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起動

眠い・・・さっきまで何をしていたか思い出せない

朦朧とする意識が徐々に覚醒して瞼を開けると

目の前に居たのは白衣を羽織った女性

赤い髪に丸い眼鏡、白い肌に切れ目のお世辞抜きに美女である


「やあ、起きたかい?転生者くん、君で99999人目だよ、君の世界だとキリ番ゲットとでも言うのかな?」


その表現は随分と古い、どこで手に入れた情報だよ

ああ、99998人の誰かか?と下らないことを考えるより、もっと先にするべき質問がある


「転生したんですか?俺は一体どんな状況でここは何処ですか?」


身体を動かそうとしてもピクリともしない

というか、目の前の美女はガラスのような画面越し

テレビ越しという、そんな感じだ


「ふむ、意識ははっきりしたようだね、転生自体についても狼狽えず、知識があるようだ、今の状況を説明する前にお互い名前がわからないのも不便だ

私の名前はミザリア・ドロウだ、ミザリアと呼んでくれ、転生者くんの自己紹介と覚えていることを教えてもらってもいいかな?」


「ミザリアさんですか、えっと俺の名前は伊藤修吾です

日本という国の高校生で18才です、最後の記憶は晩御飯食べた後に、録画してた一週間分のアニメ見たまま眠くなって・・・それが最後ですね」


うたた寝したまま、死んだんだろうか?

持病なんかもなかったし、死因に心当たりがないが・・・地震や火事でも起きたのか?

だとしたら、親父と母親、妹はどうなったのか

考えてもそれ以上わからない

その割に妙に落ち着いているな、俺・・・


「修吾くんだね、今聞いた出身地は他の転生者から聞いた事があるから、およその事はわかるよ、君の同郷だね、最期については覚えてないのも、他の転生者と大体同じかな、稀に覚えている者もいるが忘れたかったという意見が多いから、覚えてなくて幸運だと考えるといいよ」


「・・・君のこれからの生に影響はないからね」


微笑みを浮かべたミザリアさんに背筋が凍った気がした


「修吾くん、第2の人生は美人パイロットをサポートする補助機構だよ、電脳としてね」


何を言ってるんだ・・・と言いたいが何となく予想できてしまうアニメ知識が憎い


「単刀直入に言おう、君に肉体はないんだ、私は魂と呼ばれていたものを捕獲し、コンピューターにインストールする技術を開発したんだ、魂を指定する事はできないし、その魂がどこから来たものなのかは、こうやってインストールした後に起動して会話して

初めてわかるんだけどね」


起動という表現に、思わず苛立ちをあらわしそうになる


「今回は話せそうな魂・・・失礼、修吾くんでよかったよ、捕獲から起動まで時間も経費も結構なコストがかかるんだよ、中には起動しても赤ん坊だったりもあるからね」


なんでそんな事とか、どうしてサポートが必要なんだとか、一体ここはどんな世界なんだよとか

脆くも崩れた異世界で無双とか、色々な考えがよぎる、そして確信出来るのは現時点では

俺はただの家電よろしく、新しい玩具で断っても否定しても消されるだけという事だった


「そんなに怯えなくてもいいよ、今、断ったからってすぐ消すつもりなんてないよ、先ずは君のパートナー候補と親交を深めてくれてから決めてくれたまえ

頑張ってくれたらご褒美もある」


存在しない身体が震える気がした

絞り出して声を出す

「・・・はい、よろしくお願いします」

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