1話 仲間と夢
初めて書くので、変なところがあったらごめんなさい。誤字脱字は教えてくれると嬉しいです。
「クロード!!」
「なんだよ、うるさいな…」
少しぼーとしてたようだ。アイリスに耳もとで叫ばれ鼓膜が破れると思った。
「もう、何回も呼んでるのに全然気づかないんだから」
アイリスは頬膨らまして、怒っていた。まさかこんなのが魔王だと人間も思うまい。
魔族の国を支配する魔王、それが目の前で俺に怒っているアイリスだ。
アイリスは魔王というには名前負けする奴だ。魔王というにはあまりにもお節介すぎる。困ってる奴は誰であろうと手を差し伸べる、そんな奴だ。
だが、魔王という名に相応しい力を持っている。この国でアイリスに勝てる奴なんていないだろう。唯一勝てるとしたら、勇者という人間くらいだろうな。
「悪い、少し考え事してた」
「考え事?何考えてたの??」
期待した目で俺を見つめてくる。別に何か考えてたわけでもないんだがな。こいつはそういう言い訳が通じない。
「なんでもない」
「ひどい!別に教えてくれたっていいじゃん。それが王に対する態度?」
「お前、王扱いしたら嫌がるじゃないか」
「まあね!」
なんで誇らしげなんだよ…
「で、なんか用があるんだろ」
「あ、そうだった。メイちゃんがお菓子作ってくれたんだって。他のみんなはもう集まってるから。速く行こ!」
「はぁ…わかったよ」
そう言って俺の手を握って走り出した。どんだけ食い意地が張ってるんだか。
「あ、アイリス様!」
「ごめんね〜メイちゃん。クロードを連れてくるのに時間かかっちゃって」
「おい、まるで俺が悪いみたいじゃないか」
こいつはメイ。この国では珍しく人間の女だ。孤児でこの国に迷い込んできた時にアイリスが拾ってきた。拾ってきた時は何考えてんだと思ったが、アイリスらしいといえばらしいな。
ちなみにこいつの名前は「君は今日からメイドだ!だから君の名前はメイちゃん!」ということらしい。流石に安直すぎないかと思ったが、本人は気に入ってるから気にしなくていいだろう。人間とは姿形が違うこの国でよくやってるよな。
「みんなも待たせてごめんね〜」
「たく、俺を待たせるなんてどういうことだ。詫びにあとで戦いやがれ」
偉そうな男はジャッカス。この国きっての武闘家だ。だがアイリスには流石に敵わない。ジャッカスはアイリスをライバル視して事あるごとに戦いを挑んでは負けている。魔族では数が少ない鬼人だ。ただし戦い以外はバカだ。
「私は大丈夫よ、アイリス様♡こいつがせっかちなだけよ」
この女はローザ。本当は蛇の魔物だが普段は人間の姿に化けている。毒を扱わせたら右にでるものはいないだろう。ただし、酒癖が悪い。今も酒を飲んでいるのだろう。顔が心なしか赤い気がする。
「そうだジャッカス。アイリス様になんて口聞いてるんだ。少しは社交辞令っていうのを知らないのか」
こいつはキリア・ヴィンセント魔王軍の頭脳担当だ。魔道具や、魔術の開発をしている。キリアは少年の姿をしているが、アンデットなので見た目より年はいってる。本人はコンプレックスらしいが。
「なんだとこのクソチビィ!!」
「なんだよ、僕は本当の事を言ったまでだ」
「もうやめなさいよー。アイリス様の前よ」
こんなでもこいつらと俺はアイリス直属の親衛隊、四芒星なんだが…威厳ってものがないな。
「そうだよみんな。メイちゃんも困ってるじゃん」
「ア、アイリス様、私は大丈夫です」
「はぁ…メイがそういうなら仕方ないな」
「お、あっさりやめるじゃーん。愛の力ってやつ?キリアちゃん♡」
「違う!そんなんじゃない!!」
「顔真っ赤で言っても説得力ないわよ♡」
「おい、逃げるのかよキリア!!」
いつになったら終わるんだ…
「クロード様、私はお茶の準備とかをしてきますね…」
「あぁ。すまない」
メイはこの場に居づらいのだろう、俺に声をかけてから部屋を出て行った。自分が話題の中心なんだ。メイの性格上仕方ないな。
「あれ、メイちゃんは?」
アイリスはメイがこの場にいないのに気づいたらしく俺に声をかけてきた。というかよくあの騒ぎの中でメイがいなくなったことに気づいたな…
「茶の準備しに行ったよ」
「ありゃ、そうなのか。メイちゃんがキリアのことどう思ってるのか聞きたかったのにな〜」
「やめてやれ…」
「あははは!」