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第3話 辺境の街グレンゼ

皆さんご無沙汰してます。梅野です。リアルがワタワタしててすっかり更新忘れてました。てへっ

これからはできるだけ気をつけるので、どうか気長に待ってください。

 地球に帰るという希望を失って、思わず足を止めた俺に合わせて、進行が止まる。突然立ち止まった俺を見て、振り返るレックス。


「どうかしました?」


 いや、こいつ何怪訝そうに俺を見てるんだよ。茫然としてるのが分かんねえのか、コンチクショウ。


「いや、ちょっと、現実を受け入れられなくて………」


 おい、なぜそこでキョトンとする?心底不思議そうな顔で見るな。


「帰りたかったんですか?」


「当り前じゃねえか!」


 誰が好き好んでよく分かんねえ世界を満喫するよ⁉大体、向こうの世界よりこの世界、死の危険が近すぎるんだよ。平和な国で何不自由なく育った存在舐めんな!ヘタレって言われても否定しねえぞ!


「別に、良いんじゃないですか?この世界、確かにあなたの居た世界より危険かもしれませんが、それは、魔物に襲われるようなところに住んでいた場合です。王都などに住めば間違いなくそんな危険はありません。」


 あ、そうなのか?あんな目にあったから魔物に襲われるのはマジで怖いんだよなあ。魔物ってなんていうか、こっちの常識を破壊してくる生き物だから、万が一遭遇したら間違いなく死ぬな。


「まあ、犯罪はどうしても起きるから、そういった意味では危険かもしれませんが。」


 ダメじゃん!ええ!?だって、この世界の人俺なんかよりよっぽど強いでしょ?もし襲われたら死ぬよ?


「まあ、わが国では軽犯罪ぐらいで、通り魔なんてほとんどいませんが。」


「もう、なんなの!?」


 さっきから人を馬鹿にしてるの?怖がらせたり、安心させたりさあ、どっちかにしようよ!絶対に俺をからかって遊んでるよね?


 レックスをキッと睨むと、真面目な顔をして俺を見返していた。なんでそんな顔してるんだよ。まさか……?ええ、うそん……。これ素なの?無自覚で人の心グサグサ刺してるの?そうだとしたら俺もうどうしようもないよ?怒れないじゃん……


 顔に手をやって天を仰ぐと、後ろからトントンと肩を叩かれた。振り向くと、隊長さんが疲れ切った笑顔で、口を開く。


「くるだろ?こいつこれで全く悪気無いからどうしようもないんだよ。うちの隊はもちろん、こいつと関わりのある奴はもう諦めきってるんだよ。直らないってな。」


 とっくに諦められてたああああ!どれだけの人の心今までに折ってきたんだよ!でしかも、本当に無自覚だったよ!


 予想通りとはいえ余りの事実に思わず地面に這いつくばった俺を、レックスは訳が分からないという顔で見ていた。




 

 森の中を俺を含めた大勢の人間――人間でいいのか?が進んでいく。俺は森の中をずっと彷徨っていたんだが、俺がカイル達に会ったのは、もうずいぶんと森の外に近いところだったみたいだ。と言っても、それはあくまでカイル達の感覚の話で、少なくとも、一泊は野宿しないといけないそうだ。

 そもそもこの森は、この世界で最も大きく、かつ危険な森らしい。浅い部分ではそこまで、危険があるわけじゃないが、深ければ深いほど、強力な魔物が多く生息している。ちなみに俺たちが今いるのは、魔国の南東部分にほど近いところだ。

まあ、そんな訳で俺たちは魔国プラクトムの王都に辿り着くために、ひとまず、辺境の街グレンゼへと向かうそうだ。


街へ向かうって言っても、この世界には車があるわけなく、当然歩きで向かう。森の中を進むんだから魔物もワラワラ出てくるんだが、


ズッシャアアアア


この人たちまるで戸惑うことなく殲滅していってる。それはもう、魔物が現れればその近くにいる兵たちがすぐに陣形を整えて瞬殺。俺が追われたあの緑色の化け物――ゴブリンという魔物だそうだ――が群れで15匹ほど出てきた時、マジでビビッてパニックになりかけたんだけど、俺が逃げ出そうとする前に、5人の兵たちが一掃しやがった。もう、ほんとに一瞬。あんまりの一瞬なことに驚きすぎて、噴き出てる血にも、零れ出てる内臓にも反応できなかった。これ、普通に見たら絶対に吐いてるよな………。カイル達は見慣れてるのかビクともしない。これに慣れなきゃいけないとか、やっぱ殺伐としすぎだろ、この世界。


 そんなこんなで2時間ぐらい歩き続けてようやく休憩になった。まあ、俺がしんどそうにしてるのを見て、カイルが休憩入れてくれたんだけど。いや、俺がいなかったらもっと早く進めてたろうから申し訳なさでいっぱいだったんだけど、それどころじゃなくて、マジで疲労がヤバいの。


「俺たちは人族より体力があるのは事実だが、あいつらもそこまで体力がないことは無いぞ?冒険者なんかはこれくらい歩くのは普通だしな。」


 カイルから出てくる衝撃の事実。うそ、そんなに体力あるの?俺やっていけるかなあ?


