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異界の料理人(招かれざる襲撃者)

 「急いで向かおう。村のみんなが心配だ」


 

 彼らのスピードは遅いため、羽毛うもうが彼らを手に持ち、走ることとなった。

 これ、傍から見たら”可愛いもの好きな気持ち悪いオッサン”が走っているように見えないか。と周りの目が気になるな、と思いながら一心不乱に指示された方角に走った。

 大体、5分ほど走ったところで村が見えてきた。火の手をあげていたのは間違いなくあの村のようだ。



 「やっぱり村の家が燃えているわ。急いで向かわないと」



 ハナの言葉の通り、急いで村に向かおうとする。しかし、村人が慌てふためき逃げ回っている姿を目にしてから歩は進まない。

 村人が逃げてくる方向へゆっくりと息をひそめながら向かうべきだと感じ、羽毛うもうは提案する。

 


 「何かの襲撃があったんだと思う。ゆっくり近づいて原因を探そう」



 「何を言っているのよ!襲撃があったってゆっくり近づいている間にみんなが死んじゃうかもしれないのよ。ただの旅人が意見しないでよ!」



 ハナは頭に血が上っているようだ。このままでは、業火揺らめく家に単身突入してしまいそうな勢いだ。通りすがりのただの異世界転生人だが、目の前で救える命を見捨てるのは胸糞が悪い。そう思った羽毛うもうは言葉を返そうとするが、横やりが入った。



 これまで黙っていたケンショウがハナをいさめ始めたのだ。



 「ただの旅人がここまでシンケンに言ってくれるわけないだろう。ここまで来るのに必死で走ってくれたじゃないか!それに彼の言っていることは僕たちの命を考えたら最善な策だと僕も思う。ゆっくり回るよ!!」




 ケンショウの勢いにハナも冷静さを少し取り戻したようだった。




 「羽毛さん、心無いこと言ってごめんなさい。一生懸命手伝ってくれていたのに。」



 「わかってくれれば、大丈夫です。慎重に見に行きましょう。」



 --3人は逃げてくる村人たちを背に歩を進めていった。



 うわぁぁぁ、すごい熱気だよ。勢いであんなことを言ったけれど、人外がたくさんいる世界でしょ。いきなり死ぬとかマジでごめんなんだけれど、まだ全然この世界のこと満喫できていないよ。なんて羽毛が考えている間にも出火している家へと近づいて行く。



 燃えている家まで20mメートル程度のところまできただろうか。何やらピクシーが集まって大きな(ピクシーからしたらだが)ものへ群がっている。

 やはり火事だけが起きているだけではなさそうだ。消化活動に当たっている人数よりも何かに群がっているピクシーが多いことがそれを物語っている。



 「オークだよ。オークがいる。早く僕たちも行かなきゃ。みんながやられちゃうよ。」


 ケンショウがオークといったのは、ピクシーが群がっている”あれ”のことだろう。

 見た目的には、血色の悪いブタか猪の頭がのっかった小太りの山男という印象を抱く。



 相手はオーク1匹。対してピクシーは20匹以上は群がっている。それなのにやられてしまう?どんだけ恐ろしい生き物だよ。と羽毛は思い、素手で突っ込むのは危険と考え落ちている石を広い集め始めた。



 「何しているんだよ。羽毛うもう。こんな時におじけづいたのか。まあ、君の村じゃないから仕方ないけど・・・とりあえず、僕たちは加勢に向かうから!」



 ケンショウとハナが飛んでいってしまった。石を投げて戦うほうが絶対効率的なのに。俺がおじけついたって嘘でしょ。と羽毛うもうは強く思ったが、無駄口をたたいている時間はない。石をなるべく多く集めなければ、そんなことをしている間にもピクシーの悲鳴が聞こえてくる。1匹、また1匹と屠られている。



 残りのピクシーは7匹程度になったであろうかというところで羽毛うもうも”石”と”石と紐を括り付けた”ものの準備が終わった。



 「ピクシーたち!どけぇぇぇ!!」



 そう言うと羽毛うもうは、力いっぱいにオークめがけて石を投げた。




 --ビュッ!ゴッ!




 不意を突かれたオークにはかなり効いたようだ。

 だが、決定打にはなりきらなかった。




 「ぐぉぉぉぉ!」




 これまでとは異なり自らにダメージを与えた存在めがけてオークは一直線で羽毛うもうの方へと向かってきた。__



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