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魔王復活目録  作者: わか3
精霊の森編
116/117

116話 属性魔法


「よし次は属性魔法について話そう。こっからが君にとって重要な話だからよく聞いとくようにね」

「はい!!」

「属性魔法には炎、水、風、地、雷、氷の六属性からなっている。その属性魔法を使うには自分がその属性に適応しているかが大事なんだ」

「適応、ですか?」


 キリアさんがそれぞれの属性の名前を宙に書いていく。どうやって宙に文字を書いてるのかは分からないけど文字から魔力を感じるから魔力を使ってるのは分かるけど、それ以外は全く分からない。


「属性の適応を調べるのには専用の道具がいるんだ。それがこれ」

「水晶玉ですか?」

「そう。この水晶玉に魔力を流すと自分の属性の適応が分かるんだ。メイ、試しにやってみて」

「分かりました」


 キリアさんは空間から水晶玉のようなものを取り出してそれをメイさんに手渡した。メイさんは両手で水晶玉を抱えて魔力を流していく。すると水晶玉が淡く赤い光を放ち始めた。


「水晶玉の光によって属性の適応が分かるんだ。炎は赤、水は青、風は緑、地は茶、雷は黄、氷は水色に光るんだ」

「私は赤色に光ったので炎魔法の適性があります」

「逆に赤色以外には光らなかったからメイは炎魔法以外の属性魔法は使えないってことだ」

「適応って1人1つなんですか?あ、でもクロードさんはいろんな属性の魔法を使ってた気が……」

「基本的には1つから3つぐらいだね。偶に4つ以上持つがいる。そして全属性の適応を持つのは本当にごく少数だ。この世界に数えるほどしかいない。ちなみにクロードはそのうちの1人で全属性の適応の持ち主だ」

「そうなんですか!?た、確かに思い返してみれば全部の属性魔法を使ってた気がする」

「ちなみにそのことからついた異名が混沌のクロード。全属性持ちが水晶玉に触れると全部の色が混じり合うことからついたんだ。まぁそれだけじゃないんだけどね」

「どういうことですか?」


 混沌のクロード…混沌ってなんか物騒な感じがするなぁ。魔王の幹部だったのもあってそういう名前つけられたのかな。そういう異名ってキリアさんたちにもあるのかな。


「まぁ今はその話は置いといて。属性魔法には1つの属性魔法に全部で10の呪文があるんだ。1から3までの呪文を初級魔法、4から6までの呪文を中級魔法、7から9まで上級魔法、そして10個目の呪文は最上級魔法と分類されてるんだ」

「私は第5呪文までが限界です…。私はあまり魔法は得意ではないので……」

「最上級魔法の10個目の呪文は人によって魔法が違うんだ」

「違うってどういうことですか?」

「最上級魔法は決まった呪文はないんだ。自分で魔法を練り上げて自分自身で第10呪文を作り上げる。だから他の呪文と違って難易度が高くて習得してる人はごく僅か。1つの属性魔法で最上級魔法を会得してれば魔法師として上澄って言われてるんだ」

「最上級魔法…もしかしてトレイダ街で見た化身がその最上級魔法だったのかも」


 あの2つの化身凄い魔力を感じた。雷の化身に炎の化身。1つはクロードさんの魔法だとしてもう1つの化身はきっとあの時クロードさんが戦ってた団長。クロードさんが最上級魔法を使っても相手の最上級魔法には勝てなかった。そんな相手が団長にいるなんて……。


「団長なら最上級魔法を使う人がいてもおかしくはない。クロードも最上級魔法を使えるけど、うちで最上級魔法を使えるのはクロードとローザぐらいだからもしかしたら結構キツイかも……。さて、これで属性魔法の基本は教えた。次は実際にやってみようか。まずは属性の適応を調べよう」


 キリアさんに水晶玉を渡される。この水晶玉に魔力を注ぐと私の属性の適応街分かるんだよね。なんだかドキドキしちゃう。


「いきます!」


 水晶玉に魔力を注ぐ。何色に光るかな?熱くて燃え盛る炎?優しく強く流れる水?斬撃にもなる吹き荒れる風?あ、雷もかっこいいよね。逞しそうな地に、冷たくて冷酷な氷。どれだろうなぁ。ワクワクする。


