表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能探偵『薙宮』  作者: 山羊山音子
21/29

https://kakuyomu.jp/works/1177354054891307915

作者名:あずき餅、でカクヨムの方で1話完結の短編投稿してます。よかったらどうぞ。

 奏が悪霊に呪いをかけられた日の夜。俺はリビングでテレビを見ながら考え事をしていた。ちなみに今やっているテレビは夏の心霊特集という番組だ。霊子もチェックしているようで、時折『この映像は本物です』とか『この映像は偽物ですが、本物が紛れ込んでいます』という連絡がくる。そんなことは置いておいてだ。

 俺は悪霊の呪いが、最近の異能発生事件に関係しているのではないかと考えている。

 雫と優子の能力の発現の時期と霊子が悪霊を目撃、そして黒いオーラを目にした時期が綺麗に重なることと、黒いオーラがなくなりより強いオーラを手にしたという話。あれはおそらく異能のコントロールに成功したということではないだろうか。

 悪霊に呪われることで異能が発現し、能力をコントロールすることで呪いを克服。そして以前よりも肉体的、精神的に強くなる。

 だがこの仮説には穴がある。悪霊と異能が全くの無関係であった場合、俺たちは呪いに対処することができない。

 優子と雫に関しては運良く能力のコントロールに成功したが、もし二人がコントロールできなくなっていたとしたらどうなっていたのか。その実験結果がない以上、易々と命をかけることはできない。

 呪いで命が取られると決まったわけではないが、常に最悪のパターンを想定して動くのは基本だ。そして、確証が得られない以上、俺の体を悪霊に呪わせるという選択はできなかった。

 俺は一度悪霊に狙われているため、霊子の護符がなければ今頃呪われていただろう。護符が焼けていたのはそのせいだと考えている。

 少し残念な気もするが、命を落としては意味がない。霊子も命に関わる危機が迫ったのかもしれないと言っていた以上、やはり悪霊が仕掛けてきたと考えるのが妥当だ。俺が気付けなかったのも、見えない存在からの攻撃であれば納得がいく。

 そして今回、奏が呪われた。喜ばしい事態とは言えないが、利用しない手はない。これからは定期的に奏を調査し、霊子に会わせる。既に呪われたという事実は変わらないため開き直って利用させてもらう。

 奏に異能が発現し、そして能力をコントロールした時に黒いオーラがどのように変化するのか。それを霊子に見てもらえば今回の問題は、解決に大きく近づくこととなる。

 そして俺の仮説が正しく立証された暁には俺も異能を手に入れることができるかもしれない。

「ふっふっふ」

 そう考えると笑いがこみ上げてきた。

「お兄、急に笑い出さないで気持ち悪い」

「すまん、癖だ」

「知ってる」

 夜のリビング。風呂上がりの奏はドライヤーで髪を乾かしている最中だ。異能はまだ出現していないようだ。雫の場合は寝て起きたら変化していが、優子の場合はどうだったのだろうか。試しに優子に連絡をしてみる。

 簡素な文章は見栄えのしない緑の背景画面にピコリと浮かび上がる。数秒経つと既読のマークが付き返事が返ってきた。

『朝起きて、電車に乗ったときに声が聞こえるなあって思って気がついたよ』

「なるほどな」

 優子の場合は能力が触れることで発動する。であるならば能力に気づくタイミングは人次第、正確には能力次第というわけか。

 朝起きたら別のものになっていた。人に触れたらいつもと違うことが起こった。

 おそらく優子の能力も翌日に発動したものだろう。呪われた翌日に能力が発現する。だとすれば奏は明日の朝には何かしら変わっていることがあるかもしれないということ。

「奏、明日の朝何か変なことがあったら俺に言え。俺は今最高にキレている」

 この場合のキレているは怒っているという意味ではなく集中力、そして意欲が最大限に高まっているということだ。

「りょーかい。まあそんなことないと思うけどね」

 奏のオカルトに対する評価は辛口だ。今も「これ絶対作り物じゃん!」とテレビの中の映像に対し文句を言っている。ちなみに俺もこれは作り物だと思う。編集が雑だし……。

『この映像は幽霊を侮辱しています! 私の横でも海の右手ちゃんが怒ってますよ!』

 本物の霊能力者から怒りの連絡が来た。

 俺はそのまま心霊特集を本物霊能力者の解説付きで楽しんだ。


面白かったら是非感想よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