【イラストから物語企画】みんなで終焉われば怖くない! あ、でも努力はします!
遥彼方様主催、イラストから物語企画の参加作品です。ヒーローもの? です。
騒がしい教室を出て、比良坂時翔と高天原宇海はコーヒーを手に階段に陣取った。ここからなら街がよく見える。
「さてと、やろうか」
「オッケー、私からいく?」
そうして 2人の戦いが始まる…。
「…じゃあね、ホメオスタシス」
「恒常性。じゃあ、スクナヒコナノミコト」
「一寸法師の原型になった日本の神様よ。神官の娘なめんな。…トライセラトップス」
「3本角の恐竜。あるいはそれをバンド名にしたスリピースバンド。ぼくも魔導書ばかり読んでるわけじゃないんだよ。…スリップストリーム」
「まえの車を風よけにする走法よ」
「もうすこし詳しく」
「うっ! 確かスピードを維持する他に燃費にも効果がある、はず?」
「正解」
「もう! そこは流してよ」
「駄目駄目、ルールだからね。次は?」
「『ム』ね。…ムソルグスキー」
「ロシアの作曲家で代表曲は『はげ山の一夜』。じゃあキンバリー・バウアー」
「『24』の主人公の娘でトラブルメーカー。フィクションありなの?」
「有名人なら大丈夫だろ? ちゃんとカウントしてる」
「じゃあ次ね。アームストロング」
「どれの?」
「宇宙飛行士の」
「じゃあそれで」
「もう! まじめにやんなさいよ。地球の運命がかかってんだから」
「やってるさ。…グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」
「イギリスの正式名称。…クリミアの天使」
「ナイチンゲールだね。統計学者でもある。…死亡遊戯」
「ブルース・リーの最後の映画のタイトルよ。かたよってない?」
「大丈夫だって。ほらほら、多分次で最後だから」
「分かったわよ。…銀河英雄伝説」
「遠い未来の銀河系を舞台に繰り広げられる英雄たちの攻防を2人の軍略家を軸に描くスペースオペラ。お互いの陣営のイデオロギー、歴史背景、交錯する人間模様などを軸に展開する…」
「イヤイヤイヤなんでそこだけ詳しいの? おかしいよ!」
そのとき遠くで爆炎があがる。
踊り場から乗り出して見ると、断末魔をあげて崩れていく魔王樹と、光となって消えていく夢幻魔竜メビュラストウスの姿があった。
教室からも歓声があがる。
「おっ、倒したみたいだぞ!」
「さっすがメビたん、やったね!」
『ふん、どうということはない。…それと、メビたんは止めろ。な?』
今この世界において、異世界から突如現れる巨大な魔王樹に対抗できるのは【銀河の暴君】を自称するメビュラストウスだけなのだ。
彼のエネルギーは『言葉』。知識がイメージを伴って具象化するそれを力に変えられる。
しかしメビュラストゥスに力を与えられるのは、幻影の牢獄の封印を解いた時翔と宇海の言語魔法すなわち『しりとり』だけ。
だが2人の言葉が尽きたとき、地球はメビュラストウスに飲み込まれる。それはもう一つのこの世の終わりだ。
しかし2人は誰にもそれを言うつもりはない。
その孤独な戦いの理由は単純かつ明快。
「「知識の詰め込みで勉強漬けにさせられる青春なんて冗談じゃない(わよ)!」」
合い言葉は『みんなで終焉われば怖くない! あ、でも努力はします!』
つかの間の勝利に、2人はコーヒーで乾杯した。
「「輝ける明日なき世界に」」