「これは……」

「まぁ……」

「えっと…ちゃんと魔力流してるんですけど」


 水晶玉に魔力を流してるのに一向に水晶玉が光らない。不良品?でもメイさんの時はちゃんと光ってたのに。


「珍しいな…」

「全然光らないんですけど…。どういうことですか?」

「珍しいんだけどリリィ、君は属性の適応なしだ」

「適応、なし……え、それって…」

「リリィは属性魔法を使えないってこと。気の毒だけどね」

「そんな……」


 属性魔法が使えない…。そしたら私どうすれば……。身体強化と魔弾だけでこれから戦っていけるの?私もクロードさんやローザさんみたいに属性魔法でみんなを守るために戦いたかった。なのになんで……。


「まぁそんなに落ち込まなくていいよ」

「で、でも!!属性魔法が使えなかったら!!」

「水晶玉ちょっと貸してみて」

「え、は、はい……」


 持っていた水晶玉をキリアさんに言われた通りに渡す。なんで水晶玉を…。キリアさんは水晶玉に魔力を流し始める。いったい何をするつもりなんだろう。


「え、水晶玉が光らない…」

「僕も属性に適応がないんだ。だから僕も君と一緒だ」

「キリアさんも適応がない…」


 キリアさんが水晶玉に魔力を流しても水晶玉は何色にも光らない。私と同じ現象だ。キリアさんも私と同じ属性に適応がないんだ。でもキリアさんは四芒星っていう魔王の親衛隊の1人なんだよね。属性の適応がないのに強いってことだよね。


「キリアさんは属性に適応がないのにどうして四芒星になれたんですか」

「属性に適応がないから弱いって訳じゃない。属性魔法が使えなくたって使える魔法は沢山あるんだ」

「そうなんですか?」

「あぁ。無属性魔法って言われる魔法があるんだ」

「無属性魔法…もしかして防御魔法ですか?」

「そう。防御魔法に空間魔法、移動魔法とか他にも沢山。無属性魔法は属性魔法の適応関係なく魔法が使える人なら習得することができるんだ」

「私も防御魔法なら使えます。習得するのに苦戦しました」

「僕は属性魔法が使えない代わりに無属性魔法を沢山習得した。無属性魔法だけでも充分戦える」

「無属性魔法だけでも……」

「それに属性魔を使えない人は代わりに特別な力を持ってることが多いんだ」

「特別な力ですか?」

「精霊に祝福を与えられたり、属性魔法以外の属性を与えられたりね。だからそこまで気にすることはないよ」


 属性魔法以外の属性?無属性魔法とはまた違う属性なの?キリアさんも属性に適応がないのなら精霊に祝福を貰ったり、属性魔法以外の属性を持ってたりするの?


「ってことはキリアさんもそうなんですか?」

「まぁ…そうだね。僕はちょっと特殊な方法で魂魔法の適応者になった。だからリリィももしかしたら何かの適応者になるかもしれないよ」

「魂魔法?」

「究極魔法の1つ。魂を操る魔法」


 究極魔法って確かフォーメン街の図書館で紳士のお爺さんが教えてくれた魔法だよね。その時は確か時魔法について教えてくれたっけ。時魔法と魂魔法。名前だけでも凄そうな魔法。


