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シンフォニーの僕、アイオネス

 木の下まで来ると直径は20m、高さ70mから100mの木が3本絡みついて立っていた。

 アイザクは風魔法Lv2ウインドカッターにて一番下の枝を切り落として葉を図鑑と見比べた。


「おおーーっ、ハイペリオンの葉だ。」


 アイザクは急いでローム王国へ帰り、ベラドンナ領主アーノルドに報告した。

 アーノルドは報酬として金貨100枚を渡した。

 現代価値で3,000万円だ。

 それだけ凄い発見だったのだ。

 エリクサーの材料なのだ。

 エリクサーの材料の中で、手に入らないのがユウレイラン、セコイワの葉、ハイペリオンの葉、ユグドラシルの葉だ。


 難しいそうな素材、ドラゴンの魔石とドラゴンの血は偶にではあるがローム王国へ売りに持ち込まれるのだ。

 偶然死んだドラゴンを見つけて、売る人間?がいるのだ。

 当然、普通には買い手はいない。

 使い道がないからだ。


 ベラドンナ家がこの300年で買い付けた物が少しではあるが保管されている。

 マンドラゴラの根も偶に見つかって売られている。


 アーノルドは現在52歳になった。

 自分で買い付けに行こうと思ったが、王アトルに相談する事にした。

 何故なら葉の素材は採取して1日を過ぎると使い物にならないからだ。

 花の素材も同じでブルーフラワーでも1日以内に処理しないと使えないのだ。


 このロームでアーノルドが知っている異空間収納袋は自分が持っている物が1つ、

 聖女アドリアナが持っていた王家の物が1つ、

 ナイキ、ロビナが持っていた物が1つ、

 最後の物はニルンルート家の物だ。


「アトル王。」

義父上(ちちうえ)、いかがなされましたか?」

「ハイペリオンの木が見つかりました。」

「おおーーっ、凄い発見ですね。」


「はい、それで買い付けに行こうと思ったのですが、私も52才、ちょっと不安です。

 それで王家から信頼がおける者を買い付けに行かせてもらえないでしょうか?」


「はい、お任せください。義父上、良い人材がおります。」

「それは誰でしょうか?」

「私です。」

「えっ、王様が行かれるのですか?」

「そんな大事な買い付けは、王、自ら行くべきでしょう!!」


「あなた、何を言っているのです。

 もう直ぐ、子供が産まれるのですよ。」


「だからです。

 生まれてくる子供の為にも、この商談をまとめる必要があります。

 ティアナ、エリクサーの材料なのですよ。」


 ティアナは10年前、自分がエリクサーのお陰で命が助かったのを知っているので、それ以上は言えなかった。


「では、おかあさま、私もついて行きましょう。」

「えっ、アスカも行くのか?」

「父上だけでは、心配です。」

「お2人とも少しお待ち下さい。ここはナシル、ロビナ様に意見をお聞きしましょう。」

「えっ、お師匠にですか!!」


 アトルとアスカがはもって言った。

「そうして下さい。」


 ティアナが相づちを打った。

 アトルもアスカも今ではナシルが苦手だった。

 小言が多いのだ。


「あっ、お師匠様、ごきげんよろしいようで。」


「何が、ご機嫌な者か!!

 わしはこの通り元気だわい。

 それで何処かに旅行に行くだと。

 王がそんなで如何する。」


「師匠、旅行ではありません。大事なポーションの交渉に出向くのです。」

「まあいい、何処に行くのだ?」

「えっ、何処に行くのかですか? 」

「義父上、何処で見つかったのですか?」

「あっ、アーノルドも来ておったのか!!」

「お前は元気だな。」

「魔法使いは年取っても元気なのだ。これは我がロビナ家が証明している。」

 アメニア王国の王都、アイオーレです。」

「アメニアの王都?そんなに遠い所なのですか?」

「何処だと思っていたのだ?」

「ローム王国内だと思っていました。」

「それでも本当に、アトル、お前は行くつもりなのか?」

「はい、この交渉はローム王国の未来を左右する物です。」

「よし、そこまでの覚悟なら、わしも王家への誓いを果たそう。」

「師匠、いいのですか?」

「これが初代様がローム王家へ誓った事だ。ナバンはいるか?」

「はい、父上。」

「お前が王家の船の船長をせよ。」

「はい、父上。」

「必ずや、アトルとアスカを無事届け、又帰って来させよ。」

「はい、父上。」

「王妃とお腹の子供は、わしが命に代えて守ってみせよう。」

「師匠、お願いします。」



 こうして王家の船、アドリアナ号に乗ってベラドンナを出航し、ナトニアのアルカリーナに寄港して、そしてアメニアのマル、セイユ港に到着した。

 ここで事前にアメニア王家へ交渉の打診をして、約束を取り、船でアメニア川を上って行った。


 川から見る高さ1,000mの岩の柱は絶景だった。

 そして時々飛竜の飛ぶ姿が見えると、船の全員が「おおーっ」と声を上げた。

 船は無事、王都アイオーレに到着した。


 アスカが船着場にタラップを降りた時、青空から1匹の飛竜が降りて来た。

 その飛竜から1人の竜騎士が飛び降り、アスカの前に跪いた。



「アスカ姫様、よくお出でくださいました。

 私はネオ、アイゼンハウアー17歳です。

 この飛竜はアイオネス680歳です。

 姫のお役に立ちたくて参上仕りました。」



 近衛兵達がアスカ姫の前に立ちはだかり剣を抜いた。


「無礼者、それ以上近づけば、切り捨てるぞ。」


「アイオネス、間違いじゃないのか?

