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魔王復活目録  作者: わか3
カシワ村編
15/117

15話 本気の喧嘩

「俺とお前が本気でやったらこの山はタダじゃすまねぇなぁ」

「構わない。周りに気をつかうのはもう疲れた」


 ジャッカスは昔からアイリスによく戦いをふっかけてた。俺にもふっかけようとしたが、仲間同士で戦う理由もないから断固として拒否し続けた。まさか10年経ってジャッカスと戦うことになるとは。


「お前、天龍切は使わないのか」

「俺はお前を殺したい訳じゃないからなぁ。天竜切を使ったらお前を殺しちまう」

「俺がそんなんで死ぬと思うのか?」

「ガハハッ!まあそれは建前だ。10年前にぽっきり折れちまったんだ。未だに直してなくてよぉ」


 天竜切(てんりゅうぎり)。天を裂き龍を斬ったと言われる程の切れ味を持つ大剣。2メートル程の大剣を魔族の国で扱える者がいない中、ジャッカスのみが天龍切を扱えた。


 その天龍切が折れた?10年前だからあの大戦で折れたのか。天龍切を折るとはなかなかの奴だな。


「お前こそ角が片方折れちまってるじゃねぇか。魔人にとって角は魔力の源じゃなかったか?魔法を使うお前には致命的じゃねぇか」

「お前にはこれくらいハンデで十分だろ」

「なめられたものだなぁ。俺もよぉ!!!」

「地の第二呪文:ランドウォール!」


 バコォン!!


 いきなり殴りかかって来たジャッカスの攻撃を地の第二呪文で作った土の壁で防ぐ。土の壁では衝撃を防ぎきれず壁は思い切り破壊された。10年前から力は衰えてない様だ。


「チッ防がれたか」

「いきなり殴ってくるなんて危ないじゃないか」

「戦いに合図なんてねぇ。強襲こそが戦いで勝つ方法だ」

「それもそうだな。ならこっちも遠慮はいらないな。炎の第6呪文:ブラスト!」


 ボボボボボボォッン!!!!


「ガハハハハ!当たんねぇよ!!!」

「速いな…」


 炎の第六呪文で何度も爆破させる。これをジャッカスは走って近づきながら避けていく。近接戦に持ち込まれたらこっちが不利だ。距離をとらないと。


「ほらほらどうしたぁ!逃げてんじゃねぇよ!!」

「くそっ…。距離がとれない」

 

 俺が距離をとればそれを上回るスピードで俺との距離を縮める。このままじゃ近接線に持ち込まれる。


「とにかく距離を取らないと…。氷の第四呪文:ホワイトアウト」

「ア?なんだ急に目の前が白くなりやがった…。おいどこいったクロード!」


 氷の第四呪文で目眩しをする。ジャッカスは魔力探知ができない。今のうちに距離をとろう。遠中戦に持ち込めば俺にも勝機がある。


「チッ…。小賢しい真似しやがって。どこだぁクロードォ。あー……ここかぁ!!」

「ガハァ!!?」


 いきなり腹に衝撃が走り、体が後ろに持っていかれる。殴られたのか?ジャッカスは魔力探知ができない。だから俺の場所は分かるはずない。そのはずなんだが…


 ズザザザァー……


「ゲホゲホッ!」

「お、当たったか」

「ガハッ…。何で俺の位置がわかった。お前魔力探知できないはずだろ」

「位置を探るのが魔力探知だけだと思うなよ。俺はお前の気配を捉えたんだ。魔力探知に頼ってばっかのお前じゃ考えもつかなかったか?」

「気配、だと?クソッ…」


 地面に横たわった体を叩き起こす。骨はどこも折れてないが腹がズキズキと痛む。たった一発食らっただけでもこのダメージ。これ以上ジャッカスの攻撃を食らったらまともな動きが出来なくなる。


 だが生憎攻撃の衝撃で距離は取れた。次は俺の番だ。


「雷の第六呪文:ライトニング!」


 ドコォン!!


 雷の第六呪文で大きな雷を降らす。ここら一帯の草木は炭になり地面に大穴があいた。ここまでしたら人間に勘付かれる可能性があるが、手加減したらジャッカスに攻撃を当てることもできない。


「危ねぇなぁ。ここら辺焼け野原にするつもりかよ」

「本気の俺と戦いたいんだろ?ならそれくらいの覚悟はしておけ」

「ガハハッ!確かにここら辺は俺の住処だったが、本気のお前と戦えるんだったらそれくらいの犠牲大したことねぇ」

「なら良かった。遠慮なくぶっ放せる。地の第七呪文:アースクエイク!」

「地震か。なら空中にいりゃ関係ねぇ!!」

「空中なら身動きはできないだろ。風の第七呪文:ガストブレイク」


 地の第七呪文で地震を起こし、空中に誘導した。空中なら攻撃を避けられないとふんで攻撃をする。風の第七呪文は風魔法の中でも最も貫通力のある魔法。簡単に防げはしない。


「しまった。これは不味いなぁ」


 ドシュッッ!!


 ガストブレイクがジャッカスの体を貫く。空中に浮いたジャッカスのみが体が地面に落ちていく。


 ドサッ………。


「ガハッッ……。おい、お前…」

「なんだ」

「何で手加減した」


 ジャッカスの体を間違いなくガストブレイクが貫いた。だが俺は手加減をした。致命傷にならない程度に。


「お前もわざと俺の攻撃を受けただろ」

「ハッ…バレてたか」


 ジャッカスならあれくらいの攻撃避けられた。例え空中だとしてもアイツの身のこなしなら避けられただろう。だが、アイツも何故か手加減をした。


「何で攻撃を受けた。お前は俺と戦いたかったんだろ」

「確かに俺はお前と戦いたかった。だがそれはお前の牙が抜け落ちてないかを知りたかった」

「牙?どういう意味だ」

「簡単なことだ。10年前俺たちは人間に負けた。そのお前が今になって人間を連れてたんだ。お前が腑抜けちまって戦いをやめちまったのかと思ったんだよ。まぁ戦いの腕は落ちて無くてよかった」


 そのために女を攫って、わざと俺を挑発したのか。ジャッカスにしては中々賢いことを考えるな。


「まあお前と()りたいっていうのもあったがな」


 前言撤回。やっぱりアイツは戦闘馬鹿だ。




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