「でも究極魔法って普通の人には使えないって聞いたことあるんですけど」

「適応者はノーリスクで使えるんだ」

「ノーリスクですか!?」

「まぁ一定のラインはあるけどね。そのラインを超えたら精霊から魔法を没収されるんだ。僕は違うけどね」

「キリアさんは違うんですか?」

「さっきも言ったけど僕は特殊な方法で適応者になったからどんなことをしても精霊には没収されないんだ」

「え…つまりなんでもし放題ってことですよね……」

「キリア様は悪用はしないので大丈夫です。安心してください」

「そうですよね!ごめんなさい変なこと考えちゃって」

「いいよ。気にしてないし。それじゃあ属性魔法が使えないって分かったから無属性魔法を鍛えていこう。無属性魔法はどこまで使える?」

「えっと防御魔法くらいです」

「それじゃあちょっと見せてくれる?」

「分かりました!」


 キリアさんに言われた通り防御魔法を使う。防御魔法の障壁が目の前にちゃんとでてくる。防御魔法はずっと練習してたから障壁の模様は三角形から四角形になった。キリアさんが障壁を指でつついた後魔弾で障壁に攻撃した。


「なるほど。障壁の模様は四角形か。うんそこそこの強度だね。この程度の魔弾なら耐えられるなら実践でも充分使えるね」

「私は三角が限界なのに凄いです。リリィ様は魔法の才能があるのですね」

「それじゃあ無属性魔法を色々教えようか。まずは引きつけの魔法を教えようか」

「引きつけの魔法って私の指輪の魔法と似てますね」

「あぁ確かにそうだね。でも指輪の魔法とは少し違うんだ。指輪の魔法はあらかじマークしたものを光を道しるべとして引き寄せる。だけど今から教えるのはものを実際に引き寄せる魔法だ」

「似てるようで違う魔法ってことですか?」

「基は同じだけどね。指輪の方の魔法はおまじないみたいなものだから。意外と派生して生まれた魔法ってのは少なくなはいんだ。その指輪の魔法みたいにね。さて、引きつけの魔法は初歩的な魔法だからそう難しくはないはず。リリィならすぐに覚えられるはずだ」

「はい頑張ります!」

「まずは小さなものからやってみよう。この枝を引きつけてみようか。先に僕が手本を見せるから」


 キリアさんは足元に落ちてた手のひらサイズの枝を拾って私の前に置く。キリアさんは手のひらを枝の前にかざすと地面に落ちてた枝がキリアさんの手に引き寄せられるように宙を移動していってそのままキリアさんの手のひらに収まった。


「これが引きつけの魔法。ものを手元に引きつけることができる」

「凄い…」

「慣れてくれば大きなものも引きつけることができる。最初は小さなものからやっていって徐々に大きくしていこう。さぁやってみて」

「はい。うーん……」


 足元にある枝を引きつけようとするけどピクリとも動かない。奥歯を噛み締めて力をいてれても枝は一向に動く気配がない。


「駄目だ…全然できない」

「魔力の糸を引きつけたいものに繋げて手繰り寄せるイメージをしてみて」

「魔力の糸、手繰り寄せる……」


 魔力の糸…手のひらから魔力の糸を出して枝に巻きつけるイメージ…。それを手繰り寄せる…!


「できた!!」

「少しアドバイスしたらすぐにできるようになるなんて。やっぱり才能があるね」

「えへへ」


 キリアさんのアドバイス通りにやってみると足元にあった枝を手元に引きつけることができた。キリアさんみたいに早く引きつけられなかったけど。やっぱりキリアさんは魔法の練度が凄い。私も頑張らないと。


 ぐー……

「ご、ごめんなさい。私のお腹の音です…」

「あぁもう夕方だね。そろそろ夕食にしようか」

「すぐに準備しますね」

「ありがとうございます。ヴァイス起きて」

「くあぁぁあ……ワフ?」

「おはようヴァイス。夕食にするらしいから戻ろう」

「ワン!」

「メイさん私も手伝います!」

「ありがとうございます。ですがお客様に手伝わせる訳にはいきません」

「ここに置かせてもらってるのは私の方なので。せめて手伝わせてください」

「…そういうことでしたらお言葉に甘えさせてもらいます」


 日が傾き始めた頃私のお腹の音が鳴ってしまった。相変わらず私のお腹は素直だ…。キリアさんが夕飯にしようと提案したことで私たちは家へ戻っていく。家においてもらってるんだからせめてお手伝いはしないと。夜にはティターニア様のところに行かないとだから今日はちょっと忙しいな。

 

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