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【イラストから物語企画】みんなで終焉われば怖くない! あ、でも努力はします!

掲載日:2020/11/19

遥彼方様主催、イラストから物語企画の参加作品です。ヒーローもの? です。


 騒がしい教室を出て、比良坂時翔ひらさかときお高天原宇海たかまがはらうみはコーヒーを手に階段に陣取った。ここからなら街がよく見える。

「さてと、やろうか」

「オッケー、私からいく?」

 そうして 2人の戦い(・・)が始まる…。


「…じゃあね、ホメオスタシス」

「恒常性。じゃあ、スクナヒコナノミコト」

「一寸法師の原型になった日本の神様よ。神官の娘なめんな。…トライセラトップス」

「3本角の恐竜。あるいはそれをバンド名にしたスリピースバンド。ぼくも魔導書ばかり読んでるわけじゃないんだよ。…スリップストリーム」

「まえの車を風よけにする走法よ」

「もうすこし詳しく」

「うっ! 確かスピードを維持する他に燃費にも効果がある、はず?」

「正解」

「もう! そこは流してよ」

「駄目駄目、ルールだからね。次は?」

「『ム』ね。…ムソルグスキー」

「ロシアの作曲家で代表曲は『はげ山の一夜』。じゃあキンバリー・バウアー」

「『24』の主人公の娘でトラブルメーカー。フィクションありなの?」

有名人しってるなら大丈夫だろ? ちゃんとカウント(・・・・)してる」

「じゃあ次ね。アームストロング」

「どれの?」

「宇宙飛行士の」

「じゃあそれで」

「もう! まじめにやんなさいよ。地球の運命がかかってんだから」

「やってるさ。…グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」

「イギリスの正式名称。…クリミアの天使」

「ナイチンゲールだね。統計学者でもある。…死亡遊戯」

「ブルース・リーの最後の映画のタイトルよ。かたよってない?」

「大丈夫だって。ほらほら、多分次で最後だから」

「分かったわよ。…銀河英雄伝説」

「遠い未来の銀河系を舞台に繰り広げられる英雄たちの攻防を2人の軍略家を軸に描くスペースオペラ。お互いの陣営のイデオロギー、歴史背景、交錯する人間模様などを軸に展開する…」

「イヤイヤイヤなんでそこだけ詳しいの? おかしいよ!」


 そのとき遠くで爆炎があがる。

 踊り場から乗り出して見ると、断末魔をあげて崩れていく魔王樹と、光となって消えていく夢幻魔竜メビュラストウスの姿があった。

 教室からも歓声があがる。


「おっ、倒したみたいだぞ!」

「さっすがメビたん、やったね!」

『ふん、どうということはない。…それと、メビたんは止めろ。な?』


 今この世界において、異世界から突如現れる巨大な魔王樹に対抗できるのは【銀河の暴君】を自称するメビュラストウスだけなのだ。

 彼のエネルギーは『言葉』。知識がイメージを伴って具象化スパークするそれを力に変えられる。

 しかしメビュラストゥスに力を与えられるのは、幻影の牢獄の封印を解いた時翔と宇海の言語魔法すなわち『しりとり』だけ。

 だが2人の言葉が尽きたとき、地球はメビュラストウスに飲み込まれる。それはもう一つのこの世の終わりだ。


 しかし2人は誰にもそれを言うつもりはない。

 その孤独な戦いの理由は単純かつ明快。

「「知識の詰め込みで勉強漬けにさせられる青春なんて冗談じゃない(わよ)!」」

 合い言葉は『みんなで終焉われば怖くない! あ、でも努力はします!』


 つかの間の勝利に、2人はコーヒーで乾杯した。

「「輝ける明日なき世界に」」


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] しりとりで決着をつけるなら末尾はラ行に…なんて思ったら、壮大なお話でした! Σ(゜∀゜) 終わらせちゃまずいんですね。地球のために頑張れ二人! 最後にコーヒーで乾杯して締める。素敵な終わり方…
[良い点] 二人の名前からして、素敵です。 言語魔法『しりとり』って、すごく面白い能力ですね。 ひっそりと戦う孤独なヒーローといえば、本来なら定番ですけど、言わない理由が二人の性格や考え方を表してい…
[良い点] なるほど。これは素晴らしいです。 自称暴君の名前としりとりをかけるとは。 メビウスの輪だから、言葉に詰まるとそこで終わりとは。 あのイラストから、これほどの物語を生み出すとは。 これは、…
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