隠し事
「このエリス台地に生活していきたいのなら戦う以外に選択肢はないんじゃないか?エニグマを奪う戦争が始まって勝利国が決まれば、勝利国が躍起になってエリス台地中を探し回ると思うぞ。その時に見つかったら戦火を何とか生き延びた種族も屠られるはずだと思うが。」
「そんなことわからないじゃない。エニグマさえ手に入ればエリス台地の生き物には干渉しないかもしれないし、統一国家として大切に扱われる可能性だってあるわよ。」
「いや、それはないだろう。アスタリッシュ王国もカルバス帝国もどちらも単一国家であり人間至上主義だと聞いたことがある。エニグマも手に入り領地拡大を行うことは考えやすいシナリオだが、問題の火種となる恐れの高い人間以外の亜人種、人間種は生きてはいけないはずだ。」
「そ、そんな。でも、やっぱり私たちだけじゃ・・・」
「エニグマがあるし、羽毛がいる。大丈夫なはずだ、、」
また肩に重圧がかかった。もはや、引き返せない状況。だが、これで全然エニグマ扱えませんでした~みたいなことになったら許してもらえるのだろうか。怖すぎて考えられないんだけど。晒し首にされたりするのかな嫌だな。お腹痛くなってきた。
「聞いているのか?」
「え、あ、ごほん、すまない少し考え事をしていた。もう一度言ってもらっていいかな?」
「さすが、大物はちがうな。エニグマの試運転と効果範囲、効果能力を知りたいから料理を作ってもらいたんだが」
「そうか、この村にある食材で作れる料理はまだ多くないが、やってみるとするか」
「そうか、足りない食材なんかがあれば言ってくれたら俺も探すから言ってくれよ」
「お願いね。羽毛!」
「ああ、そういえば、調理場においてあった卵がなかったんだけれど。知らないか?」
「っあ、それはもしかしたら俺の仲間かもしれない。」
何やら少し申し訳なさそうにダガーがしている。何か隠していると見て取れる表情だ。
「この期に及んで隠し事をしていたのか?場合によっては、この村を出てもらうことになるぞ。説明してもらおう」
「そうね。私たちと話している間に村のピクシーを捉えてたりしないでしょうね!?」
モルサがかなり心配している。やはり、ゴブリンはそのように捉えられる忌み嫌われる種族なのだろう。
「それはない。安心してくれ。隠していた訳ではないんだが、ゴブリンが複数匹いるとなると話を聞いてもくれないと思ったんだ。戦闘になった場合も舐めや余裕から有利に戦闘を運べると思った。」
「ふ、複数匹!?ここまで嘘つかれて安心できるわけないじゃない!」
完全にモルサはパニックになっているな。ダガーの言うことには嘘は感じられない。そもそもそれだけの戦力があればこの村を力で制圧することは難しいことはないもんな。始めは強者がいないか確認するためだったとしても、、、
「モルサ落ち着け。ダガーは嘘を話していないと思うぞ。筋は通っている。彼が来てからかなり時間もたっているが、騒ぎだって起きていないしな。どこか一か所に隠しているな?食糧庫か?」
「落ち着けたって、、わかったわよ」
「よくわかるな。ああ、話が着くまで食糧庫にいてもらっている。」