 お前が言ったのは美女だぞ。

 彼女は美少女だ。」


「アスカ姫様!!」

「えっ、あなたは飛竜なの!!」

「私はアイオネス、あなたが歌った人魚姫の歌を受け取ったものです。」

「えっ、人魚姫の歌?それはいつの事です?」

「5年前の貴女の誕生日の事ですよ。あれ以来、我々は貴女が来るのをお待ちしていたのです。」


 アスカはネオとアイオネスにサーチを放った。

 ステイタス。

 ネオ、アイゼンハウアー17歳。

 レベル1,200。

 称号 神の竜騎士。

 槍術Lv7。



 アイオネス680歳。

 妖精率20%。

 レベル1,300。

 称号シンフォニーの僕。



「皆の者、剣を収めよ。」

「しかし姫様、この者はとても怪しいですよ。」

「いいから剣をひきなさい。」

「畏まりました。」


 たしかに5才の誕生日に人魚姫の歌をアーノルドおじいさまに歌わせられた。

 すっかり忘れていた。

 ネオを良く見たら、ちょっと好みだと思った。


「あっ、ネオ、ここにいたのか?」

「お兄様。」

「何がお兄様だ。今日は大事なお客が見えられるから、家でおとなしくしてろと言っていただろう。」

「すみません、帰ります。」

「これは失礼致しました。私はアイゼンハウアー公爵家が長男、テオス、アイゼンハウアー23歳です。私が王宮へご案内いたします。」

「よろしくお願いいたします。」


 アスカ達はネオとアイオネスの前を通って王宮へ向かった。

 王宮では歓迎の宴が催され、1日目の夜が過ぎて行った。


 アスカは桟橋に来ていた。

 飛竜の言葉が気になっていたのだ。

 私の歌を、このアメニアで聞いたと言ったからだ。

 歌ったのは、ローム王国の王都なのだ。

 アスカは桟橋の上で人魚姫の歌を歌った。


「恋して遊ぶ青い波間、恋して遊ぶ若い2人、恋する2人には何もいらない、ただ肩寄せて見つめ合えば、あああ、今もあなたを待つわ。この海辺で」


 歌い終わった瞬間に、黒い影が夜空から舞い降りて来た。


「こんばんは。」

「聞えたの!!」

「僕にも今度はしっかりと聞えたよ。待つわってね。1つ聞いてもいい?」

「いいわよ。」

「アスカは何をしに来たのだい?」

「ネオは知らないのね。ポーションの材料を探しに来たのよ。」

「ポーションって、勇者のポーション?」

「ネオ、何故知っているの? 」

「アイオネスから聞いたのさ。アイオネスは勇者が岩山の頂上でポーションの材料を採取していたのを見たそうだよ。」

「本当なの?」

「本当さ。このアイオーレの岩山の頂上でも勇者は葉っぱを採取したとアイオネスは言っていたよ。」

「アイオネス、本当なの?」

「本当だよ、今から行って見る?」

「ええ、お願いするわ。」

「じゃ、アイオネスの首の方に乗ってくれる?」


 アスカはフライでアイオネスの首あたりに(またが)った。

 ネオがその後に跨り、二人は夜空に飛び立った。


「今日はやけに双子月が輝いているね。星ぼしが良く見えないや。」


 夜の飛行は、2人の心をときめかせた。

 触れ合う肌と肌が熱く感じられた。

 しかし、ときめきの時間は直ぐ終わった。

 アイオネスはハイペリオンの木の側でホバーリングした。

 アスカは、その木を見た瞬間にエリクサーとそのレシピが頭に浮かんだ。


「アイオネス、向こうの岩の頂上まで行って見て。」


 アイオネスは東の岩の頂上に飛んだ。

 もの凄いスピードで飛んでいるのに、風の抵抗をまるで受けなかった。

 馬車の中にいるような感覚だった。

 その頂上にはデスベル草が生えていた。


「凄いわ、デスベル草が群生しているわ。」


 アスカは飛竜から下りて、デスベル草を採取しだした。

 夢中で採取していたので、時間の感覚が分らなくなっていた。


「アスカ、そろそろ夜が明けるよ。」

「えっ、もうそんな時間なの!!」

「帰らないと、みんなが心配するよ。」

「そうね、帰りましょう。」


 アイオネスは朝日が出る前に、王宮のアスカの部屋の上の屋根に停まった。


「アスカ、楽しかったよ。またね。」

「私も楽しかったわ。またアイオネスに乗せてくれる?」

「今度は、また違う岩の頂上に行ってみよう。」

「ありがとう。その時は、また歌うわね。」

「待っているよ。」


 こうしてアスカは朝日の出る前に、自分のベッドに潜り込んだ。

 翌日から王宮でハイペリオンの葉についての交渉が行われた。



「ローム王アトル32歳殿、よくお出で下された。

 今までは交流がなく、商人達がポーションを仕入れては、我が国で販売している状況でした。

 よければ今後とも王家同士の交流をしたいと思っています。

 ところで、今回の訪問はどのような事なのでしょうか?

