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二十二話

『あ、リスター……ふふ。頑張ろ』


『ツムちゃんどうしました~?』


『あ、いえ。ごめんなさい。集中します! 次は勝ちましょう!』


『頑張ってこー! 次も同じ動きでいいのかな!?』


『うん。動きとかは絶対に間違ってないから、あとはどう切り抜けるかだね』


『ツムちゃんの意見に賛成です~。でも、次もポイントが盛れないようだと難しいかもです~』


 試合が終わり、休憩時間の間は三人が意見を交換し合い、次はどのムーヴをするかなどの話し合いが行われていた。


 ツムギは一試合目と同じく最速の安地確保を選択している。立て籠りの連携はカエデとリンと一緒に普段からやっていた。


 一試合目が振るわなかったとはいえ、そう簡単に動きを変更するものではない。二人がダウンされたことで、漁夫がやってきた負けた。


 まだムーヴを変えるほど慌てる場面ではないが、これ以上ポイントが取れなかったときはキルムーヴをするしかないだろう。


 そのことをカエデが話しつつ、休憩時間を使い終わった。


 二試合目の画面に切り替わる。


 俺達リスナーが見ている画面は五分間の遅延がされていて、実際は戦闘中かもしれないのにそこ行ったほうがいいなど、お構いなしのコメントが溢れている。


 いつのことを言っているのか分からないコメントだ。俺はそんなコメント欄を見つつ、食い入るように画面を眺めた。


 ツムギの勝利を祈るしかない現状に歯噛みしてしまう。


 二試合目も一試合目と同じ動きを踏襲しつつ、最速で最終安地を予想して動いていた。


 カエデ、リン、ツムギの使うキャラは立て籠りに強い専用技を持っている。三人とも芋キャラと呼ばれているもので、移動キャラが一人もいない。


 滅多に見ない構成をしており、建物を取れば強い動きが可能だが、移動時点で検問などされていれば直ぐ様終わる構成をしている。


 そうさせないための最速移動だ。画面に映るツムギがルートを選択し、マップを開いて防衛するための建物へピンを立てていた。


 攻めるのではなく、防衛。建物内でハイドし、罠にかかった敵を全滅させるための構成。


 ツムギがミスすれば建物にたどり着けないまま終わる。


 順次試合が消化されていき、二試合目は3位だった。部隊キル数は5。


 好成績である。ツムギの選択が冴えていて局所的に良い動きが出来ていた。


 コメント欄も褒めている。前に見た動画と同じようだったと既視感を感じている者達も多いぐらい良いプレイをしていた。


 その後も大会は進行していき、結果は以下の通り。


 ――三試合目、5位。部隊キル数4。

 ――四試合目、2位。部隊キル数6。


 集計の時間がやってきた。各チーム達が試合を振り返り、ここが良かったなど言い合っていて目覚ましい活躍を見せたチームには主催側のインタビューなど受けていた。


 集計が終わり、総合結果が発表される。


 ――総合の結果、カエデチームは3位。


 これは凄まじいことだと思っている。プロチームで活躍する選手や、仕事にしているストリーマーと一緒に競い合って上位に入賞したのだ。


 ツムギのオーダーで3位になったと言ってもいい。


 だが、画面の先で悔し涙を流しているツムギが居た。


「……ツムギはよく頑張ったよ」


 コメントは良い動きだったとか、やっぱり競技シーンに出てる人は強いとか。そんな慰めの言葉が書かれている。


 俺はそれを見ながら先程の試合を分析した。沙希のオーダーは良かった。安地予測も外れてはいない。


 必須条件の強い建物も取れていた。


 惜しいのは決定力が足りていなかったことか。三人の対面力はVtuberの中ではそれなりだが、さすがにプロには劣っている。


 漁夫の利でやってくる連戦を跳ね返すほどの力は無かったのだ。


 俺は悔しい。もし、ツムギの隣に俺が居れば――そう考えてしまう自分がいた。


 カエデとリンも貰い泣きして三人で話している。優勝出来なかった大会だったが、お互いにやれることはやっていた。


 その悔しさをバネに彼女達は更に成長するだろう。次の大会で雪辱を晴らすと誓い合ってもいる。ひとしきり三人で会話していると各自の配信に戻り、応援してくれたリスナー達と話す枠になった。


 掠れた声のツムギがスパチャを投げてくるリスナー達に反応している。


 ――めっちゃ良かった

 ――感動した

 ――3位おめ

 ――二試合の動きリスタートみたいだった

 ――リスタートってチーターじゃね

 ――プロ壊滅で晒されてたやつ

 ――ツムちゃんnt

 ――gg

 ――リスタートってさっきコメントしてなかったか?

 ――それは偽物

 ――前そいつにランクで引き殺されたわ。死ね


『なんか、コメント荒れてきてる……。リスタートさんはチーターではないですよ』


 ツムギが荒れて加速しているコメントを拾うと更に加速して流れていった。


 ――ま?

 ――なんでツムが知ってるん?

 ――あれはチーターでしょ


『リスタートさんはわたしを応援してくれてる古参勢の一人で、デビュー当時からスパチャを投げていた人なんですよね。他のみんなも覚えてます。それで、リスタートさんからわたし宛に貰ったプレゼントなんですけど……』


 マイクからガサガサと音がすると、画面が切り替わって沙希の部屋である一部分が映された。


 ――私室可愛い

 ――配線ごちゃごちゃ

 ――カメラ気をつけて。リスク高いよ


『初めて三人でやってたとき、わたしってダメダメだったじゃないですか。そのあと、このノートが贈られてきて……』


 ――字が汚い

 ――直筆で草

 ――これ全部ゲームのこと書いてあんの?

 ――安地のパターンとか初めて見た

 ――点字リコイルで草生える


『でしょー! ふふ、解読するのに必死でしたよ。でも、このおかげで強くなったんです。リスタートさんのおかげですね』


 ――芋ポジ全部書いてあるじゃん。欲しい

 ――だからいきなり上手くなったんだ

 ――リスタート解読してくれて良かったな

 ――チーター疑ってごめん

 ――リスタートやばすぎ

 ――プロよりガチで笑う

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