黒狐の少女
夜勤最終日!!そして、連続投稿最後です!!
日曜日はどうなるかわかりませんが、気力があれば投稿します!!
──────剣を振るったことにより一部の霧が晴れ、声の正体が露わとなる。
その正体は、黒い狐のお面に、和装を纏い足は底の高い下駄、肩に届く程までの白い髪、腰には太刀を携えており、持ち手の先には大きな鈴が二つぶら下がっていた。容姿を見る限り、冒険者の間で噂になっていた少女だろうと悪式の面々は思う、噂は本当だったのだと。
「よぉ、お前が噂の謎の少女ってやつかぁ、思ったより子供だなぁ!俺たちに殺されたくなかったら大人しく剣を下しな、悪いようにはしないからよ」
ドンは姿を露わにした謎の少女を見て、自分が思ったより小柄で弱そうと思ったのか横柄な態度を見せた。しかしその挑発に謎の少女は…
「・・・・。」
全く何の反応もせず、ずっとこちらを静観して微動だにせず見ていた。その反応に興味がなくなったのかドンは非常に短気でイライラし始め、ついに怒りの沸点に達した。自分の思い通りにいかなかったことに対して武力を振るうことを厭わない彼らは、思考より先に体が動く。
「なんだ、怖気ついてだんまりか?もう、興味がなくなったお前を殺す。悪く思うなよ」
そういい、ドンゴンガンは戦闘体制に入るべく太刀、杖、弓を構えいまだに微動だいにしない謎の少女へと攻撃を向ける。
「スキル、無間斬撃」
避ける隙間もない荒唐無稽な斬撃が少女を切り刻まんと襲いかかる。
「スキル、ウィンドーブレード」
風を操り風の刃として変化し無間斬撃に加え、さらに逃げ場を無くす
「スキル、レインアロー」
一本の矢が、数百本の矢へと増え天からの雨として降り注ぐ
3つのスキルを同時に放ち、四方八方塞がりで避けるすべはなく少女は一貫の終わりかのように思われた。しかし、それは一瞬のうちに打ち砕かれることとなる。
「古の夢幻葬」
ぽつりと少女が呟いた瞬間、辺り一帯は狐火で敷き詰められる、少女に放った攻撃全ては焼却、または塵と化し少女に攻撃が届くことはなかった。信じられない状況に、先ほどまでニヤついていた三人は開いた口が塞がらず、硬直して動けずにいた。
「クソ…こうなったら、死ねぇ!!!」
これでは不味いと思ったドンは、距離を詰め直接斬ってやろうと思い、無作法な剣筋で斬りかかる。
「浅はか…」
あまりにも無作法の剣筋、その剣筋に少女はまたぽつりと言葉を零す、一間に腰の太刀を抜刀し振りかざすたびに斬撃が飛ぶ、その対象はニンゲン本体ではなく…三人が持っていた武器が全て無惨な状態となる。
「あぁぁ!!!!!」
ドンの後ろで構えていたゴンとガンの武器も全てバラバラに朽ちてしまった、あまりの出来事に理解が追いつかず思わず、大声で悲鳴をあげる。
その声は思ったより大きく森の外まで聞こえていた。
「おいっ、今聞こえたよな。どうするんだ?いくのか?」
「うん、悲鳴が聞こえた…どうする?」
「でも、命の保障はないわよ。あの白金の冒険者だって帰らぬ人となったんでしょ?」
「仕方ない、あいつらが死んだら俺らが何を言われるかわからないだろ。いくしかない」
そういい、兆光一同も古の森へと足を踏み入れ、悲鳴の声の元へと走る。周りは背の高い木々に囲まれて、不気味な程当たりは静まりかえっている。次第に見えてきたのは、黒い狐のお面の少女がドンが尻餅をついて怖気ついている目の前に太刀を向けているのが見えた。
「待ってくれ!!!!」
その状況を制止すべく、蒼が声を張り上げる。その声に気づいた少女は太刀をそのまま視線を兆光へと向ける。その視線は体を貫く程の視線で兆光たちも思わず硬直する。
「そ、そいつらを逃してやってくれないか!ここに足を踏み入れてしまったのは悪いと思っている!すぐにここから立ち去るから!今回は見逃してくれ!!」
必死の呼びかけだった、このままでは目の前で人が殺されてしまう。その結果をどうしても避けなければならない必死の呼びかけに少女は暫く間をあけニンゲンに告げる。
「ニンゲン。次はない」
次はないという単純な言葉に重く、次は死だという意味に思わず背筋が凍る。安心したのも束の間、突然の眠気が兆光と悪式を襲う。視界が次第に霧がかかっていきやがて真っ暗となりその場に倒れる。
暫く時間が経ったであろう、意識が戻り覚醒する日差しが差していたはずの日は落ちかけ綺麗な夕日が昇っていた。気づいたら古の森の外で一同は眠っていたのであった──────
ご愛読ありがとうございます!!この一週間頑張った気がします!!
そして、たくさんの方に読まれた気がした一週間でした!!
今後とも頑張っていきたいと思っているので、よろしくお願いします!!