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アスカ ローム

「誰か!!まだか!!」

「はい、王様、お持ち致しました。」

「よし、呪い解除のポーションだな。しかしどうやって飲ませればいいのだ?」

「王様、口移しで飲ませられては、如何でしょう。」

「よし、そういたそう。」


 アトル、ローム王22歳は王妃ティアナ、ローム17歳に呪い解除のポーションを口移しで飲ませた。

 しかし、効き目が全く無く、逆に王アトルまで気分が悪くなった。


 それからは、名医にも診せ、最高司祭にも診てもらった。

 しかし誰1人、治す事が出来なかった。

 それと共に、王妃は衰弱して行った。

 誰が見ても、後僅かな命のように思われた。



 半年前、2人は結婚した。

 2人は小さい時からの許婚だった。

 姫はベラドンナのティアナ、ベラドンナ5歳、アトル王子10歳の時、親同士が決めた婚約だった。

 王子アトルは一目見て、好きになり大きくなったら結婚して一緒に暮らせる事を喜んだ。そして、それが当然の事のように、2人は成長し、ずっと好き合って結婚をした。



 しかし今年の王アトルの誕生日に、ロカ領から送られて来た短剣を開けて見る時に問題が起きた。

 その宝箱には、勇者の短剣と書かれていた。

 このローム王国には本当に何本か勇者が作った短剣があるのだ。


 ベラドンナの宝物庫にも勇者の短剣と勇者の魔法の袋があるのだ。

 ティアナはベラドンナの姫だけに、勇者に興味があった。


「アトル、これ見ていい?」

「ああ、いいよ。」

「勇者の短剣、どんな物なのかしら?」


 ベラドンナ家にも勇者の短剣があり、どんな違いがあるのか興味を持った。

 ティアナは宝箱を開けた。

 中から白い靄が出て来てティアナを包み込んだ。

 ティアナは息が出来なくなり、その場に倒れたのだ。


「誰かおらぬか!!」

「はい、王様、どうされましたか? 」

「ティアナが倒れた。医者を連れて参れ。」

「畏まりました。」


 文官は宮廷医師を連れてきた。

 医師は王妃を診察した。


「王様、これは呪いでございます。」


 アトルには、直ぐピンと来た。

 あの宝箱の中の短剣だ。


「その宝箱の中には、呪いの短剣が入っている。教会に持って行って、お祓いをしてもらって来い。」

「畏まりました。」

「誰か、呪い解除のポーションを持って参れ。」

「誰か!!まだか!!」

「はい、王様、お持ち致しました。」



 しかし呪い解除のポーションでは、効き目が全く無く、逆に王アトルまで気分が悪くなったのだ。


「どうすればいい?」

「そうだ、知恵者の宰相なら、何か知っているかもしれない。宰相 マンチェスター、ハミルトン37歳を呼んで参れ。」

「アトル王、如何されましたか? 」

「マンチェスター宰相、ティアナが呪いの為倒れた。何か良い知恵はないか?」



 アトルはこれまでの経緯をマンチェスターに話した。


「アトル王様、ポーションや病気の事は、宮廷魔術師長ナシル、ロビナ42歳が一番詳しいと思われます。」

「なるほど、ナシル先生なら、たしかに詳しいだろう。よし、ナシル先生を呼んで来てくれ。」

「畏まりました。」



 宮廷魔術師長ナシル、ロビナは王アトルの小さい頃からの学識、魔術の先生で、アトルも魔術をナシル、ロビナから習ったのだ。

 またナシル、ロビナは300年前のナイキ、ロビナの子孫だ。

 300年前、ナイキ、ロビナはベラドンナにいた。

 しかし時の王、アビゲール、ロームと父ナウマン、ロビナの頼みで初代ローム王都の宮廷魔術師長になり、王都ロームにて魔法使いを育てたのだった。



「ナシル先生。」

「如何したのだ、アトル。」

「ティアナが倒れました。」

「何?これは呪いか?」


 ナシル、ロビナは魔法を詠唱した。


「ユグドラシルよ、この世界の理を表せ。サーチ。」


 ステイタス。

 状態、龍の呪い。

 眠ったまま、死に至る。


「先生、ティアナは助かるでしょうか?」

「このままでは不味い。しかし1つだけ方法はある。」

「えっ、助ける方法があるのですか!!」

「ある!!」

「アトルは万能薬のポーションとエリクサーを知っているか?」

「はい、伝説の神のポーションでしょう。ティアナから聞いた勇者のレシピの中に書かれているポーションです。」

「効能も知っていよう。」

「はい、知ってます。」


「先生、あれはまだ誰も作れた者はいません。

