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魔王復活目録  作者: わか3
カシワ村編
12/117

12話 予想外の魔物

「クロードさん。大分ゴブリン倒しましたけどまだいるんですか?」

「ああ。ゴブリンを纏め上げているホブゴブリンを探す」

「ホブゴブリン?ゴブリンとは何か違うんですか?」

「ホブゴブリンはゴブリンから進化した魔物だ。ゴブリンを纏め上げるリーダー的な役割だな」

「なるほど。魔物は進化するんですね」

「魔物は進化する程に強くなる。これが魔物の強みだな」


 魔物は進化すればする程強くなるが、進化し続けられるのはごく僅かな魔物だけだ。魔物が進化を重ね、いつか亜人に進化することもある。そういえばジャッカスもゴブリンから進化した鬼人だったな。


「とりあえずホブゴブリンを探さないと行けないんですね。何処にいるか分かるんですか?」

「これだけゴブリンをやったんだ。あっちからすぐに来る。というか現在進行形で来てるな」

「え!?もう来てるんですか」

「ああ、もうすぐ来る。気をつけろ」

「展開が早過ぎませんか?ウワッ!?地震?」

「いや違うな恐らく…」


「グガアァァァ!!!」

「嫌ーー!何ですかあれ!大き過ぎませんか!」


 地震だと思ったのはアイツが歩いた時の衝撃か。

「あれがホブゴブリンですか!?」

「あれは、ホブゴブリンじゃないな。デカすぎる」

「じゃああれは何なんですか!」


 ホブゴブリンにしては姿も魔力も大き過ぎる。恐らくホブゴブリンが進化したオーガだろうな。


「オーガって言う上位種の魔物だ」

「上位種って事はもしかして結構強かったり…」

「まあ、一般的にはそうだな」

「ええ!?大丈夫なんですか?」

「俺がいるから大丈夫だ」


 しかし、何でこんな所にオーガがいるんだ。こんな山中にオーガなんて上位種がいるのがおかしい。魔物が進化するのに必要なのは、生き物を殺した時に溢れ出る魔力を吸収して成長する。それが一般的なはずだが、オーガに進化する程の魔力に満ちた生き物もいない筈だ。


「ともかくこいつを倒してから考えるか。お前は下がってろ」

「はい!」


 走って木の影に隠れていった。さて、上位種のオーガか。


「上位種と戦うのは久々だな。まずは小手調べ、水の第ニ呪文:ウォーターカッター」

 

 バシャン!


「グルルル…」

「まあ当たり前だよな」


 魔法を軽々と片手で弾かれた。流石に上位種相手じゃ低級魔法は効かないか。だが上級魔法を使えばこの山はひとたまりもない。あんまり騒ぎは起こしたくねぇからそれは避けたい。


「斬撃がダメなら電気はどうだ。雷の第三呪文:スパーク」

「グガガ…ブルルルゥ」

「電気もダメか」


 命中はしたが身震いで電気を振り払った。やはり低級魔法じゃ歯も立たないか。中級魔法を何発も浴びせればいけるか?


「風の第五呪文:ゲイルアロー」

「グガァ…!」


 魔法は四つの段階に分けられる。1〜3は低級魔法、4〜6は中級魔法、7〜9は上級魔法。そして10は最上級魔法。精霊の名前が冠されている。最上級魔法は扱えるものが限られ、魔力消費も激しい。


 風の第五呪文は風で弓矢を作り出し攻撃する。まずは一発打ったが見事に右腕に刺さった。中級魔法でようやく攻撃が通ったか。だが浅いな。何発も攻撃すればいずれ倒せるかもしれないが、時間がかかり過ぎる。それにアイツも大人しく攻撃を受けてくれるとは限らない。


「ウガァァ!!!」

「おっと」

 

 流石にアイツも怒ったのか右腕を振り下ろしてきた。叩きつけられた地面にはヒビが入ってる。中々のパワーだな。流石上位種。


「クロードさん大丈夫ですか!?」

「大丈夫だ。お前は大人しくしてろ。俺はこんな奴にやられはしない」

「……分かりました。でも気をつけて下さいね!」


 確かにあんな奴には負けはしないが、アイツに攻撃の余波が行かないように気をつけるのは骨が折れる。


「ガァ!ガァ!グガアァァァ!!」

「おっと。人が話してんだ。少しくらい大人しくはしてくれないものかね」


 流石に攻撃し過ぎたのか怒って腕を滅茶苦茶に振り下ろしてくる。当たったらひとたまりもないな。それにいつオーガがアイツの方に目をつけるか分からないから早めに決着をつけたい。上級魔法は基本的に周りに大きな被害をもたらす。だがあれなら。


「氷の第八呪文:フロストバイトエペ」

「氷の剣?綺麗…」


 氷の第八呪文:フロストバイトエペは上級魔法では珍しく周りに被害をもたらさない魔法。今の状況にうってつけだ。後はアイツに近づいて斬って仕舞えば勝負はつく。だが接近戦においてはあっちの方が上手だろう。俺はそこまで接近戦は得意じゃないんだが。


「グルルル…」

「勘がいいな」


 オーガが少し退く。流石にこの大きな魔力には気づくか。この剣に斬られればただでは済まないと本能で感じているんだろう。アイツが来ないならこっちから行くまでだ。


 右足を思い切り踏み切ってオーガに近づく。オーガは体がデカい。懐に潜り込めば簡単に反撃はできないだろう。


「グァ!?」

「これでどうだ!」

「グググ…」

「この距離から避けたか。まあいい、傷はついた」

「グガ、ガァ、ガ…」

「何あれ?どんどん凍っていって」

「これで終わりか。上位種と言ってもこの程度。俺も腕が鈍って無くてよかった」

「クロードさん!」


 オーガが完全に凍ったところでアイツがこっちに走って来た。


「終わったぞ。これでゴブリンも村を襲わなくなるだろ」

「クロードさんに怪我がなくて良かったですけど、何ですかあれ?いきなり凍っちゃって」

「ん?ああ、この剣の魔法だ」

「剣ってその氷の剣?綺麗な以外に特には変なところは無さそうですけど」

「この剣に斬られたものは傷口から氷が侵食して体が凍っていく。侵食を止めるのはそう簡単じゃない」

「じゃああのオーガっていう魔物は剣で斬られて凍っちゃったて事ですか」

「そうだ。ほら村に戻るぞ」

「そうですね。早く村長さんに報告しましょう」

「ああ」




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