「渡り人はこの世界よりはるかに文明の発達した世界で暮らしていたと聞きます。おそらく、便利なものが多いことでそこまで体力を消費する必要がないのでしょう。」


 おお、レックス大正解。向こうじゃ、車に限らず電車にバス、飛行機なんかもあったしな。移動にかかる負担の少なさと速さで言えば、楽としか言えなかったしな。


「やはり、そうですか。移動を楽にしたいのは、どの世界でも変わりませんね。」


 そういいながら、水筒みたいな感じ物を渡してくるレックス。これは……石か?いや、陶器ってやつかな?中に入ってるのは水か?ここで毒になるものを渡してはこないだろうから、思い切って飲んでみる。あ、ひんやりしてていい……水がこんなにおいしいなんて知らなかったなあ。疲れた体に染み渡るぜ


「ふ~~~~………」


 疲れた体が軽くなる。水分補給って大事だな


「もう行けそうですね。それじゃあ、少ししたら出発しましょうか。」


 え、もう?俺今、水呑んだだけなんだけど。

 

 驚いている俺の手から水筒を取ったカイルが中身を覗くと、顔を引きつらせる。


「おい、レックス。もしかしてお前…」


「ええ。ポーションを水で薄めたものです。」


「おいおい、大丈夫なんかよ。渡り人に簡単にこっち特有のもの飲まして死んだらどうすんだ?」


 え、俺死ぬの?なんつーもの飲ませんだよ


「問題ありませんよ。これまでの渡り人たちの記録ではこちらの食べ物で死んだというというのはありませんでした。」


「いや、今までがそうだからって今回もそうとは限らないだろ!?」


 そーだ、そーだ!死んだらどうすんだ!


「今、なんともないんですから、問題ないですよ。実験もできて疲労回復もできて一石二鳥じゃないですか。それよりも、隊長がそこまで頭が回ったことに驚きです。」


 ふざけんな!俺でそんな気軽に実験するんじゃねえ!そんで、相変わらず扱いひどいな。ほら見ろ、カイルの眼がどんどん死んでいってるだろ!


「いや、お前な。一応俺だって隊長なんだから、頭が回らないわけじゃねえんだよ。それぐらい普通に考えるから。」


「でも、あまり使わないですよね?その頭」


 あ~あ、カイル泣き始めちゃったよ。いい年したおっさん泣かすとかどうなんだ?誰得なんだっつーの


「泣いてないで、もう行きますよ。今日中に野営予定地まで行くんですから。」


 もうやめて!カイルのライフはもうゼロだ!

 

 レックスのあまりの鬼畜発言に俺は心の中で叫ばずにはいられなかった。




 野営での一泊を過ごしたのち、俺たちはまた近くの街へ向けて歩き始めた。正直野営については思い出したくない。夜になると活動する魔物がいるから、交代で見張りしてたらしいけど、そんなこと聞いたら気になって碌に寝れねえし、テントに雑魚寝とか中学の林間学校以来だっての。おかげで寝不足で仕方ねえ。しかも周りで寝てんのは俺よりでかい男ばかり。部活とかで慣れてるやつじゃないとこんなの熟睡できねえだろ。

 飯もよく分かんねえ干し肉だったし。なんつってたっけな、あれ……オークって言ってたかな。よく覚えてねえけど、味はまずくないけど、とにかく硬え…。あいつらよくあんなの普通に噛み千切れるな。感動するわ。


 ひたすら同じような景色を歩き続ける。いやね、何なら実況したいんだけどさ。実況しようがないんだよね。ずっと木が続いてるだけだし?出口に近いからか魔物も出てこないし?この中で迷いなく進めるってのがもう尊敬しかできないわ。


「ほら、うんざりするのは分かるがもう森を抜けるぞ。」


「え、マジ?」


「分かりやすい顔すんなあ」


 そんなにわかりやすいか?顔を手でグニグニしている俺を見て、カイルは苦笑する。うんざりしているのが随分顔に出てたんだなあ。


 そうこうしているうちに目の前の木々がまだらになっていき、やがて木の生えていない草原へと出た。草原のほぼ中央に整備された道が右から左へとまっすぐに伸びている。俺たちは通行人がいないことを確認すると、道へと入りやってきた方向から見て右へと歩き始めた。


「こっちに街があんの?」


「ああ、そうだ。このペースだともうあと2時間程度で見えてくるぞ。」


 カイルが言ったように、草原をまっすぐに進み続けてしばらくすると道を遮るかのように立つ壁らしきものが見えてきた。道を歩く人や馬車が少しずつ増えていき、やがて巨大な門の前に列をなしているのが見えた。


「なあ、この並んでる人達って何に並んでるわけ?」


 列に並ぶ人たちを横目に見ながらずんずんと壁、多分外壁なんだろうが、そっちへと歩いていく。囲まれてるからちゃんとは見えないけど、いろんな人が居るみたいだな。


「そりゃあ、街に入るのに必要な身分証明と商人なんかだと荷物の確認だな。」


「え?じゃあ俺達も並ばないといけないんじゃ……。まして、俺なんか怪しさ満点だし。」


「それはそうなんですが、騎士団や兵士は身分証明や検査は不要なんです。問題があった時に検査などをしていたら時間を取りますし、基本的に自国内の軍関係者などは大人数で動くことが多いことからもその行動を報告する義務があります。なので代表者が身分を申告すれば残りの者も通れるんです。今回はあなたも保護した人間という扱いなので報告さえすれば問題ありません。」


 は~~、そうなんだ。理由を説明されたらすごく納得できることだな、これ。だけどあの列を並ぶのは嫌だな。待ち時間暇すぎるだろ。


 そんなこんなで門番達にちらちら見られながらもカイル達と兵士用の門を通り抜けると、目の前には街が広がっていた。


「さあ、良く来たな。ここがグレンゼだ!」


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