 今では、本当なのかどうか、学者の中でも意見が分かれています。

 それで伝説のポーションと呼ばれているのです。」


「さすが我が弟子。

 良く知っている。

 では、そのポーションがベラドンナの宝物庫の奥の隠し金庫に保管されている事は知っているか?」


「えっ、それは本当ですか!! 」

「ティアナからそんな話は、聞いた事もありませんよ。」

「それはそうだろう。代々ベラドンナ家当主しか知らない秘密なのだ。」

「先生は何故、知っておられるのですか?」



「わしとティアナの父、アーノルド、ベラドンナ42歳は歳も同じで趣味も一緒で勇者に関しての事なのだ。

 勇者の伝記は、段々とこの世界から消えて行っているのだ。

 何故、消えて行くのか?

 アーノルドと2人でずっと研究し続けているのだ。

 それにベラドンナのレシピの原本を見せてもらった事があるのだ。」



「では、そのポーションを使えば、ティアナは治るのですか?」


「あの勇者のレシピが本当なら治るだろう。万能薬のポーションはどんな欠損、病気、呪い、状態異常を治す。」


「エリクサーはどんな欠損、病気、呪い、状態異常も治し、腐っている死体からでも生き返えさせる事が出来る。

 先に飲んでいれば、一日ききめがあり、欠損してもたちどころに治し、どんな病気にもかからず、どんな呪いも受け付けない。

 状態異常無効状態になり、死んでもHP1にて生き返るとある。」


「では、義父(ちち)、アーノルド様にお願いして、ティアナを助けてもらいます。」

「それが難しいのだ。」

「何故です、自分の娘が死にかけているのですよ。」

「アトル、お前は今までに、そんなポーションが使われた事を聞いた事があるか?」

「いえ、ありません。」

「そうだろう、今まで一度も使われた事がないのだ。」

「何故です。やっぱり、そのようなポーションは無いのですね。」


「いや、違う。

 ベラドンナ家当主は勇者の言葉をしっかり守っているのだ。

 一種の、もはや呪いのようにだ。」


「それほどまでに、何故守らなければいけないのですか?」

「では、逆にアトルに聞くが、何故ミドルポーションから下に書かれているポーションが作れないと思う?」

「それは、まだ誰もそこまでの技術に到達していない為だと思います。」



「わしの考えは違う。

 そもそも人には作れないポーションだと思っている。

 アーノルドが当主になる時、先代から言い渡されたのは、いつか錬金魔法に覚醒した魔法使いが現れる。

 その者の為に、大切に守り抜くのだと言われたそうだ。

 今までにも、何人もベラドンナ家で病で死んだ者がいたのだ。

 だが、その身内にさえ、ポーションを使って来なかったのだ。

 今回もそうだろう。」



「自分の娘であってもですか!!」

「そうだ!!」



 アトルはがっくりと崩れ落ちた。


「アトル、そうがっかりするな。今回は神ムーン シルバー様のお導きがある。」


 ナシル、ロビナは1冊の本をアトルに差し出した。


「この本は何の本なのですか?」

「この本は200年前に書かれた日記だ。」

「日記ですか?」

「そうだ、この日記を書いたのは、カトリーナ、ベラドンナだ。」

「ベラドンナ!!」


「この日記も勇者の部分を虫が喰って読めなくなっている。

 しかし勇者にかかわりのない部分はなんとか読めるのだ。

 そして大変興味深い記述がある。

 彼女はサンターナ、ゴールドと出会った時の事を書いているのだ。」


「サンターナ、ゴールド?」

「サンターナ姫なら知っていますよ。ベラドンナの英雄で、オーガを一撃で倒したのですよ。」



「そう、そのサンターナ姫と出会ったと記しているのだ。

 そしてここからだ重要なのだ。

 アトル、ここからの話は、お前だけの心に仕舞って置きなさい。

 勇者のレシピはお前が知っているものを含めて4冊あるのだ。

 そして4冊目は勇者の旅の日記なのだ。

 しかし、今ではアーノルドでさえ、読めなくなっているのだ。

 由に私と2人で研究しているのだが、何かに邪魔されているかのように読めないのだ。そして最後の文は違う文字で書かれていて、ここは既に消えかかっている。

 しかしカトリーナ、ベラドンナの日記に、この最後の文の事が記されているのだ。」



「なんと書かれているのですか? 」



「サンターナ姫は最後の文を勇者が書いている時に側にいて、教えてもらったそうだ。そしてサンターナ姫は4冊目を読み出して最後の文の意味を教えてくれたと記されている。あなたの大切な人の命が無くなる時には、このポーションを使いなさい。

