異界の料理人Ⅲ(不穏な影)
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「どうしよう、ハナちゃんニンゲンが話しかけてきているよ」
「ケンショウ、だめ!ニンゲンと話したら食べられたり殺されたりするってみんな言ってるでしょう」
あの、俺隣にいるんですけど・・呆れながら横で様子をみている羽毛に2匹も気が付いたようだ。見る目が殺処分前の恐怖に包まれた小動物のようだ。
罪悪感がすごい・・
「な、なに見ているんだ。ニンゲン、あっち行ってくれ」
「俺は君たちに危害を加えたりしないから、お話だけさせてくれよ。お願い!!」
安っぽいお願いをすると彼らは簡単に話相手になってくれた。
--「そこまで言うなら仕方ないわね。何を聞きたいの?」
「その前に自己紹介をしてもいいかな。俺は羽毛 淳料理人をしているんだけど、気が付いたらそこの草原で寝そべっていて。なにか知らないかな?」
「私達の種族はピクシー。名前は私がハナ。でこっちが、ケンショウ。」
「気が付いていたら草原で寝ていた?よくわからないわね。でもこの草原を戦場に変えに来ているわけじゃなさそうね。」
やはり人間ではないよな。よく小さいオッサンが見えたとかでテレビを騒がしていたが、あれとも違うよな。羽毛が少し考え込むような素振りを見せると、ハナが何かを思い出したように話を始めてくれた。
・・・「そういえば、過去に1度だけ他の世界からきたという旅人を見たことがあったわ。私たちにモンスターの種類を聞いて”ケモ耳少女だ!”とか”エルフ、キタコレ”とか言った人がいるらしいわ」
そいつ絶対、アニメオタクの痛いやつだな。と羽毛が感じるが、自分と似た境遇の人間がいたことに一筋の光をみた。
「それで、そいつはいまどこにいるんだ?話をしたいんだけれど」
「もう、100年も昔のことだし、、それに、エルフの少女に襲い掛かって氷漬けにされて殺されちゃったみたい。」
この世界怖っ!手がかりをつかむことができなくて残念に思ったが、ここが”異世界”であること、”俺tueeee”ではないこと、がわかったのは嬉しくも残念でもある収穫だ。
だが、人間が弱いというや自分の境遇が分かったことで、すべきことが見えてきた。
---彼らに縋りつくしか生きていくすべがない---
「たぶん、俺もそいつが来たところからきた異世界人だと思う。行く当てもなくてどうすればいいかな。」
「え、じゃあ羽毛もヘンタイってこと?」
ケンショウが恥ずかしげもなくストレートに聞いてきた。
「俺は、そんな異常性癖者じゃないよ。できることは何でもする。俺も村に連れて行ってくれ!」
「できるわけないじゃない。それに私たちの村はニンゲンには小さすぎるわ」
「でも頼む」
「無理よ」
「頼む」
「無理」
こんな応酬を続けていると、遠くから大きな音とそれに続いて火の手が上がるのが目に入ってきた。
--ハナが強く緊張感をもった口調で言葉を放った。
「村の方向よ」__
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