第3話 オレ様キャラ
の、飲み会ってこんな雰囲気なわけ?
女子の友だちと女子会とかたまにするけど、こんなに怖いの?
男子のみなさーん! もっとしゃべって。しゃべって!
西なんてずっとメニュー見てるじゃん。
食うことしか考えてねーのかよ。
「に、西さん、なにかオススメなものありました?」
こうなったら私が会話の糸口を広げてやるよ。
ちょっとは興味あるもん言えよ、テメェ。
「そ、そうだねぇ。この山芋と梅肉のサラダとか、チーズとトマトのサラダとか」
「へー。おしゃれで美味しそう」
ちょっと女子たちも興味ありげにメニューとったぞ、オイ。さすが私。こうなったら男子にやる気を与えてやらなくちゃ!
ん?
なんだよ太介。両手で私の手を握って見つめやがって。目がトロンとしてるぞ。酔ったのか?
「ダメ……」
は? なにがだよ。
「オレ以外の男と話しちゃダメ。カスミ、一緒にメニュー見よ。ね?」
はぁーーーッ!?
テメェ、疫病神かぁ、コラぁっ!
また空気が凍ったぞ。パキパキだぞ、うおい!
「カスミ、ホラ! お腹にたまるものもあるよ! パスタもピザもある。このチキンの鉄板焼なんてどうかな? 好きだよね、チキン。焼き鳥は? 唐揚げのほうがいい?」
うっざぁぁぁーい!
必死! 束縛! お前そんなキャラしてたか?
初めてだよなァァーーーッ!
テメーは敵か?
ふざけんのも大概にしろよ、うぉい!
そんでオレ以外と話しちゃダメって、いつからオレ様キャラになったんだよ。
?????
さ、佐々木ィ──!
ちょっと視線が気になってみれば!
オレ様がツボかコラ。他にも男はワンサといるんだぞ?
ここは、みんなの視線を他に向けねば!
「あのー、福永さん、手が長いところで、佐々木さんの前のお醤油とってくださいます?」
「あ、ああ、いいぜ」
“ぜ”。“ぜ”なんて語尾につけるやつこの世にいるのかよォー! せっかく佐々木とお近づきになれるよう糸口摑んでやってんだよ。
“佐々木さん取って”とか言えば向こうだって取るよ。その時、手の一つでも触れてみろよな。袖触れあうも他生の縁。オメーら全員、今流行の草食系か?
!!!!!
突然、太介が暴れ回るようにテーブルをほぼ占拠したぁ! デケぇんだよ。体がァ! なんなんだよ。
「はい。カスミ、お醤油」
…………。
テメェ~~~ッ!
なにがなんでも今日は私の敵だってコトだな、コノヤロ~ッ!
裏目裏目に動きやがって。合コンだよ。合コン。
テメェの一人舞台じゃねーんだよ!
「お酒お代わりいるかな~……」
倉田のセリフそれだけ?
誰だ台本書いたヤツ。
太介なんてオールアドリブだぞ、アイツ。
誰かコイツをナントカしろ!