 神ムーン シルバー様は、子孫繁栄の神です。

 人の命を何より大切にされます。

 こうニホンゴで書かれていると教えてくれたそうなのだ。

 この日記をアーノルドに見せれば、もしかすると宝物庫のカギを開けてくれるかもしれない。」



「先生!!」

「今から、わしが行ってこよう。」

「私もご一緒させて下さい。」

「ティアナについていなくていいのか?」

「はい、出来ればエリクサーをもらって来ます。」

「そうか、では一緒に行こう。」


 アトルはマンチェスターに馬車の手配を支持した。


「アトル、今回は船で行くぞ。」

「えっ、舟ですか?馬車の方がずっと速いですよ。」

「まあ、任せておきなさい。」


 ナシル、ロビナは小さな帆船に乗り込んだ。


「あっ、ナバン、お前も行くのか?」

「俺は師匠の船の舵取りだ。」


 ナバン、ロビナ22歳はナシル、ロビナの長男で、アトルと2人、ナシルの愛弟子だ。


「アトル、今日はお前が舵を取れ。ナバン、お前は風係だ。」

「はい、お師匠様。」


 ナバン、ロビナは天才だ。

 アトルは小さい頃、ナバンが羨ましかった。

 何でも自分より出来るのだ。

 しかしナシル先生の一言でナバンへの思いが変わった。


「わしもナバンもお前の騎士だ。お前の為なら命を差し出そう。だからアトル、お前は神と共にいてくれ。そして、これが我がロビナ家の家訓なのだ。この家訓は、初代ナイキ、ロビナが時の王、アビゲール、ロームと父、ナウマン、ロビナに誓った言葉だそうだ。何故、こんな事を王アビゲールに誓ったかは謎なのだがな。」



 こんな事があって、アトルはナバンへの思いを変えたのだが、羨ましい気持は残った。何故なら同じ弟子なのにナバンは4属性魔法は既にLv3を使え、剣術レベルはLv5なのだ。アトルは4属性魔法は全て使えるがレベル1なのだ。


 だが、これだけでもローム王国で10本の指に入る実力なのだが、隣にいつもナバンがいたのだ。

 アトルは剣術はLv4だ。

 それでも、この王都では5本の指に入る実力者なのだった。


 3人は舟で川を下って行った。

 下りなので自然に舟は進むのだが、風が海から吹いていて、かなりゆっくり下って行く。ナバンは風魔法Lv1ウインドを強めに帆に向けて放った。

 海風からの風を受けていた舟の帆が逆に波らんだ。

 船は時速30kmぐらい出ている。


 これにナシルが風を送った。

 舟は速度を上げた。

 時速50kmぐらいの速さになった。

 モーターボート並だ。

 ベラドンナまで300km。


 6時間後に3人はベラドンナの小船用の港に入った。

 監視人は何も言わなかった。

 港からベラドンナに入るには、門を通らなくてはいけないが、ここも素通りだった。


 アトルは疑問を尋ねた。


「師匠、何故監視人も門番も何も言わないで通すのですか?

 かなり警備が緩いのではないでしょうか?」


「アトルよ、あれらはわしの門人じゃ。」

「門人?」

「わしかここを訪れた時、たまにだが訓練を見てあげているのだ。」

「師匠の訓練を受けているのですか?」

「まあ、そう言う事だ。」


 アトルは思った。

 師匠の訓練は倒れるまで走らされ、倒れるまで魔法を使わさせられるのだ。

 あれをやらされたなら、誰も逆らおうとは思わないなと思った。

 言葉に出来ない過酷さなのだ。


 3人はベラドンナの砦にやって来た。

 ここでも3人は素通りで、アーノルドの執務室まで来れたのだ。


「良くお出で下さいました、アトル王よ。

 して、来られた理由は何でしょう。」



義父上(ちちうえ)、ティアナが呪いの為、倒れました。

 呪い解除のポーションでは、効果がありません。

 どうか、エリクサーを私に下さい。」



 アーノルドはちらっとナシルを見て、アトルに言った。


「それは私には出来ない事です。」

「あなたの娘なのですよ。」

「それでもです!!」

「これならどうです。」


 アトルはカトリーナ、ベラドンナの日記をアーノルドに差し出した。

 アーノルドはアルトが開いた日記のページを読んだ。


 直ぐ「おーーっ」と驚き、最後の部分を声を出して読んだ。


「あなたの大切な人の命が無くなる時には、このポーションを使いなさい。

 神ムーン シルバー様は、子孫繁栄の神です。

 人の命を何より大切にされます。」


 そして涙を流したのだ。


義父上(ちちうえ)、何に驚かれたのですか?」

「先ずはポーションを持って来よう。少し待っていてくれ。」


 アーノルドは執務室の本棚の後ろに消えた。

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