閉じては咲いて
最近お仕事が忙しくて、投稿安定していなくてすいません!
できるだけ、安定して投稿できるように頑張りたいと思います!!
─────長き月日の経て「幻命一之太刀」こと、一刀両断を取得した狐宵は、次の修練に挑むべく夜叉の後を追い、竹藪の間を身軽に掻き分けていく。その道は道なき道を夜叉は平然と進んでいく、竹藪を抜け谷を越え崖を飛び越えと険しい道を通る。
走り続けて、どれくらいの時間が過ぎただろう。夜叉は止まる様子もなく狐宵は不思議に思い問うた。
「や、夜叉様…!!い、いつまで…走り続けるのですか…」
「ぬ…これも修練の一環だ。剣を振るうということは体力即ち、持久力が必要とされる。これくらいでバテていてはこの森の門番は夢のまた夢だ。この修練の道中には悪鬼の野郎共もうろついてるやもしれぬ。気を抜いていては首が跳ねるぞ。あれを見ろ、悪鬼の大群だ。武器を構えろ、そして成果を見せるのだ」
さらっと耳を疑うようなことを発する夜叉、だが目の前に悪鬼はすでに迫っており考える暇もなく太刀を鞘から抜き
「幻命一之太刀」
光の如く剣を悪鬼の胴体目掛け何度か斬り込み両断する。鬼を一頭切り倒す。しかしそこにまた次の鬼が剣を振り下ろそうとする。不可避の攻撃が狐宵の背後を捉え、小さき体に一撃を喰らわさんとする。不意の攻撃となればいくら武術に長けた者と言えども避けれないもの。その瞬間を察知し夜叉が見かねて助太刀しようとするが、その必要はないと夜叉は瞬時に読み動きを止める。なぜならば…
「幻命滅式・夢想波紋突き」
確実に背後を捉えた悪鬼の一撃は、小さき体に届くことなく腕は斬り落とされ地面に落ちた。そして、次の瞬間に鬼の身体に波紋が拡がるように貫かれ屍と化す。狐宵は次々と止まることなく波が流れるように剣を振い悪鬼の大群を葬り去る。切られた苦しみで呻く声を上げる悪鬼はその場で倒れ次第に命の息は遠くなりこときれる。
狐宵一人で、悪鬼の大群を一瞬にして葬り去ったのだ。
「・・・・。はぁ、古の天狗が頭を悩ませるわけだ」
最初は狐宵のことをただただ面白いやつだと思い、駆け出しで未熟者だということもあり面倒を見つつ楽しもうと思っていたが、少し剣術を教えただけで新しい技を瞬時に生み出す秀でた才能。これを外れた道に使われればと思うと夜叉は肝を冷やすと同時にため息をつく。そんな夜叉を見かねて狐宵は罰の悪い顔をし反省した顔をする。
「えっと…。ご、ごめんなさい」
行きすぎたかと狐宵は思い、反省した顔をする。同時に狐宵は何かをふと思い出す。それは、鬼族へ手を出したことへの代償だ。この先の目的である古の森に属する種族の統一、鬼族との関係にヒビが入り波乱が起こることを恐れた。
「あの…。鬼族の仲間を殺めたことによって、統一に支障が出たりは…しないですかね…?」
その問いに夜叉は何を聞かれたかと思い、悩ませていた思考を切り替え問いの意図を読み取り答えた。
「あぁ、そうかお前の目的は種族の統一であったな。それは安心するがいい、確かに彼奴らは鬼族だが、あれは悪鬼とされる分類。鬼族にも2種類に分けられる。純粋なる力を求め日々を過ごす鬼そして、道を踏み外し悪事に手を染める悪鬼だ。統一するならば、「鬼」の方をすれば良いだろう。悪鬼など見るにも耐えぬ。鬼と悪鬼の仲も悪く敵対しているのだ」
その言葉を聞き、ほっと胸を撫で下ろす。一通り話を済ませた後、夜叉は再び出発すると声をかけまた疾走する。
また道中にここら一帯を悪鬼が根城としているという情報を共有し、出くわした際には斬り倒すようにと忠告をする、言っていた通り険しい道にも関わらずところ構わず悪鬼が出現する、そのたびに狐宵は前衛にでて「幻命一之太刀」と「幻命滅式・夢想波紋突き」を併用して足を止めることなく夜叉についていく。
それから数時間の時が過ぎ日が登り始め、日光が差し辺りが明るくなって来た。日が登ったところで夜叉の足がとまった。周りを見渡せばそこは、濃霧と背の高い歪な植物が生い茂り視界が悪い場所だった。狐宵の頭に過ぎるものがあった、それは水竜の湖の道中に年中霧が晴れることがない場所で休憩をした場所だった。しかし、そこより霧が濃くとにかく視界が役に立たず不意打ちに遭いやすいという危険な場所だと感じた。
心情を読み取ったのか夜叉は辺りを不安そうに見渡す狐宵に告げた。
「お前が不安がっていることは正しい。ここは濃霧で覆われていて視界が悪い。そのため、不可避の攻撃を受けやすくなる。今回の課題は視界に頼らずに死角からの攻撃への対応、また反撃をできるようにすることだ。ここに生息する種族は「エルフ」とされる。弓を用いた遠距離の攻撃を得意とする。エルフは聴力が長けているため動いた音だけで敵の場所を察知し攻撃を可能とする。このようにな」
「ザッ…」と夜叉はすり足をする、次の瞬間夜叉に目掛けて鋭い矢が飛んで掛かる夜叉は予想していたかのように大太刀を軽く振るい弓を受け止めへし折る。平然と実践してみせるものだから狐宵一同は言葉が出なかった。
そんな様子にも構うことなく、夜叉は続けた。
「このように、濃霧の中から矢は命を射抜こうと容赦なく飛んでくる。だが、攻撃を受け止めるだけではだめだ。
反撃をしなければ一方的にやられるだけだ。反撃の仕方はお前に任せよう。また新しい剣術を編み出しても構わない」
からかいまじりに夜叉は狐宵にいう、そんな夜叉に狐宵は苦笑いで応じつつ頬をかく。だが、やらねばならない理由が狐宵はある、深呼吸し精神を整え課せられた修練に挑む覚悟をした───────
最後まで読んでいただきありがとうございました!
また、来週になると思いますのでご愛読のほどよろしくお願いします!