第2話 合コン
太介の横には3人の男。その逆サイドには私が座る。そして私たちの目の前には4人の女。
やっぱり──。
これ、合コンじゃねーか! 太介ェ!
みんな、某アニメちび○こちゃんみてーに顔に縦線出来てるぞ。うぉい!
「えーと初めまして。倉田先輩の紹介で来ました、工藤太介です。こっちは、あの……婚約者のカスミ……です」
!!!!!
ニコニコすんな。はにかみ屋さん!
オメーだけだよ、笑ってんの。
勝手に自己紹介すんなよな?
倉田先輩には倉田先輩のやり方──あんじゃねぇの? なぁ。倉田先輩よぉ。下向いてねーで進行しろよ。私が来たとしても女の子は帰って無いんだぞ?
「──はい。というわけで始まりました。今日は盛り上がって参りましょう。私が倉田です」
テンション低!
そんなんで盛り上がれるかよぉ!
「まずはみなさんビールでよろしいですか? ビールのかた手を上げて──」
男子の皆さんは全員……。つか、太介よ。お前、ニコニコしてるけど、全然分かってねぇな。これじゃ合コン3対4なんだぞ?
「倉田先輩、カスミはジンジャーエールで」
「はいはい、ジンジャーね」
もうしゃべんなよ、テメー。
針の筵とはこのことだよ。早く帰りてぇ。
「あのぉ工藤くん?」
「はい?」
「知ってます? 同じ大学の福島沙織です」
「あ、えーと……」
「私も──。千葉結奈です~」
「あの、隣の席に座ってボールペン借りたことあります。佐々木です。佐々木凛」
「何度か駅ですれ違ってたんですよ。与田美鈴です」
倉田──!
よりによって、何で太介の大学のお嬢さんがたなんだよ! そんでみんな太介にホの字じゃねーか! そーかよ。若いからホの字じゃ分かんねーか。惚れてるだろってコトだよ、クソ倉田が!
「工藤くん。女子の方々にキミと同じところで働いてるっていったら、今日の合コンオーケーしてくれたんだ。キミ、彼女いたの? いるなら言ってくれないと」
「あ、すいません。倉田先輩。彼女っていうか婚約者で幼馴染みで……。その、告白してから8年やっと付き合って貰えたって感じで、このほっぺとかキュートだと思いません? いや、顔なんてどうでもいいんです。オレはその……彼女の内面が好きって言うか、溢れるオーラといいますか……。やっぱ全部好きっす。はい」
酔ってる?
まだビール来てないよ?
真っ赤な顔すんじゃねーよ。質問に余計なこというなよ。そもそも倉田がいってんのは、合コンはテメー目的の連中多いから彼女いるなら言っといてくれってことだろーが。
そりゃ、世間知らずの太介ぼっちゃんは合コンなんて単語知らねーってことだったんだろうけど、ここにいる三人はあわよくば、お前のおこぼれを頂戴しようとしていた、いわばゲス。考えてみれば最低だなコイツら。太介をオキアミよろしく、撒き餌に使ったってことだろ?
そしたら、この魚たちも釣り師たちも撒き餌にやられたってことだよな。そりゃオーマイガだわな。同情するわ。
「工藤くん、婚約者さんがいたのね。可愛らしい人ねェ」
厭味!!
えーと、テメーは佐々木!
攻撃に転じてきたな? こりゃこれからの二時間、私体もつかなぁ……。
「そーなんですよ。可愛いでしょ? いやー。佐々木さんとは気が合うなぁ」
のったーーーッ!
佐々木もビックリしてるぞ、うぉい!
どんだけお人好しなんだよ。自分から会話の糸口つくるんじゃねーよ!
絶妙な肩透かし。お見事。
オイオイ、店員。このピリピリした状態でよく佐々木にカルピスサワーを提供したな。さてはプロだなお前。居酒屋に命かけてるな。お見事。
「えー、それでは飲み物も来ましたのでカンパイしましょう」
「あ、先輩。自分に音頭とらせて下さい」
「え、あ、う、うん」
太介──!
でしゃばんじゃねーよ!
おまぁ、男子の中じゃ一番お呼びじゃねぇのにノリノリなのな。なんだ、音頭って!?
「それじゃあ皆さん、グラスをあげてください。毎日バイトに学業にご苦労さまです。本日は、“まぁスカッとしよう”ということで、“マスカット”のご発声をお願いします。“マスカーーット”!!」
「「「「!! マスカーーット!!」」」」
な、なにそれ!?
オヤジ腐ってやがる!
なんだそれは! 想像もしてなかったわ。マスカットだとテメェ!
イケメンはなんでも許されると思ってんな!?
許されんぞ、コラーッ!
う、うぉい! 福島と千葉!
今の乾杯の音頭でポーッとしてんじゃねーよ。
ポー、ポー、ポーってフクロウかオメーら!
い、今ので?
素敵なオリジナルの音頭も考えられるんですねぇ。将来は医者だし、ジョークのセンスもあるし、彼女はあんなんだし、絶対に奪って自分のものにしたろう感。
ホントマジ、太介、もう大人しくしてて。
「それじゃ、男子の自己紹介まだの人、言ってみましょ~……」
「西です」
「福永です」
…………。
もっと会話を!
人間には言語がございます。それによって意思の疎通ができます。頑張れよ、西! 福永ァ!
「カスミさんは、どこの高校生ですの?」
くーっ! 与田さんよぉ。私じゃなく男子と会話してやってくれよぉ。
「カスミはねぇ、高校生じゃないんだ。大学生。まだ未成年だから飲めないけど。子どもぽく見えるけど、でも根はオレなんかより大人でさ……。そこが……好きだったりするんだけど──」
しゃ べ ん な。
くぉらぁっ!
与田は私に質問してんだよぉ。なんでオメーが答えてんだよ。そんで異常なほどのノロケ!
空気がピリピリ、ピリピリ。
唐辛子か山椒かよ。ここの空気はよぉーッ!