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異能探偵『薙宮』  作者: 山羊山音子
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奏ターン

俺毎日投稿とか、ウェブとか苦手なんだよね。時間に追われると余計に書けないっていうか、本番に弱いタイプだからさ。

 薙宮奏。崎萱中学一年の女子生徒。成績はそこそこで顔もまあまあ可愛い方だと自覚している。

 成績優秀品行方正中二病の兄、薙宮友の妹だ。

 学校ではお兄とは別人のフリをしているけれど、はっきり言って意味はない。お兄は学校では色々な意味で有名人だし(イケメン、成績優秀、中二病)嫌われ者というわけでもない。

 私としては中二病の部分を何とかしてほしい。お兄のことは嫌いではないが、いつまでも子供じゃないんだし、そろそろ真っ当な考えを持って欲しい。

 先生たちからの評価が高いお兄と比べられる私は、そのプレッシャーに時折負けてしまう時がある。

 お兄は中二病のバカのくせに無駄に要領はいいし、好きなことはとことん追求する。そんなお兄が私は好きだ。でも中二病だけは何とかして欲しい。やめろとは言わないから、せめて体裁というものを気にして生きて欲しい。せっかくイケメンな顔に生まれたのに、性格が全てを台無しにしている。

 それだけじゃない。女子に興味がないのも問題だ。全く恋愛に興味がない。お母さんもお父さんも少し心配している。それくらいにお兄の中二病は重症だ。

 私がこれだけ中二病をバカにして避けているのはお兄のせいだ。そう、私は中二病が嫌いなのだ。だけど、

「何これ……」

 私の指にはライターほどの小さな、炎というには烏滸がましいくらいの火が灯っていた。正しくは火が灯った。

 私は指パッチンが癖なのだが、無意識のうちにやってしまうくらいには癖になっている。テストで頭を使う時に無意識でやっていて先生に怒られたことがあるくらいだ。

 そして今日の朝もいつものように支度をしながら指パッチンをした。するとどうだろう。掌に小さな火がついたのだ。

 その火はとても小さく弱々しいものだが、たしかにそこに存在していた。だが不思議と熱さは感じない。そしてその火は手の上を自由自在に動かすことができた。

 掌で発生した人を人差し指の上に持ってくる。息を吹きかけると火は蝋燭に灯されている時と同じように消えた。

「何今の」

 私はもう一度指を鳴らした。すると先程と同じように火がついた。そして私は一つの結論を導いた。

 これはお兄がよく読んでいる、ライトノベルというものに登場する異能力というやつではないだろうか。

「人体発火現象」

 私はスマホでこの火について調べた。だが同じような事例は一つとして見つからず、私は諦めてスマホを机の上に戻した。

「奏、起きたか?」

「お兄、何の用?」

「起こしに来た。それと、何か異変はあったか?」

 私を起こしに来たお兄と扉越しに話す。だが、お兄は私のこの炎について既に気がついているような発言をする。

「そんなのあるわけないじゃん」

「そうか……ということは発現条件は寝起きではない、と」

 扉の前でお兄が何かブツブツ呟いている。

 お兄の「発現条件」という言葉を聞いて私は昨日の出来事を思い出した。お兄と一緒にいた女子の先輩が言っていた呪いという言葉。そしてお兄は何かを知っているような口ぶりだった。

「二度寝するなよ」

「今行く!」

 私は怪しまれないように急いで部屋から飛び出す。お兄は先に階段を降りていた。

 私はこの力のことをお兄に知られてはならない。普段中二病だなんだとお兄をバカにしている私が、こんな中二チックな力に目覚めたと知られたら絶対馬鹿にされるに決まっている。

「奏、もし学校で異変に気づいたら俺に連絡しろ。方法はなんでもいい。とにかく、一大事になる前に対処しなければならない」

 やっぱりお兄は気づいている。炎の能力までは分かっていないようだが、何かしらの能力が発現していることには気づいている。

「う、うん。分かった」

 私は素直に頷いた。この時は少し不安になっていたのかもしれない。一大事と言われて、体に異変が起こっていて平常でいられるのはお兄くらいのものだ。

「指パッチンしなければ大丈夫なはず」

 今のところ自然発火するようなことにはなっていない。指パッチンさえしなければ炎が発生することもないし、お兄に能力のことがバレることもない。

 私はこの力の存在がバレないように生活を始めた。


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