11話 氷漬け
「村を襲ってきたゴブリンは何処から来た」
「あの山からじゃ」
あそこか。結構遠いな。普通に行けば2日くらいってところか。
「何でそんなこと聞くんですか?」
「あの山に直接行ってゴブリンを倒してくる」
「え!?何でそんなことするんですか?この村に襲って来るんですから待ってればいいじゃないですか」
「それだと村に被害が及ぶかもしれない。それに村の近くじゃ無い方が戦いやすい」
「でも山まで結構遠いですよ。どうやって行くんですか?まさか歩き!?」
「いや、移動魔法で行く」
「魔法で行けるんですか?」
「まあな」
「改めて魔法って凄いですね」
久しぶりに移動魔法使うから失敗しないか不安だが大丈夫だろう。こいつには言わないでおこう。それに此処からだと結構長距離だしなそこそこ魔力もくうだろうな。
「お前も魔力自体は持ってるから、訓練すれば魔法は使えるようになるぞ」
「本当ですか!教えてくださいよ」
「俺は教えるのは苦手だから無理だ」
「そんなぁ……」
俺は感覚で魔法を使うから人に教えるのはどうも難しい。こればっかりは昔から変わらないな。
「じゃあ早速行くか。しっかり捕まっとけよ」
「はい!」
失敗しなければいいがな。
「着いたぞ」
「もうですか?」
「ああ。失敗しなくてよかった」
「え、どういうことですか?失敗する可能性があったってことですか?」
「俺は移動魔法が苦手なんだ。久しぶりに使ったから成功するか不安だったが」
「もし失敗したらどうなってたんですか?」
「体が真っ二つだ」
「な、そういうのは早く言ってくださいよーー!」
「成功したんだからいいだろ」
「よく無いですよ!」
別に成功したんだからいいだろ。まあ、過去に一度も人で移動魔法を失敗したことはないから大丈夫だとは思ったが。
「ほらささっと行くぞ。死にたくなかったらはぐれないことだな」
「あ、待ってくださいよー」
早歩きで草道を歩けば、辺りから複数の魔力が感じる。この辺りにゴブリンの住処があるはずだ。
「近くにゴブリンの住処があるはずだ。気をつけろ」
「分かりました。私の命はクロードさんに預けますね」
「簡単に他人に命を預けるな」
「クロードさんだからですよ」
「俺たち会ってそんな時間経ってないだろ」
「クロードさんはいい人ですから」
何を基準にそんなことが言えるんだこいつ。本当にこいつといると調子が狂う。
「グガァ!!」
「きゃあ!?あれがゴブリンですか?」
「そうだ。こいつらは縄張り意識が強い。縄張りに入り込んだ俺たちを敵視してるんだろう」
「クロードさんやっちゃって下さい!」
「言われなくても」
ここは山だからな。炎の魔術を使えば山火事になっちまう。
「氷の第ニ呪文:アイルス」
「ガァ、ァ…」
魔法を使いゴブリンの体を凍らせていく。これで山火事になる心配もないな。
「氷漬けになっちゃった…魔法ってすごいなぁ」
「気をつけろ。どんどん来るぞ」
仲間がやられたことに気づいてゴブリン達がどんどん出てくる。
「ドンドン出てきちゃいましたよ!」
「雑魚どもが群れても結果は同じだ。安心しろ」
ゴブリンが大体20から30ってところか。まとめてやっちまうか。
「氷の第5呪文:アイスヴェイル」
「グァァ…」
「ひえぇ全部凍っちゃいました。にしても寒いですね。少し加減してくださいよ」
「手加減は苦手なんだ。我慢しろ」
アイスヴェイルはアイルスと違い全体を凍らせる中級魔法だ。雑魚相手ならこれで十分だろう。
にしても何かおかしい。これだけのゴブリンがいるなら群れ全体を纏めるホブゴブリンがいるはずだ。こいつを探さないとゴブリンは見境なく襲って来る。まずはホブゴブリンを探さなねぇと。