱いからだって思ってる。そんなこと無い。クロードさんは強い。戦いのことを何も知らない私でさえゴブリンやオーガそしてジャッカスさんと戦ってたクロードさんをすごく強いって思った。どんな相手でさえクロードさんは負けないって感じてしまう程に。
伝えるべきだろうか。クロードさんは何も悪く無いって。何も知らない私が口を出すべきかもしれないし、余計なおせっかいかもしれない。それでも伝えたい。だって今のクロードさんは今までと違ってとても寂しそうな瞳をしてる。そんなクロードさんを私は放って置けない。