 親善とか案内とかでしょうか?」



「アメニア王オルブライト32歳殿、第一の目的は親善です。遠い国同士ですが、今後は仲良くさせて頂きたいと思っています。」

「それはこちらも願う事です。我が娘や息子には、いろんな国を見せてあげたいと思っていました。是非、わが国の貴国への訪問を受け入れてもらいたいと思います。」

「こちらこそ、お願いいたします。それから、このアイオーレの岩の山の頂上にはとても高い木が生えていると聞きました。どのような木なのでしょう?」

「ああ、ワイバーンの木の事ですね。」

「ワイバーンの木?」

「はい、時々ワイバーンがあの木に巣を作りにくるのです。」

「それは凄いですね。率直に申します、その木の葉っぱ1枚を金貨1枚でお譲りください。」

「えっ、葉っぱ1枚を金貨1枚?何かの冗談ですか?」

「いえ、本気です。」

「葉っぱなど、すきなだけ持って行ってかまいませんよ、タダで結構です。」

「いや、そう言う訳にはいけません。今後のお付き合いもあります。」

「アトル殿、葉っぱなど1年もすれば、また生えてきます。まる裸にするのならば別ですが。」

「いえ、100枚ぐらい欲しいのです。」

「100枚?では自由に御取り下さい。」

「では、そのお礼にこのポーションを差し上げます。」

「えっ、これはエリクサーではありませんか!!」

「おおーっ、オルブライト殿はエリクサーが分るのですね。」

「はい、我が国の300年前の妃、アルフォンシーヌ様がこのエリクサー、別名妖精の雫で生き返ったと吟遊詩人の歌にあるのです。」

「そうですか、あの葉っぱは、そのエリクサーのレシピの一部なのです。」

「なるほど、よく分りました。自由にお持ち帰り下さい。そして今後は王家同士、仲良くお付き合いください。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」



 この結果を受けて、ナバン、ロビナはハイペリオンの葉っぱの採集を行った。

 アトルとオルブライトは年が同じ事もあり、気が合ってその後王家だけのパーティーを行った。

 ローム王家からアトル32才とアスカ10才、アメニア王家からオルブライト32才、妻ニコレッタ29歳、長女アルフォンシーヌ14才、長男ケスラー10才が出席した。

 アトルとオルブライト、ニコレッタはお互いの国の事、王家の事を話しあっていた。

 子供達は魔法について話していた。

 アルフォンシーヌはアメニアにおいては天才と呼ばれ、4属性魔法をLv4まで使えるのだ。



 現在ナトニアの神学校の三回生で来年卒業なのだ。

 神学校では上位5番以内にいつもいる。

 ケスラーは風と炎魔法がLv1で使えた。


「ほら、凄いだろ、これがウインドの魔法だよ。」


「風の精霊よ、我が願いを受け風を現せ給え。ウインド。」


「ケスラー、何がウインドよ、良く見ていなさい。」

「ウインドスピア。」


 アルフォンシーヌは無詠唱でウインドスピアを窓に向けて放った。


「アスカ、今の見えた?」

「お姉さま、僕は見えましたよ。」


 アスカは質問の意味が分らなかった。

 それで魔法を見せればいいのだと思った。

 ケスラーがウインド、アルフォンシーヌがウインドスピア、その上、ウインドストームを放とうとして止めた。


 この部屋の中では、危険過ぎる。

 それで水魔法Lv6リキッドメニピュレイションで水を氷に変えた。


「えーーーっ、氷魔法!!」

「アスカ、貴女氷魔法が使えるの!!」


 アスカは氷魔法ではなく、水魔法と言おうとしたが、黙っておく事にした。

 アルフォンシーヌがあまりに驚いているからだ。


「パパ。」

「何です、アルフォンシーヌ。」

「これ見て、アスカがやったのよ。」

「んっ、氷じゃないか!!」

「オルブライト殿、氷魔法はそんなに珍しいものなのですか?」

「アトル殿、隣のナトニア王国では勇者の魔法として有名なのです。何でもヒドラを氷漬けにして倒したらしいのです。」

「ナトニア王国でもヒドラがいるのですか?」

「はい、300年前までは、いたらしいのです。ヒドラの蒲焼なる料理が300年前に流行して、あまりにヒドラを獲りすぎて、今では絶滅したらしいのです。」




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